中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

社員の育成で気になること

2013年01月11日 | 情報
トラの親は、子供を敢えて千丈の谷に突き落とすそうですね。
谷底から這い上がってきた子供だけをわが子として育てるという、言い伝えがあり、
これを翻って人間教育に当てはめるようなことが言われてきました。
因みに、この題材は、能や歌舞伎に伝えられて今日に至っています。

また、豹は子が1年半くらいになると、親は子に無関心を装い、攻撃を仕掛けるといいます。
そうなると子供は親に甘えることができなくなりますので、餌を求めて自分一人で旅に出かけます。
そのまま飢え死にするかもしれませんが、親に放っておかれますのでしっかりした豹に育ちます。

ところで、人間社会はどうなのでしょう。トラとは一緒になりませんが。
作家の曽野綾子さんは、「文化とか自分の個性は『能動』で作るべきでしょう。『たとえ間違っていようとも、
これをやるんだと』と。それが今は『受け身』。そのおかげで日本全体がどうしようもないほど幼稚になりました。」
(読売新聞、'13.1.1)と述べておられます。
逞しい人間に育て上げることが、親の一番の義務であるにもかかわらず、
今の親は、子供をペットのように育てることが良いことだ、と思っているのではと想像してしまいます。
子供は恵まれすぎて、怠け者になっているのではないでしょうか。

このようにして成長してきた若者が、社会に進出するわけですから、いま、若手社員の育成に、
企業の人事・教育部門が困っているのは当然でしょう。
社会人になって早々に自立してくれれば何ら問題はないのでしょうが、
どうしても会社・組織側から「手を差し伸べざるをえない」のが現状でしょう。
手を差し伸べる、ことは重要なことですが、それではいったい何時まで「手を差し伸べれば」よいのでしょうか?
まさか、定年退職するまでと考える人はいないでしょうが、冗談抜きで、そのような状況に早晩追い込まれるのではないでしょうか。
社員教育における集合教育やOJTは、プロとして、独り立ちさせることが目標ですので、
その育成過程で、「手を差し伸べること」は必要なことです。
しかし、「手を差し伸べること」は、あくまでも二次的な手段であり、
第一義としては、自ら学び、自ら成長し、自ら道を切り開いていくよう促すことが大切です。

「手を差し伸べること」が行き過ぎると甘やかしになります。「甘やかしは毒薬である」といいます。
何時までも「手を差し伸べて」いたのでは、明日の御社を背負って立つ人材の育成は、望めません。
「手を差し伸べる」ことは、あくまでも二次的手段であることを、企業・組織の人事・教育担当は肝に銘じるべきと考えます。
正月早々、厳しいことを申し上げますが、MH問題から派生する、企業・組織の考え方に疑問を感じましたので。



 


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする