中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

(プラス情報)ホワイト企業ランキング

2023年09月30日 | 情報
安全衛生優良企業公表制度による「ホワイト企業ランキング TOP100 2023年9月版」が公表されました。
それにしても、ますます拡大成長している、健康経営優良法人認定制度(通産省)に比べて、
安全衛生優良企業公表制度(厚労省)は、よく意味の分からない、陳腐な制度に落ちぶれてしまいましたね。

ホワイト企業ランキングTOP100
ホワイト企業ランキング TOP100 2023年9月版
2023年9月版ホワイト企業ランキングTOP100の傾向は、5つのホワイト企業マークを取得した企業が13社となりました。
また、上位10社に入る企業では、TOP100全体での取得数の多い
「健康経営優良法人認定」「くるみんマーク認定」「プラチナくるみんマーク認定」「えるぼしマーク認定」に加え
「プラチナえるぼしマーク認定」の取得が上位ランクインのポイントとなっています。
「プラチナえるぼしマーク認定」取得企業は、2023年9月現在、41社とまだまだ少ない印象です。
今後も、「プラチナえるぼしマーク認定」取得企業が増え、TOP100上位を占めることが予想されます。
また、安全衛生優良企業公表制度(ホワイトマーク)の取得企業は、2023年9月現在、21社と他マークと比較しても少なく、
「安全衛生優良企業公表制度(ホワイトマーク)」、「プラチナえるぼしマーク認定」の取得が上位ランクインのポイントとなりそうです。
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にわかに信じがたい

2023年09月29日 | 情報
逸失利益を計算すると、このような高額になるのでしょうね。
そもそもの問題を別にしても、本来の業務である「消防活動」は円滑に推進できるのでしょうか?
それにしても にわかに信じがたい新聞報道です。

消防本部で【パワハラ自殺】「飲み会への送迎」「上司借金の連帯保証人」
「自宅まで押しかけ長時間の業務指導」
遺族が菊池広域連合を提訴
熊本放送 23.9.14

菊池広域連合消防本部の男性が上司のパワハラを訴え自殺した問題で
遺族が菊池広域連合を提訴していたことがわかりました。
訴えを起こしたのは菊池広域連合消防本部に勤めていた男性の遺族です。
訴状によりますと男性は夜勤明けに自宅まで押しかけてきた上司から業務指導を受けたり、
担当ではない台帳整理の業務や飲み会への送迎などをさせられたりしたということです。
男性は2020年1月にうつ病などの診断を受け、入院。
3か月後の4月に一度は職場復帰したもののすぐに再入院し、自殺しました。
遺族は安全配慮義務を怠ったとして菊池広域連合に対し、あわせて約1億1850万円の損害賠償を求めています。
菊池広域連合はRKKの取材に対し「訴状は確認したがコメントは差し控える」としています。
この問題をめぐっては、おととしの2021年3月に第三者委員会が上司の言動をパワハラと認定し、
自殺との因果関係も認めたほか、去年7月には公務災害としても認定されていました。

■時系列でみた事態の推移
・1998年ごろから2019年ごろ
月に3~4回ほど夜勤明けに上司が自宅訪れ、遅い時は夕方ごろまで業務の指導を受けた
・2018年4月ごろから2019年12月ごろ
勤務中に別部署の上司から業務指示を受けた。
その上司は業務知識に関する問題を出したり、台帳整理を依頼したりした。
・2019年10月ごろ
担当ではない500~600冊ある台帳の分類業務を指示された。
上司の借金の連帯保証人にされたり、業務外の火災報告書の作成などを指示され、飲み会への送迎もさせられた。
2020年1月18日 不眠・不安焦燥感・胃痛・手足の発汗が出現
1月21日 うつ病・自閉症スペクトラム障害・統合失調感情障害などで入院
3月19日 退院(~31日まで病気休暇)
4月3日 仕事復帰
4月2日と10日 出金に対する不安で受診
4月13日 再び入院
4月19日 自殺を図る
4月28日 低酸素性脳症で死亡
(訴状に基づく)

自殺の消防職員遺族が損賠提訴 地裁 /熊本
毎日新聞 2023/9/13 

熊本県の2市2町でつくる菊池広域連合消防本部に勤務する男性係長(当時47歳)が、
上司から必要でない業務を押し付けられるなどして、うつ病を発症し自殺したのは、
広域連合が配慮を怠ったためだとして、遺族が約1億1800万円の損害賠償を求め熊本地裁に提訴した。7月19日付。
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心理的負荷による精神障害の労災認定基準を改正(続編)

2023年09月27日 | 情報
◎心理的負荷による精神障害の労災認定基準の改正(令和5年9月1日付け基発0 9 0 1第2号)が発出され、
当ブログでも紹介しています。

◎うつ病の原因は、業務上、あるいは私傷病、個体要因のいずれかとされています。
私傷病の原因は、配偶者をはじめとする家族の死、倒産・破産、病気・ケガ等ですから、原因のほとんどは業務上と推測できます。
小職は、以前より指摘してきましたが、うつ病での診療機関の受診者は、年間約100万人です(厚労省;患者調査)。
それなのに、精神疾患による労災認定は、年間で約1000人程度を前後しています。

◎「心理的負荷による精神障害の労災認定基準」は、あまりにもハードルが高すぎませんか?
という問題指摘を受けて、今回厚労省はその一部を改正しました。
この改正については、日頃より口の悪い、有力日刊紙Aも問題提起していましたが、
この指摘については小職も賛同します。小手先の改正ですよね。

◎批判を承知で申し上げますが、どこで起きたかわからない擦り傷でも、
労災申請すればほぼ100%、認定されます。
この彼我の差をどう受け止めればよいのか、全く分かりませんね。

◎御社のメンタルヘルス対策は、万全でしょうか?
いわゆる「モグラたたき」対応にならないよう、健康的な社内風土の醸成に努めてください。

◎それには、昨日紹介した「職場の心理的安全性」という考え方が役立ちますね。

◎厚労省HP;「心理的負荷による精神障害の労災認定基準を改正しました」


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職場の心理的安全性

2023年09月27日 | 情報
◎組織論、臨床心理学の両面から注目を集めています。

◎心理的安全性(psychological safety)とは、
チームの他のメンバーが自分の発言を拒絶したり、罰したりしないと確信できる状態」をいう。
メンバー同士の関係性として「このチーム内では、
『メンバーの発言や指摘によってチーム内の人間関係の悪化を招くことはない』という安心感が
チームメンバー間で共有されていること」が重要なポイント。
心理的安全性の高い状況のチームでは、メンバーはどんな疑問・質問やアイデアを提案しても
チーム内で受け止めてもらえると信じているので、思いついたアイデアや考えを率直に発言することができる安心感がある。
社内の現行業務やシステムなどに対して、斬新な提言やアイデアを自由に話し合える雰囲気がある組織を
「心理的安全性」の高い組織と言える。

◎提唱者は、ハーバード大のエイミー・エドモンドソン教授、1999年。
◎具体化したのは、2015年にグーグル社の人事データ分析チーム。
「成功するチームは心理的安全性が高い」と発表したことによる。(註)

◎実証研究の結果、生産性アップの成功ポイントとして以下の5つが関係していること、
そのためには、チームとしての生産性が向上する環境づくりが明らかにされた。

心理的安全性
チーム内では、マイナスのイメージにつながる発言や行動をとっても、
嫌われたり、馬鹿にされたりしないとの安心感が持てるので、
素の自分や自分の弱み等をさらけ出すことができる状態。

信頼性
お互いを信頼しているチームでは仕事の質やスピードが上がるが、
チーム内の信頼性が下がると仕事を押し付け合い、放棄する状態になる。

構造と明瞭さ
生産性を上げるためには仕事の明瞭さが大切であり、メンバーがチームの構造を理解していることが重要である。
そのため、リーダーは具体的で達成可能な業務設定をすることが重要である。

仕事の意味
メンバーが仕事の意味や目的意識を共有することがチームの生産性アップにつながる。

インパクト
メンバーが仕事に意義を認めるためには、仕事のインパクトが必要である。
自分たちが良い結果を出せば、会社や社会に対してよい変化を起こせるという
心理状況を作ることがリーダーには求められる。

◎この結果からさらに、生産性の高いチームには
均等な発言機会」と「社会的感受性の高さ」という2つの要素があることがわかった。
なお、社会的感受性とは、自分の発言が相手に与える影響を理解し、
相手の言動から相手が伝えたいことを読み取る能力のことをいう。

(註)「How Google Works:私たちの働き方とマネジメント」日経BP,2014

◎このような職場であれば、メンタルヘルス問題は遠い世界の話でしょうね。
なお、当記事は、森崎美奈子(一般社団法人産業心理職協会)の論文を中心に作成しています。
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(プラス情報)アスリートのメンタルケア

2023年09月24日 | 情報
杭州アジア大会 日本選手団が選手村に漫画喫茶を開設へ 尾県団長「心のケアは非常に大切」
2023/9/15 毎日

23日開幕の杭州アジア大会に出場する日本選手団の結団式が15日、都内で行われた。尾県貢団長(64)は選手のメンタルヘルスケアを重視することを強調。「選手の心のケアは非常に大切。今はSNSでの外部からの攻撃もある。休む暇もなく攻撃される可能性があるので、しっかり対策をしたい」と語った。
選手の心のケアを管理する役割として、ウェルフェアオフィサーを設置。谷本歩実副団長(42)や本部役員の石川佳純さん(30)ら若手スタッフも選手の悩みを聞く相談役的な役割を担い、SNSで攻撃を受けた際には一人で抱え込まずに報告してもらうことなどを徹底する。

JOC、アスリートのメンタルケアに注力 SNSでの誹謗中傷対策にも言及
2023/9/15 毎日

日本オリンピック委員会(JOC)が15日、都内で『第19回アジア競技大会(2022/杭州)』のTEAM JAPAN結団式と記者会見を開催。団長の尾縣貢氏、副団長の水鳥寿思氏、谷本歩実氏、井上康生氏のほか、各競技の出場選手が出席した。
アジア・オリンピック評議会(OCA)が主催する同大会は、アジア地域を対象にした国際総合競技大会。原則4年に一度開催される。次回(第19回)の開催地は、中華人民共和国浙江省の省都・杭州市。当初は2022年に開催される予定だったが、中国国内の新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大の影響を受けて1年延期し、2023年の開催となった。大会期間は今月23日から10月8日まで。40競技481種目が実施される。
昨今では、8月6日にクリーブランド・キャバリアーズのリッキー・ルビオ選手が、スペイン・バスケットボール連盟を通じて「メンタルヘルスの問題へ取り組むため、プロとしての活動を休止する」と声明を発表するなど、アスリートのメンタルケアについての議論も積極的に交わされている。
尾縣氏は「JOC、パリ五輪対策プロジェクトチーム内でも様々な協議が行われている」といい、「ウェルフェアオフィサー」の登用を発表した。一方で、「SNSによる攻撃の可能性もある」と、選手への誹謗中傷も警戒。「万全とは言えないが、しっかりとした対策を取っていく」と意気込み、「東京オリンピックでは、そこを担ってくれたのが谷本さんでした。そこに石川佳純さんにも協力していただいて、選手たちのサポートに努めていきたい」と、本部役員として帯同する石川佳純への期待も口にした。
ソフト面での対策を語った尾縣氏に対し、井上氏はハード面の充実を約束。「どこまで選手やスタッフの心の拠り所になれるかという課題とは別に、選手がリラックスできる場所や試合に集中できる環境、安らげる環境を作っていく。そのためにも今大会で課題を見つけていきたい」と力を込めた。

杭州アジア大会 日本選手団が選手村に漫画喫茶を開設へ 尾県団長「心のケアは非常に大切」
2023/9/15 毎日

23日開幕の杭州アジア大会に出場する日本選手団の結団式が15日、都内で行われた。尾県貢団長(64)は選手のメンタルヘルスケアを重視することを強調。「選手の心のケアは非常に大切。今はSNSでの外部からの攻撃もある。休む暇もなく攻撃される可能性があるので、しっかり対策をしたい」と語った。
選手の心のケアを管理する役割として、ウェルフェアオフィサーを設置。谷本歩実副団長(42)や本部役員の石川佳純さん(30)ら若手スタッフも選手の悩みを聞く相談役的な役割を担い、SNSで攻撃を受けた際には一人で抱え込まずに報告してもらうことなどを徹底する。

◎公益財団法人 日本オリンピック委員会
令和5年度 事業計画




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