中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

年末年始は、休載です

2015年12月28日 | 情報

今年も、当ブログを閲覧いただきありがとうございました。
29日より1月5日まで、年末年始のため、休載します。
みなさま、良き新年をお迎えください。

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ストレスチェックの現状

2015年12月28日 | 情報

ストレスチェックの実施状況を整理すると以下のようになっているようです。

・ストレスチェック制度が法令化される以前より、独自のメンタルチェックを実施している
・ストレスチェックをすでに実施した
・ストレスチェックの計画は出来上がっており、実施するのみになっている
・ストレスチェックの実施に向けて、計画策定中である
・制度の義務化は知っているが、まだ何もしていない
・ストレスチェック制度、とは何ですか?という状態
・罰則はない、費用がかかる、メンタルの問題はないから、実施しない(註:考えてはいけません)

激しいばらつき方です。しかし、これも仕方がありません。
中小規模の企業においては、本業が忙しいですから、労働安全衛生の課題までは関心が届かないのですね。
顧問の社労士さえ、契約していない企業では、なんの情報も入ってきませんから。

このブログを読んでいただいているみなさんが就労して企業においては、準備も着々と進んでいることでしょう。
繰り返し、申し上げますが、焦る必要はありません。
ストレスチェックを、11月30日までに実施すれば良いのですから。
しかも、集めた用紙の集計・分析、医師面談、組織分析等は、12月1日以降でも構わないのです。

まずは、厚労省のHPから、厚生労働省版ストレスチェック実施プログラムをダウンロードすることからはじめてください。http://stresscheck.mhlw.go.jp/

そして、労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアルhttp://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/pdf/150709-1.pdf と

ストレスチェック制度関係 Q&A 平成27年9月30日http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/pdf/150507-2.pdf 

とを読み比べながら、制度の全般を学習しましょう。

 

 

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職場復帰支援制度は、必要か、不要か

2015年12月25日 | 情報

 先日、あるセミナーを受講しました。
そして、「職場復帰支援制度の大義名分」について、パネラーの専門家、実務家に質問しました。
専門家である、労働問題専門の弁護士の回答です。
「くるまの運転技術と一緒で、いきなり職場復帰させるのは難しい、徐々に慣らしながらすることが必要だ」
実務家である、企業の人事労務担当者の回答です。
「企業は、利益だけを追求する組織ではない、従業員へのやさしさ、温かさも必要」

なぜ、このようなことをいきなり、掲載したのか?を説明します。
まず、実態として、大企業の約半数が、職場復帰支援制度を導入・運用しています。
ということは、半数近くの大企業は、職場復帰支援制度を導入していないと推定できます。
ということは、大企業の考え方、対応が二分化していることを示しています。

そもそも、職場復帰支援制度は、法令で求められていません。
通達以下の、職場復帰支援の手引きが発出されているだけです。
職場復帰支援制度の規定には多くの労力が必要ですし、制度の運用には、さらに多くの労力が求められます。
すなわち、想像を超えるヒト・モノ・カネが必要なのです。
また、企業には、労働契約法第5条で、「安全配慮義務」を求められていますが、
これに相対する労働者には、労働契約で交わした債務の本旨を履行するために、健康保持義務があると言われています。
病気が治って、復職したら直ぐに働くことができるようにすることが、労働者の義務でもあるのです。
確認しますが、会社は、リハビリ施設ではないのです。当たり前です。

さらに、職場復帰支援制度は、世界に類を見ない、まさにガラパゴス制度であることをご存知ですか?
ところが、グローバル規模の製薬会社、ルンドベック社の調査によると、例えば、
「自社のうつ病社員へのサポート制度に満足してるか」と管理職に質問したところ、調査対象16か国のうち、
日本は21%と、最低であったということでした。
最後に、大企業の対応もまちまちです。大企業の半数では、職場復帰支援制度を導入していますが、
残りの半数は、実は職場復帰支援制度を導入していないのです。
多くのヒト・モノ・カネを投入して、職場復帰支援制度を導入しているにもかかわらず、
このような評価しか得られないということは、どういうことなのでしょうか。

ここで、冒頭の質問に至るわけです。
職場復帰支援制度を導入・運用している、大義名分はあるのか、あるのならどのような大義名分なのかと。
当ブログを閲覧いただいている、企業の人事労務担当のみなさま、上記の回答で納得されますか?
どうも、「周りが実施しているので、わが社も実施しなければならない」
「顧問の弁護士や社労士が導入・運用を勧めた」等々で、確固たる信念、または大義名分があって、
職場復帰支援制度を導入・運用しているのかという、疑念が生じるのです。
御社は、確固たる信念、または大義名分があって、職場復帰支援制度を導入・運用しているでしょうか?
あえて、お尋ねします。

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休職中にやることを整理すると

2015年12月24日 | 情報

今回は、会社側にも、休職者側にも共通する、基本的な事項の確認です。
うつ病等の精神疾患をり患し、残念ながら当事者が休職に至った場合に、考えなければならないことは、
以下の3つに整理することができます。
すなわち、①治療、②生活、③社会復帰、です。

まず、はじめは治療です。当然のことなのですが、病気を治療しなければなりません。
精神疾患には、精神科やメンタルクリニック等の医療機関が対応することになります。
ところが、そう簡単には、事が進みません。
誰にも、内科や歯科には、お世話になった経験が多数あるでしょうが、
精神科やメンタルクリニック等の医療機関は、初めてという方がほとんどでしょう。
ですから、精神科やメンタルクリニック等の医療機関が何処にあるのかを探すことから始めなければなりません。
そして、どの医療機関が信頼できるのか、わたしの病気を的確に治療してくれる機関は、どこなのか、
全く手探りの状態におちいることになります。これは、致し方ないことなのです。
実際、納得のいく精神科医に巡り合えないで、いくつものクリニックを渡りあるくことは、珍しくないようです。
ですから、ここでは会社側の支援が必要になるのです。たとえば優良な医療機関の紹介などです。

次に、生活です。
大企業では、休職中でも手厚く支援する制度が整っている場合もありますが、中小の場合は、そうはいきません。
もちろん、労災認定されれば公的な支援は万全ですが、ほとんどの場合は、私傷病扱いですから、休職すれば無休になります。
そこで、最初に登場するのは、健康保険に規定されている傷病手当金です。
傷病手当金は、1年と6か月間、収入の約6割が保障されるという公的支援制度です。
しかし、その後はどうなるのか。それが、厚生年金保険制度にある、障害厚生年金の受給ということになります。
実際には、傷病手当金までは、会社側が、当然に関与するのですが、
障害厚生年金の受給手続きまでは、どういうわけか、会社側が支援しないことが多いのですね。
受給手続きは、当事者にとっては初めて尽くしですから、会社側の支援を期待したいと考えます。
これらの公的な支援で、最低限の生活レベルを確保することになります。

最後が、社会復帰です。休職中であれば、「復職」、在職していた企業を退職した場合は、「再就職」ということです。
「復職」の場合は、在職する企業の就業規則等に従って、職場に戻ることになります。
復職前のリワークですとか、企業側が関与する職場復帰支援策などが相まって、復職にこぎつけることが可能になります。
また、「再就職」の場合は、ハローワーク等の公的機関の支援に基づき、新たな就労先を探すことになります。
ここで強調したいことがあります。精神疾患をり患した方々が強く望むことは、
公的な支援を受ける立場から、就労を果たし社会貢献できる立場に転換することなのです。
たとえ、障害者枠での雇用でも良いのです。
180度立場が変わるわけですから、再就労を希望する方々の立場、思い入れ、心境を理解してあげてください。
ところが、企業側のみなさんは、このことを意外と理解していない様子が窺えます。

以上のことを、意外と整理できていないことが、会社側にも、休職者側にも共通して受ける印象です。
以上のように整理してみると、ごく当たり前のことばかりなのですが、今回、あえて簡単に整理してみました。

 

 

 

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休職制度の基礎を再確認

2015年12月23日 | 情報

 当ブログでは、職場復帰に関しては熱心に?紹介してきましたが、休職に関しては、若干疎かにしてきたきらいがあります。
そこで、休職制度の基礎を再確認しましょう。
休職に関しては、労基法には何ら定めがありません。
各企業が独自の考えで規定している制度です。
また、休職規程は私傷病等が対象であり、「解雇猶予制度」とも言われています。
この私傷病が対象ということに、誤解が多く見受けられます。
業務上の傷病は「労災」になります。専門家といわれる先生も混同ないしは誤解しているのですね。
厚生労働省のHPに掲載されている、モデル就業規則より、休職規程を抜粋してみました。

労働者が、次のいずれかに該当するときは、所定の期間休職とする。
① 業務外の傷病による欠勤が  か月を超え、なお療養を継続する必要があるため勤務できないとき   年以内
② 前号のほか、特別な事情があり休職させることが適当と認められるとき             必要な期間
2 休職期間中に休職事由が消滅したときは、原則として元の職務に復帰させる。
ただし、元の職務に復帰させることが困難又は不適当な場合には、他の職務に就かせることがある。
3 第1項第1号により休職し、休職期間が満了してもなお傷病が治癒せず就業が困難な場合は、
休職期間の満了をもって退職とする。

(解説)
1 休職とは、業務外での疾病等主に労働者側の個人的事情により相当長期間にわたり就労を期待し得ない場合に、
  労働者としての身分を保有したまま一定期間就労義務を免除する特別な扱いをいいます。
  なお、本条第1項第2号の「特別な事情」には、公職への就任や刑事事件で起訴された場合等がそれに当たります。
2 休職期間中に休職事由がなくなった場合は、当然に休職が解除され復職となります。
3 休職の定義、休職期間の制限、復職等については、労基法に定めはありません。

多くの企業においては、この休職規程をベースに、独自の休職規程を規定していることでしょう。
一方で、これでは不安だ、物足りないとお考えの担当者の皆さんは、
ネット上に公開されている休職規程例を参照されていることでしょう。
参考までに、中災防のHP上で紹介されいる休職規程例は、よく出来ている規程例でしょう。
www.sanpo15.jp/mental-shien/kyuushoku-hukushoku.doc

しかし、これでも物足りなさを感じます。
例えば、休職期間の積算規程などは、とても重要と考えています。
現実に、多くの企業では、この積算規程を必須事項としてしています。

余談ですが、労基法で定められていない、休職制度がなぜ厚労省のHP上で紹介されている
「モデル就業規則」に記載されているのか、疑問に感じませんか?
会社は、従業員の待遇改善のために、法令で規定されている以上の就業規則を規定することが、多くあります。
しかし、この就業規則を、会社側の都合で法令通りに戻したりする、
すなわち従業員にとっては待遇が低下することになるのですが、
これを「不利益変更」といって、相当な理由がない限り許されません。
ですから、小生は休職規程は、必要と考えていますが、規定にあたっては慎重に考慮する必要があります。


 

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