中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

復職問題Q&A⑦

2021年02月26日 | 情報

Q;従業員150人ほどのコンサルティング会社です。精神疾患で休職中の従業員から、
復職したいとの申請がでました。
しかし、時節柄、デスクワーク主体の従業員には在宅勤務をメイン(平均で70%くらい)の
シフトを組んでいます。

当該復職希望者の場合、復職後はどういう形態で勤務してもらうのが良いでしょうか。

 

A;まず、復職希望者に出社(注;場所は、問いません)してもらい産業医面談を実施しましょう。
その後産業医を交えて対応策を検討します。会社側の考え方がまとまったところで、
復職申請者に出社してもらい、復職方法についての聴取や、
現状認識の共有化を図るために面談しましょう。
都合、復職前に2度、会社に足を運んでもらうことになります。

 

その事前情報として、専門家の知見、助言を総合すると、顔色を見たり、話し方を見たり、
声の調子を判断するということは、やはりオンラインでは難しいようです。
ですから、復職は、事業所に出社することを中心にして勤務ローテーションを組むとよいでしょう。
復職後のフォローもオンラインではなく、出来る限り対面で行うことをお勧めします。
直属の上司や管理職には、相当な負担がかかりますが、
準有事の状況ですから、止むを得ないところでしょう。

 

なお、当ブログでも、再三述べてきましたが、各事業場が「どのような状態になれば、
復職を認めるのか」という基準を設定し、事前に休職者に説明しているかが重要なポイントです。
会社がこのことを休職者にしっかりと説明し、休職者の理解が得られていれば、
復職に関しては、大きなトラブルを防ぐことができます。

 

具体的には、「主治医の復職を可とする診断書が提出されれば復職を認める。
一方で、休職前のパフォ―マンスを発揮できると自己認識できれば復職を認める。」
多分、多くの企業は、この範囲内で復職規程を定めているはずです。
前述の規程ですと、会社側の負担は大きいものがあるでしょう。
後述の場合でも、準有事の状況ですから、ある程度の負担が会社側にかかることは
覚悟する必要があるでしょう。

 

ですから、基本に戻ります。
繰り返しになりますが、休職者の症状が安定期に入った段階、あるいは休職する段階で、
復職に関する会社の考え方を
当該休職者に説明することが必要になります。

そこでは、どのような回復状況になれば、会社として復職を認めるのかをはっきりさせます。

次に、コロナ禍における職場復帰の具体的な対応要領を説明しておきます。
休職者は、これらの会社説明を考慮しながら、
復職に向けての自身の対応策を考えてもらうことになります。

 

 

 

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おさらい、です

2021年02月25日 | 情報

当ブログで、自死(自殺)の事案を度々取り上げて、様々な知見、事例、事案を紹介しています。
なぜ、自死(自殺)の事案を度々取り上げているのかを説明します。
当ブログをお読みいただいている皆様には、自明のことでしょうが、素人なりに以下再確認です。

精神医学の領域においては、アメリカ精神医学会が多くの知見を発表しています。
その中のひとつが、精神疾患の診断・統計のマニュアル、所謂、診断基準・DSM5です。
なお、この領域において全くの門外漢である小職には、アメリカ精神医学会が、
精神医学の世界のリーダーシップを握っているように思えます。たぶん、そうなのでしょう。

閑話休題。
アメリカ精神医学会が公表しているDSM5という診断基準が、
さまざまな精神疾患の診断基準の世界標準になっており、
ほとんど、または全ての精神科医はこの診断基準に基づいて、診断をしています。
その中に、「うつ病(DSM‒5)/大うつ病性障害」(Major Depressive Disorder)、
いわゆる「うつ病」がありますが、その診断基準は、以下のようになっています。

以下のA~Cをすべて満たす必要がある。

A: 以下の症状のうち5つ (またはそれ以上) が同一の2週間に存在し
病前の機能からの変化を起している; これらの症状のうち少なくとも1つは、
1 抑うつ気分または
2 興味または喜びの喪失である。
注: 明らかに身体疾患による症状は含まない。

以下の症状のうちの、NO.9が
「9. 死についての反復思考 (死の恐怖だけではない)、特別な計画はない反復的な自殺念慮、
自殺企図、または自殺するためのはっきりとした計画。
」なのです。
1.~8.を省略
B: とC: も省略

ですから、当ブログで、自死(自殺)の事案を度々取り上げているのです。
なお、自殺念慮とは、死にたい気持ちをいい、
自殺企図とは、自殺について考え、計画することをいいます。

 

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復職問題Q&A⑥

2021年02月24日 | 情報

Q;従業員100人超の流通業で人事労務課長をしています。
会社としては、精神疾患で休職中の従業員は2回目の休職ですから、
今度は復職を成功させたいと考えています。
そこで、復職に向けてリワークを受けさせたいのですが、
当該従業員の主治医は不要であると回答してきました。どうしたらよいでしょうか?

A;まず、主治医の治療方針に異論を唱える、または介入する、
というような行為は、慎むべきと考えます。
実際に異を唱えても、たぶん、主治医には無視されることでしょう。
それよりも、主治医からは「これ以上のことはお断りです。以後連絡はしないでください。」
程度のことを言われかねません。
大切な主治医とのコミュニケーションが断絶してしまいます。ご注意ください。
原則として、疾病の治療は、あくまでも休職者本人の意志で、
主治医の診療、助言を受けながら進めるべきものです。

ただし、休職者から助言を求められれば、会社の考えは伝えてもよいでしょう。
しかし、会社の考えを強制することはお勧めできません。

それでも、会社としてのご心配は、よく理解できるところです。そこで、今後の進め方の提案です。
1.御社の産業医のご意見、助言を聴取してください。
2.その前に、産業医に対して、現状と会社の考えを説明し、産業医との情報交換をすすめ、
最善策を模索してもらってください。
3.結果として、リワークが必要となれば、リワークに取組めばよいでしょうし、
やはり不要との結論に至れば、休職者と主治医に対応を任せるのが、穏当と考えます。

 

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喫煙はがんや高血圧、うつ病、認知症のリスクを高める。

2021年02月23日 | 情報

禁煙、節酒、運動… 国立施設、健康寿命延ばす提言公表

2021219日 朝日

 

「たばこは吸わない」「節酒する」「活発な身体活動を」。
健康で長生きするための提言を、国立がん研究センターや国立循環器病研究センターなど
六つの施設がまとめ、19日に公表した。様々な病気にまたがっての予防への提言は国内で初という。

高度専門医療を担う6国立施設が連携して、住民の健康状態の追跡調査や
国内外の研究・論文をもとに、健康寿命を延ばす科学的根拠が十分と判断した10項目を
厳選して示した。
健康によいとされる情報は多くあるが、不確かなものも多い。
まずこの提言から始めてほしいと研究者は言う。

喫煙はがんや高血圧、うつ病、認知症のリスクを高める。
他人の煙を吸う受動喫煙も、がんや呼吸器の病気のリスクを高める。

酒を飲むなら節度を心がける。適正量は1日あたり男性は日本酒なら1合(アルコール量23グラム)、
女性はその半分までとする。また、飲まない休肝日をもうけることを推奨する。

食事は多すぎず少なすぎず、バランス良くとることが基本となる。
赤肉(牛や豚)や加工肉の多量摂取や、甘味飲料は控える。
野菜や果物は適切に、大豆製品は多くとることを推奨する。

体格については、やせすぎも肥満も、死亡リスクを上げる。
やせていると感染症や脳出血、肥満だと循環器病や糖尿病のリスクが高まる。
ライフステージに応じて適正な範囲で維持することを目標とし、
BMI(体格指数)などの具体的な推奨値は設けなかった。

身体活動が多いと、がんや循環器病、糖尿病のリスクが下がることがわかっている。
目標として、現状より110分多く体を動かす歩行かそれ以上の強度の活動を160分する
高齢者は強度を問わず140分動く――を挙げた。

提言をまとめた津金昌一郎・国立がん研究センター社会と健康研究センター長は
「病気の予防に関する情報があふれるなか、まずこれを守っていただきたいという内容をまとめた。
自分ができていないと思う点、できることから実行してほしい」と話す。

6施設は科学的根拠が不十分な部分の研究をさらに進め、提言を更新していくという。

https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2021/0219/index.html

国立高度専門医療研究センター6機関の連携による
「疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言(第一次)」公開

 

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在宅勤務でもハラスメント 

2021年02月22日 | 情報

在宅勤務でもハラスメント 女性の2割が「ある」

2021/2/20 日経

 

在宅勤務中に「ハラスメントがある」と感じている女性は2割いることが、

メンタルヘルステクノロジーズ(東京・港)の調査でわかった。

新型コロナウイルス感染症の拡大により在宅勤務を導入する企業が増えるなか、

職場の人の目につかない形で広くハラスメントが起きている可能性がある。政府による対策も急務だ。

 

在宅勤務中にハラスメントと感じた例

・不快なコミュニケーション

・チャット上での嫌がらせ

・対面よりふざけた発言

・勤務時間外の業務連絡

・不急の電話、メール

・出社の強要

・仕事していないと決めつける

 

会社員を対象に202012月、インターネットでアンケートを実施し、
女性410人、男性308人の合計718人から回答を得た。

勤め先の企業や部署がリモートワークやテレワークなど在宅勤務を「導入している」とした人は30%

そのうち30%が在宅勤務中に社内でのハラスメントを感じると回答した。

「感じる」と回答した人の割合は男性(38%)より低かったが、女性でも23%いた。

在宅勤務中にハラスメントだと感じた具体的な内容は「対面のときよりふざけた発言」

「チャット上での嫌がらせ」などコミュニケーションに関するもののほか、

「出社しなければ仕事できない」と決めつけ、出社を強要する例などがあがった。

 

 

企業で働く男女718人に聞く、オン・オフラインでのハラスメントに関する調査

~男性へのハラスメント対策と、新ハラスメント「リモハラ」「テレハラ」対応が急務~

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000033.000027306.html

 

株式会社メンタルヘルステクノロジーズ

202125

 

結果サマリー

約4割が会社もしくは部署の中でハラスメントがあると感じている!

オンラインでも約3割がハラスメントを感じている!

テレワーク導入企業は全体の3割程度!

オン・オフライン問わず、男性の方がハラスメントを感じている!

出社強要など新たなハラスメント「リモハラ」「テレハラ」の発生!

 

 

 

 

 

 

 
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