中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

28.29日は休載です

2015年01月27日 | 情報
28.29日は出張のため、休載します。
再開は、30日になります。
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企業の社会的責任

2015年01月27日 | 情報
アベノミクスといわれ、景気は回復した、といわれているが、わが社のような中小企業にとっては、実感がない。
それなのに、障害者雇用、育児・介護休業、だと云われても対応ができない、対応する経営資源がない。
どうすればよいのか、という中小企業の経営層からの質問がありました。

さて、企業は、「社会の公器」と云われています。
この「社会の公器」という言葉は、松下電器の創業者である松下幸之助氏の言葉です。
「企業は社会の公器である。したがって、企業は社会とともに発展していくのでなければならない。」

企業の価値は、売上高や利益額で評価されるだけではありません。
現代的な表現を使うと、CSRでしょうか。
CSRとは、Corporate Social Responsibility、即ち、株主による利益の追求のみならず、
消費者、取引先、従業員、行政、地域など多くの利害関係者(ステークホルダー)を視野に入れた企業運営をいいます。

ですから、人事労務対策も従業員が対象ですから、CSR活動ということになります。
因みに、「労働におけるCSRのあり方研究会」(厚労省 平成16年〜)の報告書には、
「労働衛生に関するCSRが企業の生存のための条件であり、そのコストは必要必須の経費である。」とあります。

具体的には、障害者雇用、育児・介護休業、社会保険料の支払い、
さらにはワークライフバランスを考慮した、残業時間の削減、有給休暇取得率の向上、
パワハラ・セクハラ対策、働きやすい職場環境の醸成等々でしょう。
なぜ、障害者を雇用しなければならないのか、
なぜ、育児・介護休業制度を実施しなければならないのか、という疑問は、これで解決するのではないでしょうか。
例え、「わが社は、弱い中小企業である」と認識されていても、やはり御社には企業としての社会的責任を問われています。
社内的にも、対外的にも、です。
そして、企業には、さらに情報の開示と説明責任が求められています。

因みに、法政大学の坂本教授が主催している「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」がありますが、
この賞に応募できる資格は、以下のとおりです。

過去5年以上にわたって、以下の5つの条件に該当していることとします。
1. 人員整理、会社都合による解雇をしていないこと(東日本大震災等の自然災害の場合を除く)
2. 下請企業、仕入先企業へのコストダウンを強制していないこと
3. 障害者雇用率は法定雇用率以上であること(常勤雇用50人以上の場合)
4. 黒字経営(経常利益)であること(一過性の赤字を除く)
5. 重大な労働災害がないこと(東日本大震災等の自然災害の場合を除く)








 


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御社の基本的スタンス

2015年01月26日 | 情報
メンタルヘルス問題で大きなウェートを占めるのは、休職・復職・退職に関わる問題です。
御社の基本的スタンスを伺います。
御社のメンタルヘルス対策の現状分析を含め、今後の活動への反省材料として利用してください。

就業規則は
・どのような事態にも対応できるよう万全である
・まったく自信がない
・状況によって運用で対応できている

受診する医療機関は
・あくまでも本人に任せる
・会社が指定する
・本人の希望によっては会社も協力する

精神疾患の場合
・原則として、私傷病として対処する
・労災に当たるか、私傷病か原因を追究する
・労災に該当するとわかっても、指摘されるまで私傷病扱いする

・主治医とは、一切接触しない
・主治医とは、必要に応じて接触する
・主治医とは、良好な関係をもつよう努力する

・職場復帰支援制度は、規程している
・職場復帰支援制度は、今後規程の予定
・職場復帰支援制度は、ない

制度がある場合
・リワークを推奨する
・リワークは、推奨しない
・リワークは、休職者の任意で、干渉しない

・試し出勤は、休職中でも実施する
・試し出勤は、復職後実施する
・試し出勤は、休職中および復職後にまたがって実施する

・休職者の復職申請があれば、原則復職を認める
・試し出勤のようなステップを踏んでから復職を認める
・原職に復帰できるようになるまで、復職は認めない

復帰する職場は、
・原則、原職である
・原職ではないが、同様な業務に復帰させる
・原職を全く考慮しない
・休職者の希望を考慮する

さあ、どうでしょうか。
質問内容・意図が分らないでは困りますよ。
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(参考)ゆとりがなくなってきた

2015年01月23日 | 情報
企業にも、ゆとりがないのでしょうか。
麻生蔵相の「守銭奴」発言は理解できます。
しかし、政治家は、本音を言ってはいけないのですね。
麻生さんは創業家社長ですから、遠慮ない発言が出来るのでしょう。
サラリーマン社長には真似が出来ない発言ですね。

一方で、西欧には、ノブレスオブリージという考え方があります。
現代社会では、特に大企業に、いわゆるノブレスオブリージが求められるのは、当然と言えるでしょう。
しかし、メセナ活動が下火になったように、最近の企業行動には疑問符が立ちますね。
ようやく、今年になって経済4団体のトップから前向きな賃上げの話が出てきましたが。
サラ―リーマン社長にノブレスオブリージを求めても無理なのでしょうか。
むしろ、中小企業の創業社長の方が、気概、いわゆるノブレスオブリージがあるのかもしれません。
閑話休題。

経団連 2年連続でベア容認へ
春闘指針の最終案
2015年1月11日(日) 朝日

今春闘に向け、経団連が示す経営側の指針の最終案が明らかになった。
賃金体系を底上げするベースアップ(ベア)も選択肢に、企業ごとに工夫した賃上げを呼びかける。
ベア容認は2年連続。労働組合の中央組織・連合による「2%以上」のベア要求には「納得性が高いとはいえない」と批判的な見解だ。

個人景況感、12.5ポイントの大幅悪化 日銀12月調査
2015/1/8 日経

日銀が8日発表した2014年12月の「生活意識に関するアンケート調査」によると、
個人の景況感を示す判断指数(DI)はマイナス32.9と、前回の同年9月調査より12.5ポイントの大幅低下となり、
12年12月調査(マイナス50.6)以来の水準に落ち込んだ。悪化は3四半期連続だった。

景況判断指数(DI)は、景気が1年前より「良くなった」との回答から「悪くなった」との回答を引いた割合。
現在の景気水準が「良い」「どちらかと言えば、良い」と答えた割合は7.5%と、前回から5.3ポイント低下した。
14年6月には現行の調査を始めた06年以降で最高となる16.2%まで上昇したが、その後は一転して低下基調にある。
「悪い」「どちらかと言えば、悪い」は56.7%と9.8ポイント上昇し、5割を上回った。個人の景況感は年後半にかけて急速に悪化した。

景気判断の根拠は引き続き「自分や家族の収入の状況から」とした回答が6割弱と多かった。
現在の収入が1年前より「増えた」と答えた割合から「減った」と答えた割合を引いた収入DIはマイナス31.6と、
前回調査から0.9ポイント改善した。「減った」と回答した割合が40.8%と前回から1.6ポイント低下した。

「ゆとりが出てきた」との回答から「ゆとりがなくなってきた」を引いた暮らし向きDIは、
マイナス47.2と前回から3.1ポイント低下し、11年12月調査のマイナス48.0以来3年ぶりの水準に落ち込んだ。
4月の消費税率引き上げを受けて、支出が1年前より「増えた」と回答した割合が47.1%と、
前回から3.5ポイント上昇。最高だった08年9月調査(50.8%)以来の水準となり、支出の増加が景況感の悪化につながったとみられる。

1年後の景況感DIはマイナス30.5と前回(マイナス20.8)から悪化した。
悪化は2期連続。消費増税が下押し要因となっているうえ、1年後の収入が「減る」との回答も増加基調にある。
先行きが「悪くなる」との見方が増え、「良くなる」との見方が減少した。

1年後の物価が消費税率引き上げの影響を除いたベースで現在より「かなり上がる」「少し上がる」と答えた割合は80.8%と、
前回14年9月(82.5%)から低下した。物価がどの程度変化するかについては平均値がプラス4.8%、
中央値はプラス3.0%と前回調査から横ばいだった。5年後の物価は「かなり上がる」「少し上がる」が84.3%と、前回(85.9%)より減った。

調査は日銀が年4回実施する。全国で満20歳以上の4000人を対象に調査し、有効回答者数は2271人(有効回答率は56.8%)だった。
調査期間は14年11月7日~12月4日。

http://www.boj.or.jp/research/o_survey/index.htm/
「生活意識に関するアンケート調査」(第60回)の結果 ―― 2014年12月調査 ――
<はじめに>
日本銀行では、政策・業務運営の参考とするため、本支店や事務所を通じた広報活動のなかで、
国民各層の意見や要望を幅広く聴取するよう努めており、その一環として、
1993年以降、全国の満20歳以上の個人4,000人を対象に「生活意識に関するアンケート調査」を実施しています。
この調査は、日本銀行が別途行っている「企業短期経済観測調査(短観)」のような統計調査とは異なり、
生活者の意識や行動を大まかに聴取する一種の世論調査です。
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当然の結果だと思います

2015年01月22日 | 情報
当然の結果だと思います。しかし、原告の大学生の今後が注目です。
いくら和解とはいえ、一度は対立した企業に就職するのですから。被告側の度量が試されます。
マスコミ等では、興味本位の記事があふれていますが、当事者にとっては深刻な課題でしょう。
被告のテレビ局において、判断を誤った担当部門の方々は、どのような評価と処遇になるのでしょうか。
経営層は、当然に何ら意思表示をしませんが、経営層の心境を慮った中間層が独走することも考えられます。
このような職場環境に、原告の大学生が耐えられるのかどうか、キャリアを積み重ねることができるのか、今後注視していきます。

参考までに、雇用されている(今回は、採用内定)企業と対立するとどうなるかの、有名な裁判例があります。
「公益通報者保護法」の制定にもつながった、トナミ運輸事件です。
しかし、「公益通報者保護法」が制定されても、トナミ運輸事件のような事案は続発しています。
さらに、おそらく公にならない事案は沢山あることでしょう。
企業は、ダブルスタンダード、下手するとトリプルスタンダードで企業経営を行っているのが通例です。
御社の人事労務対策に参考になる事例ですね。

日テレ女性アナ内定取り消し訴訟和解 4月入社へ
2015/1/8 日経

日本テレビのアナウンサー採用が内定した後、東京・銀座のクラブでのアルバイト経験を理由に内定を取り消されたとして
大学4年の笹崎里菜さん(22)が地位確認を求めた訴訟は8日、東京地裁で和解が成立した。
日テレが笹崎さんを「アナウンス部に配属予定の内定者」に戻すとの内容で、4月に入社する。
日本テレビ広報・IR部は「和解勧告を受け入れることが最善と判断した。
今後は和解内容を誠実に履行していく」とコメントした。
同社関係者は「笹崎さんの将来を考えて、なるべく早めに解決できればと考えた」と話している。〔共同〕

日テレ内定取り消し:一転、女子アナ採用へ 
毎日新聞 2015年01月07日 

東京・銀座のクラブでのアルバイト経験を理由に日本テレビからアナウンサー採用の内定を取り消された大学4年の笹崎里菜さん(22)が、
同社に地位確認を求めた訴訟の和解協議で、東京地裁は7日、採用を前提とした和解案を提示する考えを示した。
既に日テレ側も応じる意向を示しているといい、一転して採用される公算が大きくなった。
協議後、代理人の緒方延泰弁護士が明らかにした。緒方弁護士は「私どもが望んでいる方向で協議が進んでいる。
女性アナとして活躍する道筋は十分ある」と話した。
現在は、笹崎さんへの研修プログラムについての詰めの協議中で、こうした点も地裁の和解案に盛り込まれるという。
訴状によると、笹崎さんは2013年9月、日テレから採用の内定を受けた。
14年3月、銀座のクラブで短期間アルバイトをしたと申告したところ、
「アナウンサーには高度の清廉性が求められる」として内定辞退を求められ、同5月に内定を取り消された。

参考裁判例:トナミ運輸事件(富山地裁平17.2.23 判決 判例時報1889号)
(当事者)
原告:被告に在籍している従業員(通報者)X
被告:大手貨物運送会社Y
(事案の概要)
Y の従業員であるX が、(昭和49 年に)Y が他の同業者との間で認可運賃枠内での
最高運賃収受や荷主移動(顧客争奪)禁止を内容とするヤミカルテルを締結しているなどと報道機関等に対し内部告発したところ、
Y はこれを理由として長期間にわたり昇格させなかったり、
X に不当な異動を命じて個室に隔離したうえ雑務に従事させたりするなど,不利益な取扱いをしたとして、
雇用契約上の平等取扱義務、人格尊重義務、配慮義務等に違反する債務不履行又は不法行為に基づき、
Y に慰謝料、賃金格差相当額の損害賠償の支払い,並びに謝罪文の手交を求めた事案。
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