改正法案は、国だけに義務付けていた自殺対策の計画を、全ての都道府県と市町村が策定するよう定めています。
さらに、自殺の恐れがある人への精神医療の体制整備に加え、
新たに医師や福祉の専門家、民間団体の関係者による連携確保も求めています。
改正自殺対策法、成立へ 地域に合った施策推進
2016/2/24 日経
自殺を未然に防ぐための計画策定を新たに地方自治体に義務付ける自殺対策基本法改正案が24日、
参院本会議で全会一致により可決された。今後衆院で審議し、今国会で成立の見通し。
子供の自殺阻止に向け、学校に保護者らとの協力を一層強化するよう促しているのも特徴で、4月に施行される。
2015年の自殺者数は警察庁集計の速報値で約2万4千人。
3万人を超えた1998~2011年に比べ減少したが、いじめなどを原因とする若者の自殺は依然目立つ。
法改正を受け、自治体や教育現場が地域の実情に沿った細やかな施策を実現できるか注目される。
自殺対策基本法は06年に議員立法で成立。施行から10年となるのを機に超党派の議員連盟が改正法案をまとめた。
改正法案は、国だけに義務付けていた自殺対策の計画を、全ての都道府県と市町村が策定するよう定めている。
国の計画は「失業や多重債務などの要因を踏まえ総合的に取り組む」としており、
成立後は、自治体が自殺者の年代や職業などの傾向を分析した上で具体的な支援策を盛り込んだ計画を作る。
また新たに、国と自治体が学校などでの相談体制を整え、教員らへの研修の機会を設ける。
学校が保護者や地域住民と連携し、児童や生徒らへの教育や啓発に取り組むことも規定。
いじめや悩みを一人で抱え込まないよう「SOSの出し方」などを教えるという。
さらに、自殺の恐れがある人への精神医療の体制整備に加え、
新たに医師や福祉の専門家、民間団体の関係者による連携確保も求めている。
15年版自殺対策白書によると、14年の自殺者約2万5千人のうち40歳未満は26%。
自殺の原因は健康問題、経済・生活問題、家庭問題、勤務問題を挙げている。
全国各地では、いじめなど学校での問題が原因とみられる中学生や高校生の自殺もたびたび起きている。〔共同〕
自殺対策基本法の一部を改正する法律案(厚生労働委員長提出)
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/190/pdf/t071900011900.pdf
(参考)
昨年の自殺者、18年ぶり2万5千人下回る 6年連続減
2016年1月15日 朝日
昨年1年間に自殺した人は2万3971人(速報値)で6年連続の減少となり、1997年以来18年ぶりに2万5千人を下回った。
男性が7割を占めた。警察庁が15日に発表した。
78年から統計を取り始め、最も多かったのは2003年の3万4427人。
10年から減少を続け、12年から3万人を下回っている。昨年は、前年より1456人(5・7%)少なかった。
都道府県別では秋田、群馬、石川、三重、和歌山、島根、岡山、山口、熊本、沖縄の10県が前年より多かった。
人口10万人あたりの自殺者は多い順で、秋田26・8人▽島根25・1人▽新潟24・9人だった。
統計を分析している内閣府によると、昨年1~11月の自殺者2万2171人の動機(1人につき三つまで選択)は
「健康問題」が1万953人で最多だった。
「経済・生活問題」「家庭問題」が続いた。東日本大震災に関連した自殺者は前年同期に比べ1人多い22人。
県別は福島19人、岩手2人、宮城1人だった。
内閣府は「全体として減少傾向にあるが、依然として多い。対策を続けていく」としている。