中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

10月は、全国労働衛生週間

2014年09月30日 | 情報
10月1日から7日は、全国労働衛生週間です。
スロ-ガン は、「みんなで進める職場の改善 心とからだの健康管理」、安衛法の改正を念頭に置いていると思います。
メンタルヘルス対策の部分を最初に紹介します。

『ア労働者の心の健康の保持増進のための指針等に基づくメンタルヘルス対策の推進
(ア)事業者によるメンタルヘルスケアを積極的に推進する旨の表明
(イ)衛生委員会等における調査審議を踏まえた「心の健康づくり計画」の策定、実施状況の評価及び改善
(ウ)4つのメンタルヘルスケア(セルフケア、ラインによるケア、事業場内産業保健スタッフ等によるケア、事業場外資源によるケア)の
推進に関する教育研修・情報提供
(エ)職場環境等の評価と改善等を通じたメンタルヘルス不調の予防から早期発見・早期対応、職場復帰における支援までの総合的な取組みの実施
(オ)自殺予防週間(9月10日~9月16日)等をとらえた職場における自殺対策への積極的な取組みの実施』

以下、厚労省HPより紹介です。
全国労働衛生週間は、働く人の健康の確保・増進を図り、快適に働くことができる職場づくりに取り組む週間です。
この機会に自主的な労働衛生管理活動の大切さを見直し、積極的に健康づくりに取り組んでみましょう。

平成26年度 全国労働衛生週間 実施要綱
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000052905.html
1.趣旨

全国労働衛生週間は、昭和25年の第1回実施以来、今年で第65回を迎える。
この間、全国労働衛生週間は、国民の労働衛生に関する意識を高揚させ、
事業場における自主的労働衛生管理活動を通じた労働者の健康確保に大きな役割を果たしてきたところである。

我が国における業務上疾病の被災者は長期的には減少してきたものの近年は横ばいとなっており、昨年は7,310人と前年から約6%減少した。
一方、一般定期健康診断の結果何らかの所見を有する労働者の割合が平成25年は53.0%と職場での健康リスクは依然として存在していることから、
労働者の健康確保の観点から、健康診断の実施を徹底し、健診結果に基づく保健指導や事後措置を適切に実施していくことが重要となっている。

我が国の自殺者は平成25年は前年から減少して引き続き3万人を下回ったが、約2,300人が勤務問題を原因・動機の一つとしていること、
メンタルヘルス上の理由により休業又は退職する労働者がいること、
精神障害等による労災認定件数が平成25年も前年に引き続き400人を超えていること等から、
職場におけるメンタルヘルス対策の取組みは依然として重要な課題となっている。

さらに一昨年には、印刷事業場において化学物質を使用していた労働者に、高い頻度で胆管がんが発生していた事案が判明した。
このような化学物質による健康障害等の防止のため、印刷事業場に限らず、化学物質を取り扱うすべての事業場において、
安全データシート(SDS)等を通じて入手した危険有害性等の情報に基づくリスクアセスメントやばく露防止対策の実施等、
職場における自律的な化学物質管理の徹底が改めて課題となっている。

こうした状況に対応するため、改正労働安全衛生法が平成26年6月25日に公布されたところ、
その主な内容は、
①事業者は、一定の危険性・有害性を有する化学物質のリスクアセスメントを実施すること(平成28年6月までに施行予定)、
②事業者は、労働者に対しストレスチェックを実施すること(労働者数50人以上の事業場は義務、50人未満は努力義務)、
また、その結果、一定の要件に該当する労働者の申出に応じて医師による面接指導を実施すること(平成27年12月までに施行予定)、
③事業者は、事業者及び事業場の実情に応じ適切な受動喫煙防止措置を講じるよう努めること(平成27年6月までに施行予定)等となっている。

また、平成25年度から、平成29年度までの5か年を計画期間とする第12次労働災害防止計画が実施されており、
重点とする健康確保・職業性疾病対策として、メンタルヘルス対策、過重労働対策、化学物質による健康障害防止対策、
腰痛・熱中症予防対策、受動喫煙防止対策を掲げ、具体的な数値目標を設定しているところであり、
それらの対策の目標の達成をはじめとしたさらなる健康確保対策等の推進に向けて、事業者等が労働者の健康障害の防止、
健康診断の結果に基づく措置の実施の促進等に着実に取り組み、健康を確保する必要がある。

このような観点から、今年度は、
「みんなで進める職場の改善 心とからだの健康管理」
をスローガンとして全国労働衛生週間を展開し、事業場における労働衛生意識の高揚を図るとともに、
自主的な労働衛生管理活動の一層の促進を図ることとする。

2.スロ-ガン
「みんなで進める職場の改善 心とからだの健康管理」

3.期 間
10月1日から10月7日までとする。
なお、全国労働衛生週間の実効を上げるため、9月1日から9月30日までを準備期間とする。

10.実施者の実施事項

労働衛生水準のより一層の向上及び労働衛生意識の高揚を図るとともに、自主的な労働衛生管理活動の定着を目指して、
各事業場においては、事業者及び労働者が連携・協力しつつ、次の事項を実施する。
なお、震災の影響で事業活動を縮小している事業場等においては、実施事項を絞る、
震災により特に影響を受けた事項に重点を置いて点検をするなど自社の状況に応じた取組みとすること。
また、準備期間中においては夏季の電力需給対策を踏まえて取り組むこと。
(1)全国労働衛生週間中に実施する事項
ア事業者又は総括安全衛生管理者による職場巡視
イ労働衛生旗の掲揚及びスローガン等の掲示
ウ労働衛生に関する優良職場、功績者等の表彰
エ有害物の漏えい事故、酸素欠乏症等による事故等緊急時の災害を想定した実地訓練等の実施
オ労働衛生に関する講習会・見学会等の開催、作文・写真・標語等の掲示、その他労働衛生の意識高揚のための行事等の実施

(2)準備期間中に実施する事項
下記の事項について、日常の労働衛生活動の総点検を行い、労働衛生水準の向上を図る。

ア労働者の心の健康の保持増進のための指針等に基づくメンタルヘルス対策の推進
(ア)事業者によるメンタルヘルスケアを積極的に推進する旨の表明
(イ)衛生委員会等における調査審議を踏まえた「心の健康づくり計画」の策定、実施状況の評価及び改善
(ウ)4つのメンタルヘルスケア(セルフケア、ラインによるケア、事業場内産業保健スタッフ等によるケア、事業場外資源によるケア)の
推進に関する教育研修・情報提供
(エ)職場環境等の評価と改善等を通じたメンタルヘルス不調の予防から早期発見・早期対応、職場復帰における支援までの総合的な取組みの実施
(オ)自殺予防週間(9月10日~9月16日)等をとらえた職場における自殺対策への積極的な取組みの実施


イ過重労働による健康障害防止のための総合対策の推進
(ア)時間外・休日労働の削減及び年次有給休暇の取得促進及び労働時間等の設定の改善による
仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の推進
(イ)健康管理体制の整備、健康診断の実施等
(ウ)長時間にわたる時間外・休日労働を行った労働者に対する面接指導等の実施
(エ)小規模事業場における面接指導実施に当たっての産業保健総合支援センターの地域窓口の活用

ウ労働衛生管理体制の確立とリスクアセスメントを含む労働安全衛生マネジメントシステムの確立を始めとした労働衛生管理活動の活性化
(ア)労働衛生管理活動に関する計画の作成及びその実施、評価、改善
(イ)総括安全衛生管理者、産業医、衛生管理者、衛生推進者等の労働衛生管理体制の整備・充実とその職務の明確化及び連携の強化
(ウ)衛生委員会の開催とその活動の活性化
(エ)危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づく必要な措置の推進
(オ)現場管理者の職務権限の確立
(カ)労働衛生管理に関する規程の点検、整備・充実

エ作業環境管理の推進
(ア)有機溶剤等の有害なガス、蒸気、粉じん、騒音等の有害要因に労働者がさらされる屋内外の作業場及び酸素欠乏危険場所における
作業環境測定の実施とその結果の周知並びにその結果に基づく作業環境の改善
(イ)局所排気装置、除じん装置、排ガス処理装置、排液処理装置、遮へい設備等の適正な設置及び稼働並びに検査及び点検の実施の徹底
(ウ)粉じん等健康障害のおそれのある物質を取り扱う作業場所の清掃及び清潔の保持の徹底
(エ)換気、採光、照明等の状態の点検及び改善

オ作業管理の推進
(ア)自動化、省力化等による作業負担の軽減の推進
(イ)作業管理のための各種作業指針の周知徹底
(ウ)適切、有効な保護具等の選択、使用及び保守管理の徹底

カ健康管理の推進
労働者の健康確保の推進のため、健康診断及び事後措置の実施の徹底を図る必要があることから、
労働衛生週間準備期間である9月を「職場の健康診断実施強化月間」として位置づけ、以下について重点的に取り組む。
(ア)健康診断の実施、有所見者の健康保持に関する医師からの意見聴取及び健康診断実施後の措置の徹底
(イ)一般健康診断結果に基づく必要な労働者に対する医師又は保健師による保健指導の実施
(ウ)高齢者の医療の確保に関する法律に基づく医療保険者が行う特定健診・保健指導との連携
(エ)小規模事業場における産業保健総合支援センターの地域窓口の活用

キ労働衛生教育の推進
(ア)雇入時教育、危険有害業務従事者に対する特別教育等の徹底
(イ)衛生管理者、作業主任者等労働衛生管理体制の中核となる者に対する能力向上教育の実施

ク職場における受動喫煙防止対策の推進
(ア)職場の全面禁煙又は有効な喫煙室の設置による空間分煙等の受動喫煙防止対策の推進
(イ)受動喫煙の健康への有害性に関する理解を図るための教育の実施
(ウ)職場の受動喫煙防止対策に関する支援制度(労働衛生コンサルタント等の専門家による技術的な相談支援、
たばこ煙の濃度等の測定機器の貸与、喫煙室の設置等に係る費用の助成)の活用

ケ粉じん障害防止対策の徹底
(ア)第8次粉じん障害防止総合対策に基づく粉じん障害防止総合対策推進強化月間としての次の事項を重点とした取組みの推進
a.アーク溶接作業と岩石等の裁断等作業に係る粉じん障害防止対策
b.金属等の研磨作業等に係る粉じん障害防止対策
c.ずい道等建設工事における粉じん障害防止対策
d.離職後の健康管理
(イ)改正粉じん障害防止規則に基づく取組みの推進

コ職場における腰痛予防対策指針による腰痛の予防対策の推進
平成25年6月18日付け基発0618第1号にて改訂した新しい腰痛予防対策指針に係る以下の対策を推進すること。
(ア)介護・看護作業における腰部に負担の少ない介助法の普及の推進
(イ)腰痛予防に関する労働衛生教育の実施
(ウ)作業標準の策定
(エ)社会福祉施設及び医療保健業向けの腰痛予防講習会の活用

サ熱中症予防対策の徹底
(ア)暑さ指数(WBGT値:湿球黒球温度)の活用、自覚症状の有無に関わらない水分・塩分の摂取、
熱中症を考慮した労働衛生管理・労働衛生教育等の取組みの推進
(イ)夏季の電力需給対策を受けた事務所・作業場の室内温度の設定を踏まえた熱中症予防対策の推進

シ電離放射線障害防止対策の徹底

ス騒音障害防止のためのガイドラインに基づく騒音障害防止対策の徹底

セ振動障害総合対策要綱に基づく振動障害防止対策の徹底

ソVDT作業における労働衛生管理のためのガイドラインによるVDT作業における労働衛生管理対策の推進

タ化学物質の管理の推進
(ア)SDS及びラベルによる化学物質等の危険有害性等に関する情報の提供及び活用
(イ)化学物質による危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づく措置の実施等を始めとする自律的管理の推進
(ウ)作業主任者の選任、人体に及ぼす影響・取扱い上の注意事項等の掲示、漏えい・発散防止等適切な管理の推進
(エ)化学物質によるばく露防止のための保護具の着用等の徹底
(オ)建設業、製造業における有機溶剤中毒の防止
(カ)建設業、製造業等における一酸化炭素中毒の防止
(キ)ダイオキシン類による健康障害防止のための対策要綱に基づくダイオキシン類ばく露防止措置の実施
(ク)ナノマテリアルに対するばく露防止対策の徹底
(ケ)有機溶剤等化学物質を使用する事業場におけるばく露防止対策の徹底

チ石綿障害予防対策の徹底
(ア)建築物等の解体等の作業における石綿ばく露防止対策の徹底
(イ)吹き付け石綿又は石綿含有断熱材等の損傷等による石綿ばく露防止対策の徹底
(ウ)石綿製品の全面禁止の徹底
(エ)離職後の健康管理の推進

ツ酸素欠乏症等の防止対策の推進
(ア)酸素欠乏危険場所における作業前の酸素及び硫化水素濃度の測定の徹底
(イ)換気の実施、空気呼吸器等の使用等の徹底

テ心とからだの健康づくりの継続的かつ計画的な実施のための体制の整備・充実

ト快適職場指針に基づく快適な職場環境の形成の推進

ナ職場におけるウイルス性肝炎に関する理解と取組みの促進

ニ職場におけるエイズ問題に関する理解と取組みの促進

ヌ職場における風しん対策ガイドラインに基づく取組みの促進

ネ東日本大震災に伴う復旧工事における労働衛生対策の推進
(ア)建築物等の解体作業、がれき処理作業や津波で打ち上げられた船舶の解体における石綿ばく露防止対策、
粉じんばく露防止対策、破傷風等感染防止対策等の徹底
(イ)東電福島第一原発における作業や除染作業等に従事する労働者の放射線障害防止対策の徹底
(ウ)平成24年8月10日付け基発0810第1号に基づく東電福島第一原発における事故の教訓を踏まえた対応の徹底
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

安衛法の努力義務

2014年09月29日 | 情報
今回の安衛法の一部改正で、ストレスチェック制度は、従業員50人以上の事業所については義務化されましたが、
従業員50人未満の事業所は、当分の間、努力義務とされました(附則第4条関係)。

さて、この「努力義務」についてです。
安衛法は、努力義務の宝庫です。
みなさんが日ごろより認識している「努力義務」とは、次のどれでしょうか?
1.実施する必要はない
2.実施しなくても良い
3.できる限り、実施しなければならない

ここで、難解な法令解釈は省略します。
簡単に申し上げれば、「努力する義務を課しているんだから、何らかの義務を課している」
「たとえ努力義務であっても、努力義務規定を設ける場合は、それなりに検討する必要があるのは当然」ということです。

即ち、3.が正解です。
しかし、実態は、1.が主流です。
顧問の社労士も、人事労務担当の皆さんも、ひょっとして顧問弁護士も、1.で良いと考えている節があります。

なお、これ以上の情報を希望の場合は、先日ご案内したみどり研究所のセミナーにご参加いただくか、
セミナー・勉強会・研究会等において詳細を説明しますので、講師としてご依頼いただくようお願いします。

安衛法

(事業者等の責務)
第三条  事業者は、単にこの法律で定める労働災害の防止のための最低基準を守るだけでなく、
快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて職場における労働者の安全と健康を確保するようにしなければならない。
また、事業者は、国が実施する労働災害の防止に関する施策に協力するようにしなければならない。
2  機械、器具その他の設備を設計し、製造し、若しくは輸入する者、原材料を製造し、若しくは輸入する者又は建設物を建設し、
若しくは設計する者は、これらの物の設計、製造、輸入又は建設に際して、
これらの物が使用されることによる労働災害の発生の防止に資するように努めなければならない。

第四条  労働者は、労働災害を防止するため必要な事項を守るほか、
事業者その他の関係者が実施する労働災害の防止に関する措置に協力するように努めなければならない。

(産業医等)
第十三条  事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、厚生労働省令で定めるところにより、医師のうちから産業医を選任し、
その者に労働者の健康管理その他の厚生労働省令で定める事項(以下「労働者の健康管理等」という。)を行わせなければならない。
2 産業医は、労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識について厚生労働省令で定める要件を備えた者でなければならない。
3 産業医は、労働者の健康を確保するため必要があると認めるときは、事業者に対し、労働者の健康管理等について必要な勧告をすることができる。
4 事業者は、前項の勧告を受けたときは、これを尊重しなければならない。

第十三条の二  事業者は、前条第一項の事業場以外の事業場については、
労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識を有する医師その他厚生労働省令で定める者に
労働者の健康管理等の全部又は一部を行わせるように努めなければならない。

(安全管理者等に対する教育等)
第十九条の二  事業者は、事業場における安全衛生の水準の向上を図るため、
安全管理者、衛生管理者、安全衛生推進者、衛生推進者その他労働災害の防止のための業務に従事する者に対し、
これらの者が従事する業務に関する能力の向上を図るための教育、講習等を行い、又はこれらを受ける機会を与えるように努めなければならない。
(事業者の行うべき調査等)
第二十八条の二  事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等による、
又は作業行動その他業務に起因する危険性又は有害性等を調査し、
その結果に基づいて、この法律又はこれに基づく命令の規定による措置を講ずるほか、
労働者の危険又は健康障害を防止するため必要な措置を講ずるように努めなければならない。

(文書の交付等)
第五十七条の二  労働者に危険若しくは健康障害を生ずるおそれのある物で政令で定めるもの又は第五十六条第一項の物
(以下この条において「通知対象物」という。)を譲渡し、又は提供する者は、
文書の交付その他厚生労働省令で定める方法により通知対象物に関する次の事項
(前条第二項に規定する者にあつては、同項に規定する事項を除く。)を、譲渡し、又は提供する相手方に通知しなければならない。
ただし、主として一般消費者の生活の用に供される製品として通知対象物を譲渡し、又は提供する場合については、この限りでない。
一  名称
二  成分及びその含有量
三  物理的及び化学的性質
四  人体に及ぼす作用
五  貯蔵又は取扱い上の注意
六  流出その他の事故が発生した場合において講ずべき応急の措置
七  前各号に掲げるもののほか、厚生労働省令で定める事項
2  通知対象物を譲渡し、又は提供する者は、前項の規定により通知した事項に変更を行う必要が生じたときは、
文書の交付その他厚生労働省令で定める方法により、変更後の同項各号の事項を、速やかに、譲渡し、
又は提供した相手方に通知するよう努めなければならない。

第六十条の二  事業者は、前二条に定めるもののほか、その事業場における安全衛生の水準の向上を図るため、
危険又は有害な業務に現に就いている者に対し、その従事する業務に関する安全又は衛生のための教育を行うように努めなければならない。

(中高年齢者等についての配慮)
第六十二条  事業者は、中高年齢者その他労働災害の防止上その就業に当たつて特に配慮を必要とする者については、
これらの者の心身の条件に応じて適正な配置を行なうように努めなければならない。(作業の管理)
第六十五条の三  事業者は、労働者の健康に配慮して、労働者の従事する作業を適切に管理するように努めなければならない。 (保健指導等)
第六十六条の七  事業者は、第六十六条第一項の規定による健康診断若しくは当該健康診断に係る同条第五項ただし書の規定による
健康診断又は第六十六条の二の規定による健康診断の結果、特に健康の保持に努める必要があると認める労働者に対し、
医師又は保健師による保健指導を行うように努めなければならない。

第六十六条の九  事業者は、前条第一項の規定により面接指導を行う労働者以外の労働者であつて健康への配慮が必要なものについては、
厚生労働省令で定めるところにより、必要な措置を講ずるように努めなければならない。

(健康教育等)
第六十九条  事業者は、労働者に対する健康教育及び健康相談その他労働者の健康の保持増進を図るため必要な措置を
継続的かつ計画的に講ずるように努めなければならない。

(体育活動等についての便宜供与等)
第七十条  事業者は、前条第一項に定めるもののほか、労働者の健康の保持増進を図るため、
体育活動、レクリエーションその他の活動についての便宜を供与する等必要な措置を講ずるように努めなければならない

(事業者の講ずる措置)
第七十一条の二  事業者は、事業場における安全衛生の水準の向上を図るため、次の措置を継続的かつ計画的に講ずることにより、
快適な職場環境を形成するように努めなければならない。
一  作業環境を快適な状態に維持管理するための措置
二  労働者の従事する作業について、その方法を改善するための措置
三  作業に従事することによる労働者の疲労を回復するための施設又は設備の設置又は整備
四  前三号に掲げるもののほか、快適な職場環境を形成するため必要な措置

安衛則

(機械に関する危険性等の通知)
第二十四条の十三  労働者に危険を及ぼし、又は労働者の健康障害をその使用により
生ずるおそれのある機械(以下単に「機械」という。)を譲渡し、又は貸与する者(次項において「機械譲渡者等」という。)は、
文書の交付等により当該機械に関する次に掲げる事項を、
当該機械の譲渡又は貸与を受ける相手方の事業者(次項において「相手方事業者」という。)に通知するよう努めなければならない。

(危険有害化学物質等に関する危険性又は有害性等の表示等)
第二十四条の十四  化学物質、化学物質を含有する製剤その他の労働者に対する危険又は健康障害を生ずるおそれのある物で
厚生労働大臣が定めるもの(令第十八条 各号及び令別表第三第一号に掲げる物を除く。
以下この条及び次条において「危険有害化学物質等」という。)を容器に入れ、又は包装して、譲渡し、
又は提供する者は、その容器又は包装(容器に入れ、かつ、包装して、譲渡し、又は提供するときにあつては、その容器)に
次に掲げるものを表示するように努めなければならない。
2  危険有害化学物質等を前項に規定する方法以外の方法により譲渡し、又は提供する者は、同項各号の事項を記載した文書を、
譲渡し、又は提供する相手方に交付するよう努めなければならない。
第二十四条の十五  特定危険有害化学物質等(危険有害化学物質等(法第五十七条の二第一項 に規定する通知対象物を除く。)をいう。
以下この項において同じ。)を譲渡し、又は提供する者は、文書の交付又は相手方の事業者が承諾した方法により特定危険有害化学物質等に
関する次に掲げる事項(前条第二項に規定する者にあつては、同条第一項に規定する事項を除く。)を、
譲渡し、又は提供する相手方の事業者に通知するよう努めなければならない。
2  特定危険有害化学物質等を譲渡し、又は提供する者は、前項の規定により通知した事項に変更を行う必要が生じたときは、
文書の交付又は相手方の事業者が承諾した方法により、変更後の同項各号の事項を、
速やかに、譲渡し、又は提供した相手方の事業者に通知するよう努めなければならない。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

拙著「中小企業の『うつ病』対策」が役に立つ

2014年09月28日 | 情報
安衛法の一部改正が成立しました。
その目玉は、「メンタルヘルスチェック」です。
50人超の事業所では義務化されます。
中小の企業も、メンタルヘルス対策に取り組まなければなりません。

御社のメンタルヘルス対策は、拙著「中小企業の『うつ病』対策」が参考になります。
参考というより、これで十分でしょう。必要な費用は、僅か1,260円です。
皆さま方は、取り組みにあたり、対策本や文献を読み込んだり、セミナーや勉強会に参加したり、
産業医の意見を聞いて準備作業を進めていることでしょう。
しかし、意外と「ピンと」こないのではないでしょうか?その理由は何か?
答えは、内容が具体的でない、企業の実務にマッチしない、病気の説明に偏っている等々ではないですか?

拙著は、おかげさまで、既にお読みなった方々、関係者より好評をいただいています。
しかも発刊後、時間は経過していますが、内容は現在でも全く修正・加筆する必要がないと考えています。
特徴としては、「普及・啓発から個別指導へ」と動き出した行政当局の方針に対応しています。
また、うつ病対策のAtoZを網羅して記述していますので、中小企業の経営者や人事労務担当者、また社労士の先生には必携の参考書です。
さらに、職場復帰支援対策については、類書のなかでも、最も具体的、実用的な内容となっていますので、
企業の実務担当者にとって、役立つ参考書です。内容を丸写しすれば、そのまま社内提案用の資料にもなります。

因みに、嘗ての当ブログ記事「主治医への謝礼」を再度、参照してください。
『・主治医に事前に説明する
・主治医に謝礼を支払う
の2点については、拙著『中小企業の「うつ病」対策』で、具体的な対応として、初めて言及したものです。
それまでの参考文献や類書には、全くない対策ですので、精神科医の先生をはじめ、多くの関係者から感謝されています。』
とても、具体的、現実的な解説でしょう、自画自賛ですが。

さらに、なぜメンタルヘルス対策ではなく、「うつ病対策」としているのか?メンタルヘルスというと、
うつ病をはじめ、双極性障害、統合失調症から始まって、適応障害、発達障害、さらには痴呆症、
アルツハイマー等々まで対象が拡大しまい収拾がつかなくなってしまいます。
ところが、対策本やセミナーでは、メンタルヘルス対策と称していても、内容は「うつ病」のことしか語っていません。
いま、企業や事業所での課題である精神疾患の大半が、「うつ病」ですから、「うつ病」対策を説明することが、
実は的を得ていて、とても大切なことなのでね。「うつ病」対策を理解できれば、その先の道は、開けてくるのではないでしょうか。

本書は、多くの専門家より推薦をいただいております。例えば、
厚労省「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」策定に参画され、
メンタルヘルス問題と法律に関しては、国内随一の権威である、近畿大学法学部教授の三柴丈典先生より、
「現場経験が豊富な著者ならではの非常に実践的な著書。
必要なポイントが充分におさえられ、しかも読みやすい。内容的にも妥当かつ現実的であり、
企業規模を問わず、この問題でお悩みの方に広くお薦めします。」
三鷹市医師会副会長、産業医で政府機関の産業医研修講座で講師をされている高山俊政先生より、
「実践的で、わかりやすく、現場に1冊の本だと思います。」
東京都社労士会渋谷支部長の小磯優子先生より、「企業が『うつ病』にどのように対応すればよいかを考える際、
1から10までとても頼りになります。」

購入は、書店では取り寄せになります。アマゾンでは、送料無料で入手できます。
小売価格1,260円
著者:橋本社会保険労務士事務所代表 橋本幸雄
監修:精神科専門医・産業医 恵比寿メディカルクリニック院長 高岡 拓先生
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ストレスチェック制度解釈⑦

2014年09月26日 | 情報
現在、「ストレスチェック制度は」、来年の平成27年12月施行に向けて、政省令や指針の検討段階にあります。
その中で、最も難しいと考えられる、そして最も注目されている、ストレスチェック項目をどう決めるのか、
どのような項目を取り上げるのか、について、4回にわたって、「ストレスチェック項目等に関する専門検討会」にて審議されてきました。
筆者は、そのうち3回の検討会を傍聴して参りましたが、検討結果をどのようにまとめるのか、
素人目には、まさに「目がくらくら」するような様相を呈しています。これは飽くまでも筆者の印象ですが。

ここまでは、厚労省の資料や、専門家の論評においては、以下の9項目について4段階の評価方式により、
ストレスの強弱度をチェックすることになっていました。
これは、これまでの多くのセミナーや出版物で紹介されてきましたので、ご存知の方も多いと思います。

すなわち、労働者のストレスに関する症状・不調を適切かつ簡便に確認するための標準的な項目として、 以下の9問が例示されています。
1.ひどく疲れた
2.へとへとだ
3.だるい
4.気がはりつめている
5.不安だ
6.落ち着かない
7.ゆううつだ
8.何をするのも面倒だ
9.気分が晴れない

ところが、検討会では、上記9項目から、チェック項目を大幅に増やすことを検討しています。
なぜか、厚労省では二次予防に重点を置いていたのですが、法案の審議過程で、一時予防に重点を置くべきとの
附帯決議が決定されたからなのです。
一次予防に対応するために、以下の23項目に質問項目の候補が拡大したのです。
詳細は省きますが、筆者が、一番懸念することは、メンタルヘルス対策を殆ど実施していない、
50人超から300人規模の、中小の事業者が大きな負担を抱えずに、制度の導入を受け入れる態勢ができるのか、ということです。
しかし、審議の経過を見ていると、中小の事業者の都合などは、配慮されていないような印象を受けますので、心配です。

仕事のストレス要因 (6項目)                    
非常にたくさんの仕事をしなければならない
時間内に仕事が処理しきれない
一生懸命働かなければならない
自分のペースで仕事ができる
自分で仕事の順番・やり方を決めることができる
職場の仕事の方針に自分の意見を反映できる

心身のストレス反応(9項目+2項目)
ひどく疲れた
へとへとだ
だるい
気がはりつめている
不安だ
落着かない
ゆううつだ
何をするのも面倒だ
気分が晴れない
食欲がない
よく眠れない

周囲のサポート(6項目)
次の人たちはどのくらい気軽に話ができますか?
1.上司
2.職場の同僚
あなたが困った時、次の人たちはどのくらい頼りになりますか?
4.上司
5. 職場の同僚
あなたの個人的な問題を相談したら、次の人たちはどのくらいきいてくれますか?
7.上司
8. 職場の同僚
計23項目

なお、これ以上の情報を希望の場合は、先日ご案内したみどり研究所のセミナーにご参加いただくか、
セミナー・勉強会・研究会等において詳細を説明しますので、講師としてご依頼いただくようお願いします。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ストレスチェック制度解釈⑥

2014年09月23日 | 情報
法第六十六条の十
『6. 事業者は、前項の規定による医師の意見を勘案し、その必要があると認めるときは、
当該労働者の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の措置を講ずるほか、
当該医師の意見の衛生委員会若しくは安全衛生委員会又は労働時間等設定改善委員会への報告その他の適切な措置を講じなければならない。』

以下条文の解説です。
○法第66条の5・健康診断実施後の措置、及び第66条の8・面接指導と同じですから、新たな解説事項はありません。

法第六十六条の十
『7 .厚生労働大臣は、前項の規定により事業者が講ずべき措置の適切かつ有効な実施を図るため必要な指針を公表するものとする。』

以下条文の解説です。
○「必要な指針」とは、医師からの意見聴取の方法、就業上の措置の区分とその決定方法、
面接指導の結果に基づく不合理な不利益取扱いの考え方などについて定めることとしています。

法第六十六条の十
『8 .厚生労働大臣は、前項の指針を公表した場合において必要があると認めるときは、
事業者又はその団体に対し、当該指針に関し必要な指導等を行うことができる。』

法第六十六条の十
『9. 国は、心理的な負担の程度が労働者の健康の保持に及ぼす影響に関する医師等に対する研修を実施するよう努めるとともに、
第二項の規定により通知された検査の結果を利用する労働者に対する健康相談の実施
その他の当該労働者の健康の保持増進を図ることを促進するための措置を講ずるよう努めるものとする。』

以下条文の解説です。
○「研修を実施するよう努める」のではなく、厚労省は、来年はじめから医師等に対する研修を実施する予定です。
 なお、現時点では、医師会レベルの動きは何もないそうです。

以上が、ストレスチェック制度に関する改正条文法第六十六条の十の解説です。

なお、これ以上の情報を希望の場合は、先日ご案内したみどり研究所のセミナーにご参加いただくか、
セミナー・勉強会・研究会等において詳細を説明しますので、講師としてご依頼いただくようお願いします。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする