中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

未達成企業5社を公表

2023年03月31日 | 情報

一方で、障がいのある労働者を、法定基準以上に雇用し、
その持てる能力を十二分に引き出している企業がたくさんあることを理解してください。

法律で義務の障害者雇用 勧告後も改善見られない企業5社を公表
2023年3月29日NHK

法律で義務づけられる障害者の雇用が十分でなく、国が勧告したにもかかわらず改善が見られないとして、
厚生労働省は企業5社を公表しました。

障害者雇用促進法では、企業に対し一定以上の割合で障害者を雇用するよう義務づけていて、現在は2.3%以上となっています。

障害者の雇用が十分でない企業に対し、厚生労働省は達成に向けた計画の作成を求め、適切に実施するよう勧告しますが、
従わない場合、企業名を公表できるとしていて29日に法律に基づいて5社を公表しました。

このうち、
▽東京の不動産仲介会社「タウンハウジング」と、
▽東京のビルメンテナンス会社「シーレックス」
▽広島の雑貨販売会社「サンポークリエイト」の3社は、
おととし12月に同じ理由で公表されていましたが、その後も改善が見られないとして「再公表」となりました。

ほかに公表された2社は
▽東京のスポーツ関連商品販売「ボードライダーズジャパン」
▽横浜の宝飾品販売「ベリテ」でした。

各社は「真摯(しんし)に受け止め障害者雇用の改善に向けて取り組みたい」などとしています。
厚生労働省によりますと、障害者雇用率を達成している企業の割合は、去年6月時点で48.3%と半数以下にとどまっています。

障害者雇用率は3年後には2.7%に引き上げられることになっていて、厚生労働省は引き続き改善指導に取り組むとともに、
企業への助成金を拡充するなどして対応を促すことにしています。

公表された企業5社のコメント
企業名が公表された5社は次のようにコメントしています。
▽タウンハウジングは「再公表となり、障害者雇用が課題だと捉えている。
障害者雇用のための事業所を設置するなど強化はしているが、真摯に受け止めてさらなる改善に向けて取り組みたい」としています。
▽シーレックスは「公表されたことを真摯に受け止めて改善に向けて努力していきたい」としています。
▽サンポークリエイトは「4人の障害者を雇用できたが雇用率達成までに至らず、現在、募集をしている。
ただ、採用には結びつかず、難航している。引き続き、障害者雇用に取り組んでいきたい」としています。
▽ボードライダーズジャパンは「厚生労働省からの指導を真摯に受け止め、状況の改善に向けて取り組んでおります」としています。
▽ベリテは「コロナ禍の影響もあり、思うように障害者雇用を進めることが難しかった。
公表されたことを真摯に受け止め継続して取り組みを進めていきたい」としています。

企業の障害者雇用の支援にあたる障害者就業・生活支援センターWEL’S TOKYOの堀江美里センター長は、
障害者雇用に消極的と見られる企業があることについて、新たな対策が必要だとして、
「障害者雇用に力を入れている企業の障害者の定着率を公表していくことや、
障害者の側からも意見をもらい会社を評価してもらうような制度を進めてもいいのではないか」と指摘しています。

また、企業では障害者にどんな業務に取り組んでもらうかが課題になっているとして
『障害者はこうした仕事しかできないだろう』という考えで、最初から決まった事務作業などにあてるのには限界がある。
個人の能力に合わせて『これはできるのでは』と考え本来業務に試験的に取り組んでもらうなどして、
できる仕事を増やしていくことが必要だ」と話していました。

◎関連資料(厚労省HPより)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/jigyounushi/page10.html

事業主の方へ
目次
1.障害者雇用率制度
2.障害者雇用納付金制度
3.雇用の分野における障害者の差別禁止及び合理的配慮の提供義務
4.障害者職業生活相談員の選任
5.障害者雇用に関する届出
6.障害者の虐待防止

事業主に望まれること
1.障害者が能力や適性が発揮でき、生きがいを持って働けるような職場作り
2.障害者雇用に関する優良な中小事業主に対する認定制度

事業主が利用できる支援策
1.障害者雇用に関する相談・支援
2.障害種別の支援策
3.精神・発達障害者しごとサポーター養成講座の開催
4.障害者の在宅就業支援
5.障害者雇用に関する助成金
6.障害者雇用に係る税制の優遇措置
7.好事例集

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ストレスチェック実施後の「医師による面接指導」

2023年03月30日 | 情報

ストレスチェック実施後、法令で定められている「医師による面接指導」に申出を行わない従業員に対する「支援体制」ができていますか?
それとも、そのままですか?
ある調査によると、多くの企業で方法までは詳らかではありませんが、それなりの対応策を講じているようです。

◎厚労省の調査によると、7割以上の企業では、高ストレス者の割合は「5%~20%」
そのうち医師による面接指導を申し出る者の割合が「5%未満」と回答しています。

面接指導を申し出る者の割合が「5%未満」と極端に低いのは、会社に結果を知られたくない、評価への影響を気にしている、
という理由のようです。当然ですよね。ストレスチェック制度導入当初から想定できていたことなのですが。

参考資料
・ストレスチェック制度の効果的な実施と活用に向けて(令和4年3月厚生労働省)

https://www.mhlw.go.jp/content/000917251.pdf

・医学的知見に基づくストレスチェック制度の高ストレス者に対する適切な面接指導実施のためのマニュアル 2021年 9 月版

https://www.mhlw.go.jp/content/000843224.pdf

◎面接指導を申し出ない、高ストレスを抱えている従業員に対してどう対処するのか、企業・事業場にとって大きな課題となっています。

それでは、どうすればよいのか?

小職は、ストレスチェック結果に基づかないで、産業医との通常の面談を実施すればよい、と提案、アドバイスしています。
それならば、産業医のレベルで止まることになり、面談があったこと自体、会社側に知られることはないからです。
そして、この制度は、あらかじめ社内に詳細に周知しておくことが求められます。

なお、「ストレスチェック結果に基づかないで」と記しましたが、当該従業員は、ストレスチェック結果を認識の上での面談ですから、
実質的にストレスチェック結果に基づく医師面談と同じことです。

◎参考までに、面接指導を申し出る者の割合が「5%未満」である状況をそのまま放置していても、
「安全配慮義務」違反を問われることはありません。
なぜなら、会社側はストレスチェック結果がわからないので、危険予知ができないからです。
ただし、通常の労務管理上、従業員の「いつもと異なる」行動、発言、態度を放置しておくと、
安全配慮義務違反を問われる可能性が高いことを認識する必要がありますので、念のために。

◎関係法令
・安衛法第13条 

事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、厚生労働省令で定めるところにより、医師のうちから産業医を選任し、
その者に労働者の健康管理その他の厚生労働省令で定める事項(以下「労働者の健康管理等」という。)を行わせなければならない。

4 産業医を選任した事業者は、産業医に対し、厚生労働省令で定めるところにより、
労働者の労働時間に関する情報その他の産業医が労働者の健康管理等を適切に行うために必要な情報として
厚生労働省令で定めるものを提供しなければならない。

5 産業医は、労働者の健康を確保するため必要があると認めるときは、事業者に対し、
労働者の健康管理等について必要な勧告をすることができる。この場合において、事業者は、当該勧告を尊重しなければならない。

・安衛則第14条(産業医及び産業歯科医の職務等)

法第十三条第一項の厚生労働省令で定める事項は、次に掲げる事項で医学に関する専門的知識を必要とするものとする。
一 健康診断の実施及びその結果に基づく労働者の健康を保持するための措置に関すること。
二 法第六十六条の八第一項、第六十六条の八の二第一項及び第六十六条の八の四第一項に規定する面接指導並びに
法第六十六条の九に規定する必要な措置の実施並びにこれらの結果に基づく労働者の健康を保持するための措置に関すること。
三 法第六十六条の十第一項に規定する心理的な負担の程度を把握するための検査の実施並びに同条第三項に規定する面接指導の実施
及びその結果に基づく労働者の健康を保持するための措置に関すること。
四 作業環境の維持管理に関すること。
五 作業の管理に関すること。
六 前各号に掲げるもののほか、労働者の健康管理に関すること。
七 健康教育、健康相談その他労働者の健康の保持増進を図るための措置に関すること。
八 衛生教育に関すること。
九 労働者の健康障害の原因の調査及び再発防止のための措置に関すること。

第14条の2(産業医に対する情報の提供)
第14条の3(産業医による勧告等)
第14条の4(産業医に対する権限の付与等)

・安衛則第52条の9~21(心理的な負担の程度を把握するための検査等)➡ストレスチェック制度のことです。

 

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国家公務員も「勤務間インターバル制度」

2023年03月29日 | 情報

国家公務員も「勤務間インターバル制度」を導入です。
小職は、メンタルヘルス対策の決め手として、従来より、この「勤務間インターバル制度」と「朝方勤務制度」の導入を推奨しています。

終業から始業 休息11時間…国家公務員 勤務改善へ 人事院提言
2023/03/28 読売

国家公務員の働き方改革に関する人事院の有識者研究会(座長・荒木尚志東大教授)は27日、勤務環境の改善を求める最終報告を発表した。
報告では、終業から次の始業までの「休息時間」を一定時間以上確保する「勤務間インターバル制度」を導入し、
休息時間は原則11時間以上とすることを提言した。国会対応業務の改善に向け、国会にも協力を求めた。

国家公務員は長時間労働が常態化して「ブラック霞が関」とも言われ、
近年、勤務環境の悪さが志願者減や若手の離職者増の一因になっている。
有識者会議は人材確保を図るため、昨年1月から柔軟な働き方について議論を進めていた。

報告は、現在の休息時間の実態を調査した上で数年以内に「原則11時間」を試行し、
「最終的には、原則として全職員を対象とすることを目指すべきだ」と訴えた。
時間を「原則11時間」としたのは、諸外国の事例などを参考にした。

国家公務員について法律上はインターバル制度の明文規定がないため、
「各省各庁の長の責務を早期に法令上明確にすることが適当」だと指摘した。

閣僚の国会答弁作成などの国会対応については、行政側の自助努力だけで休息時間を確保することが難しいことから、
「国会の理解・協力を強く求める」と強調した。
このほか、育児や介護などをする職員に認められる「選択的週休3日」の対象を他の職員にも拡大することを盛り込んだ。
テレワークについては、「業務上支障がない限り、基本的に職員が希望する場合には認められることが望ましい」とし、
統一的な基準を人事院などが各府省に示すことを提案した。

◎勤務間インターバル制度をご活用ください 東京労働局

https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/interval01.html

◎働き方改革関連法案の成立に基づく労働時間等設定改善法の改正により、
2019年4月以降、事業主に対して導入するように努力することが義務づけられました。

因みに、令和3年の「就労条件総合調査」では、勤務間インターバル制度を導入した企業の割合は4.6%でした。
しかし、導入を予定又は検討している企業は13.8%もありました。

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ウォーキングは1日何歩

2023年03月28日 | 情報

病気予防を目指すなら、ウォーキングは1日何歩がいい?
高血圧は1日8000歩程度、糖尿病は1日9000歩程度で頭打ち
2023.3.9 日経ビジネス

ウォーキングや日常生活の中の歩行で慢性疾患の予防を目指す場合、1日の歩数は多いほど予防効果が得られること、
高血圧と糖尿病の予防に関しては8000~9000歩が目安となることが、米国の研究(*1)で示されました。

歩数が少ない人は死亡リスクが高い、では何歩なら大丈夫?

スマートウォッチなどのウェアラブル活動量計の利用者が増えています。
しかし、毎日の歩数を計測し、健康増進に役立てようと考えても、目指すべき1日の歩数については確定的な情報はありません。

これまでに行われた研究では、「1日の歩数が少ない人は、死亡リスクや心血管疾患(心筋梗塞や脳卒中など)の発症リスクが高い」と
いうことが一貫して示されていました。しかし、そうした研究が用いていた方法には改善の余地がありました。
たとえば、研究用の活動量計を貸し出した短期間の研究だったり、研究の参加者たちのもともとの(研究参加前の)運動習慣を
考慮していなかったり、評価対象が死亡、糖尿病、心血管疾患などに限定されていたり、といった限界がありました。
また、長期間かけて発症、進行する慢性疾患に対する運動の効果は検討されていませんでした。

そこで米Vanderbilt大学医療センターのHiral Master氏らは、市販のスマートウォッチを数年間装着している人たちの歩数と、
その間の主要な慢性疾患の発症との関係を検討することにしました。

6000人の4年間の歩行記録を基に病気との関係を分析

対象は、米国で行われた観察研究「All of Us Research Program(AoURP)」の参加者32万9070人の中から選びました。
電子健康記録の研究利用を許可し、本人所有のスマートウォッチ(Fitbit)に6カ月以上にわたって記録されていたデータを
提供した18歳以上の6042人(年齢の中央値は56.7歳、73%が女性、BMIの中央値は28.1)を分析対象にしました。
6042人を4年間(中央値)、約590万人-年(*2)追跡しました。参加者の1日あたりの歩数は7731.3歩(中央値)でした。
さまざまな慢性疾患を対象として、1日の歩数が1000歩増加するごとの発症リスクの変化を調べたところ、
糖尿病や睡眠時無呼吸症候群などのリスクが有意に低下することが明らかになりました(表1)。

*1 Master H, et al. Nat Med. 2022 Nov;28(11):2301-2308.
*2 人-年:観察した人数とそれぞれの年数を掛け合わせたもの。10人を1年間、もう10人を2年間観察した場合は、30人-年となる。

表1 歩数が増えることで発症リスクが低下する主な疾患

表1 歩数が増えることで発症リスクが低下する主な疾患

2型糖尿病は生活習慣や遺伝的な影響によって発症する糖尿病で、糖尿病患者の大部分を占める。(Nat Med. 2022 Nov;28(11):2301-2308.)

 

 

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ガッカリしてもドーパミン増

2023年03月27日 | 情報

ガッカリしてもドーパミン増、挫折克服に作用か…精神疾患の治療法につながる可能性
2023/03/12 読売

物事がうまくいくと増え、期待が外れると減ると考えられてきた脳内物質ドーパミンは、
期待外れの際も増えることを、京都大などのチームが動物実験で突き止めた。
「意欲」に関わるこの物質が、挫折を乗り越える際にも働いているとみられ、
心の仕組みの解明や、精神疾患の新しい治療法の開発につながる可能性があるという。論文が11日、国際科学誌に掲載された。

チームの小川正晃・特定准教授らはラットを使った実験で、この物質を分泌する脳内のドーパミン神経の活動を測定。
前脚でレバーを押すと甘い水が出たり、出なかったりする装置を使い、甘い水を飲めた場合と飲めなかった場合の活動を比較した。

その結果、甘い水が飲めなかった時に、少し遅れてドーパミンの放出量を増やす神経回路を発見。
この回路を刺激すると積極的にレバーを押すようになった。

ドーパミンは意欲が異常に低下するうつ病や、逆に異常に高まる様々な依存症と深い関係があるとされる。
この回路に作用する薬を開発できれば、新たな治療法につながる可能性がある。

松本正幸・筑波大教授(神経科学)の話「がっかりした時にもドーパミン神経が活性化することを示した非常に興味深い成果だ。
情動や認知に関与していると考えられており、研究が進めば、今まで知られていなかった働きが明らかになる可能性がある」

◎ドーパミン / dopamine (e-ヘルスネット 厚労省)

神経伝達物質の一つで、快く感じる原因となる脳内報酬系の活性化において中心的な役割を果たしている。
ドパミンは神経伝達物質のひとつで、カテコールアミンと呼ばれる種類に属します。
アミノ酸のチロシンから酵素の働きによって合成されます。
ドパミンが働く主な神経経路には黒質線条体路・中脳辺縁系路・中脳皮質路の3つがあります。
黒質線条体路はパーキンソン病と関連し、中脳辺縁系路と中脳皮質路は統合失調症と関連するとされています。
アルコールを飲むことによって快く感じるのは脳内の報酬系と呼ばれる神経系が活性化するためと考えられますが、
この報酬系ではドパミンが中心的な役割を果たしています。
アルコール・麻薬・覚せい剤などの依存を形成する薬物の多くはドパミンを活発にする作用があり、
そのために報酬系が活性化するので、これらの薬物を使用すると快感をもたらすと考えられます。

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