中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

「働き方・休み方改善ポータルサイト」

2022年02月28日 | 情報

以下、厚労省ポータルサイトの紹介です。

「働き方・休み方改善ポータルサイト」を検索してください。

https://work-holiday.mhlw.go.jp/

働き方・休み方の改善に当たっては、企業の実態を踏まえた上で、経営トップが見直しなどの判断をしていくことが重要です。

働き方・休み方改善ポータルサイトでは、下記のアイコンから、企業・社員の方が「働き方・休み方改善指標」を
活用して自己診断をしたり、企業の取組事例や働き方・休み方に関する資料などを確認することができます。
働き方・休み方改革にご活用ください。

〇例えば、「働き方・休み方改善ポータルサイト」リーフレット

「働き方・休み方改善ポータルサイトを活用して働き方・休み方改革に取り組んでみませんか?」
(厚生労働省・働き方・休み方改善ポータルサイト)

https://work-holiday.mhlw.go.jp/material/pdf/category1/220204_1.pdf

〇例えば、「企業向け自己診断」

https://work-holiday.mhlw.go.jp/diagnosis/company.html

〇例えば、「勤務間インターバル制度」

https://work-holiday.mhlw.go.jp/interval/

小職は、当制度の運用を強くお勧めしています。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

健康情報の管理

2022年02月25日 | 情報

御社は対象ではありませんが、一方で、従業員の健康情報の管理は、事業者にとって最重要課題です。
当ブログでも再三取り上げています。安衛法第104条(2019.4.1改正安衛法)により、
企業内(それぞれの事業場単位ではありません)で「健康情報の取扱規程」を定めることが義務となっています。

当法改正については、いまだによく理解していない企業があるようですが(小職註;これにはやむを得ない事情もあります)、
当規程では、特にどの部門がどの情報に関与するのか、詳細に規定するように望まれています。
なお、現実問題として「健康情報の取扱規程」を定めろと云われても、皆目見当もつかないことでしょう。
ですから、規程を定めるためには、以下の手引きを参照してください。

「事業場における労働者の健康情報等の取扱規程を策定するための手引き」(厚生労働省)

https://www.mhlw.go.jp/content/000497426.pdf

余談ですが、策定にあたっては、事前に手引きを読み下すことが必要ですが、
原則、手引きにある規程例をそのまま、御社の規程とすることには問題ありませんし、むしろ推奨されています。

 

[サイバーテロ 病院の危機]<5>対策の不備 責任重く…「経営層が賠償」可能性
2022/02/22 読売

今年に入っても病院への攻撃は続く。

今月2日、愛知県春日井市の春日井リハビリテーション病院の事務スペースで、看護師がせわしなくボールペンを走らせていた。先月12日、「ランサム(身代金)ウェア」とみられるコンピューターウイルスの攻撃を受け、約5万人分の患者情報が記録された電子カルテシステムが停止。院内のパソコンの多くも使えなくなった。カルテや看護記録、受け付け業務は手書きでの対応が続いていた。

「後悔先に立たずですね」

同病院の総務課長を務める大川内敏剛さん(46)はため息をつく。被害は未然に防げた可能性があるからだ。

ウイルスの侵入経路は、 脆弱性ぜいじゃくせい が指摘されながら、対応を取っていなかった機器の可能性が高い。電子カルテのバックアップデータも病院のネットワークに接続していたために感染し、使用不能となった。今月中旬から新しい電子カルテシステムを導入し、一部運用も始めているが、完全復旧は数か月先になる見込みだ。

(略)

「私たちは被害者ですから」。攻撃を受けた多くの病院幹部はそう口にする。だが、こうした訴えは今後、通用しなくなる。病院のセキュリティー対策に関する責任がより重くなるからだ。

政府は、今春改定する重要インフラ事業者の行動計画案で、セキュリティー対策の不備が原因で事業者側の情報が流出するなどした場合、「経営層が損害賠償責任を問われる可能性がある」と明記する。対象は医療や電力、航空、金融など14分野で、病院も含まれている。

さらに病院は、手厚い保護を要する「要配慮個人情報」に当たる医療情報を扱う点でも、ほかの事業者以上に重い責任が課せられる。

4月に施行される改正個人情報保護法では、1件でも患者情報が流出した場合、国の個人情報保護委員会への報告と本人通知が義務づけられる。ランサムウェア被害のように、患者情報が閲覧できなくなったケースも対象だ。本人通知が困難な場合は、代替措置として、「公表」が求められる。

重要インフラの行動計画改定を進める専門調査会長の渡辺研司・名古屋工業大教授は、「サイバー攻撃を受けた病院は、もはや単なる被害者ではない。セキュリティー対策強化は、経営責任だという意識を持つ必要がある」と指摘する。
(以下、略)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

過重だという申告はなかった

2022年02月24日 | 情報

過重労働対策、長時間労働の是正は、事業主の責務です。
労働安全衛生法第66条の8には、医師による面接指導は長時間労働者の申出により行うとありますが、
従業員の労働時間管理は事業者の義務ですから、記事中にある「男性から業務量が過重だという申告はなかった」との主張は、論外です。

以下、厚労省HPの「職場のあんぜんサイト」からの引用です。

https://anzeninfo.mhlw.go.jp/yougo/yougo05_1.html

長時間にわたる過重な労働は、疲労の蓄積をもたらす重要な要因と考えられ、
さらには、脳疾患や心臓疾患の発症との関連性が強いという医学的知見が得られています。
働くことにより、労働者が健康を損なうようなことがあってはならないものであり、当該医学的知見を踏まえると、
(小職補足;事業者は)労働者が疲労を回復することができないような長時間にわたる過重労働を排除していくとともに、
労働者に疲労の蓄積を生じさせないようにするため、労働者の健康管理に係る措置を適切にすることが重要です。

ここでの過重労働対策とは、労働安全衛生法第66条の8及び66条の9に基づく、長時間労働者に対する面接指導等の措置をいい、
詳細は、労働安全衛生規則第14条第1項第1号及び第52条の2ないし52条の8に定められています。
その行政解釈は「労働安全衛生法等の一部を改正する法律(労働安全衛生法関係)等の施行について」
(平成18年2月24日付け基発第0224003号)に示されています。
また、「過重労働による健康障害防止のための総合対策について」(平成18年3月17日付け基発第0317008号)の
別紙1の別添も参考となります。これらで定められている主なポイントは以下のとおりです。

[1]労働安全衛生法第66条の8により、時間外・休日労働時間が1ヶ月当たり100時間を超える長時間労働者であって、
申出を行ったものについては、医師による面接指導が義務付けられています。

[2]同法第66条の8に基づく面接指導は、本人の申し出によって行います。なお、この申し出は、
時間外・休日労働の算定が行われてから概ね1ヶ月以内に行われるようにし、産業医は申し出を行うよう本人に勧奨できます。

[3]申し出から、概ね1ヶ月以内に医師による面接指導を行います。
また、面接指導から概ね1ヶ月後に、本人の就業上の措置に関する意見を医師から聴取します。
事業者は、この意見を勘案して、必要に応じて、労働時間の短縮等の措置を講じます。

[4]さらに、時間外・休日労働時間が1ヶ月当たり80時間を超えて疲労の蓄積が認められたり、
健康上の不安を有している労働者、事業場で定めた基準に該当する労働者にも、面接指導等の必要な措置を実施することが求められています。
事業場における基準は、衛生委員会等で審議した上で事業者が決定するが、
時間外・休日労働時間が「1ヶ月100時間を超える労働者」と「2ヶ月ないし6ヶ月の平均で1ヶ月あたり80時間を超える労働者」は
全員を対象にすべきです。

[5]時間外・休日労働時間が1ヶ月当たり45時間を超える労働者がいる場合には、
従業員の健康確保の観点から必要な措置を行うことが望まれます。

[6]過重労働による健康障害を防止するためには、長時間労働にならないよう労働時間を管理することが必要です。
時間外労働や休日労働を削減し、年次有給休暇の取得を推進する等の対策が望まれます。

関連資料(法令、通達、参考図書等)
法令
労働安全衛生法
労働安全衛生規則
通達
労働安全衛生法等の一部を改正する法律(労働安全衛生法関係)等の施行について(平成18年2月24日付け基発第0224003号)
過重労働による健康障害防止のための総合対策について(平成18年3月17日付け基発第0317008号)
参考図書等
過重労働による健康障害防止対策の手引き(厚生労働省)
労働者の疲労蓄積度チェックリスト(厚生労働省)

 

1か月の時間外労働223時間、通販会社に2400万円賠償命令…16日間連続勤務後うつ病に
2022/02/22 読売

恒常的な長時間労働により、うつ病を発症したとして、仙台市の40歳代の男性が東証2部上場のインターネット通販会社
「ストリーム」(東京)に慰謝料など計約6887万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁(小田正二裁判長)は22日、
長時間労働とうつ病との因果関係を認め、同社に約2425万円の支払いを命じる判決を言い渡した。

判決によると、男性は2013年11月からさいたま市内の物流センターで勤務し、クリスマス商戦の時期だった翌12月には、
1か月の時間外労働が約223時間に及んだ。
14年2月には、現場のリーダーを任され、16日間連続して勤務。翌3月にうつ病と診断された。

同社は「男性から業務量が過重だという申告はなかった」などと主張したが、
判決は、同社がICカードを使って男性の労働時間を正確に把握していたのに、対策を怠ったと判断した

判決後、都内で記者会見した原告代理人の梶山孝史弁護士は、
過重労働の申告などを会社にしていなくても、会社の責任が認められたことは評価できる」と話した。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

(参考)睡眠中の短い目覚めを正確判定

2022年02月23日 | 情報

小職も、就寝中にラジオの深夜放送を聞いていますが、放送が「まだら模様」に耳に入ってきます。
俗っぽい話で、申し訳ありません。

睡眠中の短い目覚めを正確判定 東大・ソニーが計算手法
日経産業新聞 2022年2月9日

東京大学の上田泰己教授らとソニーグループの研究チームは就寝中に短い間だけ目が覚める現象を、精度よく判定できる解析アルゴリズム(計算手法)を開発した。腕時計型のウエアラブル端末と組み合わせて使う。一時的な覚醒は本人も覚えていない場合があり、心身の不調の原因にもなる。東大発スタートアップのアクセルスターズ(福岡県久留米市)と協力し、アルゴリズムを搭載した端末を2023年度に発売する予定だ。

腕時計型の端末を着けると腕の動きから睡眠中の体の状態を調べることができる。米アップルや米フィットビットなどが端末を販売している。

ただ主な端末では寝ている状態を90%以上の精度で正しく見分けられる半面、睡眠中に一時的に目覚めた状態などは40~60%しか見分けられないとする報告もある。例えば寝返りをうった時と起きた状態との区別が難しいという。

腕時計型の端末では通常、腕にかかる力を示す加速度を調べている。研究チームは加速度の時間変化率にあたる「躍度」について、機械学習を用いて解析する手法を開発した。

この手法により寝ている状態を約96%、一時的に起きた状態を約80%の精度で見分けることができた。上田教授は「従来のように腕の動きの激しさをみるのではなく、動きのパターンを捉えて見分けるイメージだ」と話す。

睡眠中に一時的に覚醒してしまうのは不眠症や睡眠時無呼吸症候群といった睡眠障害の症状の一つで、適切な診断と治療が必要になる。うつ病などでも起きるといわれる。ただ朝起きたときに覚醒の回数や長さを覚えていない例も多い。主観だけに頼ると症状の正確な分析が難しい。

脳波や目の動き、呼吸状態などを調べる「終夜睡眠ポリグラフ(PSG)検査」と呼ぶ手法もある。睡眠と覚醒を正確に見分けられるが、多くのセンサーを体に装着する必要がある。高度な機器を備えた病院で実施するのが一般的だ。ウエアラブル端末を用いて簡便・正確に解析できる手法が求められていた。

新手法はアクセルスターズが開発する端末に搭載する。22年2月中旬から久留米市や久留米大学などと共同で、同端末で睡眠の状態を調べ、改善につなげる実証実験を始める。まずはヘルスケア機器としての発売を目指す。睡眠障害の予防や治療のための医療機器としての開発も狙う。

上田教授は「生活習慣病の予防のための特定健診での活用も目指す」と話す。睡眠習慣について「休養が十分取れているか」といった質問だけでなく、新手法も用いることで計測値から睡眠状態を正確に分析できる。治療や生活習慣の改善につなげやすいと期待している。


腕の動きを元に、正確に睡眠覚醒状態を判定する方法ACCELを開発
令和4年1月20日
東京大学・科学技術振興機構(JST)

https://www.jst.go.jp/pr/announce/20220120-2/index.html

ポイント
腕時計型のウェアラブルデバイスなどから得られる腕の動きから、装着者が眠っているのか起きているのかを判定するデータ解析アルゴリズム「ACCEL」を開発しました。

腕の動きの躍度(加加速度)を元に、機械学習を用いた解析を行うことで、高い感度(睡眠状態を睡眠と判定する割合)と特異度(覚醒状態を覚醒と判定する割合)を両立した、正確な睡眠覚醒判定が可能となりました。

特に、既存の手法よりも高い睡眠判定の特異度を達成したことで、一時的な覚醒をより正確に判定できるようになりました。就寝中の短い覚醒が増えることは、夜間のまとまった睡眠がとりにくくなっていることを示唆し、こういった睡眠の“質”の低下が関わる健康状態の変化を把握するのに役立つと期待されます。

東京大学 大学院医学系研究科の上田 泰己 教授らの研究グループは、腕時計型のウェアラブルデバイスなどを用いて計測することができる腕の動きの情報から、その人が眠っているのか、起きているのかを正確に判定する手法を発表しました。ACCEL(ACceleration-based Classification and Estimation of Long-term sleep-wake cyclesの略称)と命名されたこの手法は、加速度計を用いた腕の動きの測定と、睡眠覚醒状態を知るためのPSG測定を同時に行い、得られたデータを機械学習で解析することで開発されました。ACCELによる睡眠覚醒判定には、ウェアラブルデバイスで測定した腕の動きの加速度の変化を表す躍度(加速度の微分値であり、加加速度とも呼ばれます)のみを用います。ACCELを用いた睡眠判定精度は、90パーセント以上の高い感度と80パーセント以上の高い特異度を達成しています。既存の手法の多くは、睡眠判定の特異度が高くないという問題点がありましたが、ACCELは特にこの点を解決する新規手法として期待されます。

本研究成果は、2022年2月18日出版の「iScience」に掲載されるのに先立って、オンライン公開されました。

<論文タイトル>
“A jerk-based algorithm ACCEL for the accurate classification of sleep–wake states from arm acceleration”
DOI:10.1016/j.isci.2021.103727

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

休職復職Q&A⑪番外編

2022年02月22日 | 情報

Q:中堅企業?で、営業職をしています。精神疾患で休職中ですが、少しでも早く職場復帰したいと考えています。
そのためには、リワークすることも必要と考えました。どのように進めたらよいでしょうか?

A;再確認です。

「リワークとは、return to workの略語です。気分障害などの精神疾患を原因として休職している労働者に対し、
職場復帰に向けたリハビリテーション(リワーク)を実施する機関で行われているプログラムです。
復職支援プログラムや職場復帰支援プログラムともいいます。」

因みに、リワーク(re-work)とは「return to work」を略した和製英語です。

リワークしたいと考えるようになったのは、病状がかなり改善されているのでしょうね。
しかし、リワークについては、主治医の承認が前提です。まず、主治医に申し出てください。
そして、主治医の指示に基づいて、リワークに取り組んでください。これが原則です。
主治医に相談しないで、リワークに取り組むのは、止めたほうがよいでしょう。

さて、多くの精神科医は、リワークの有用性を理解していますので、
相談する前に主治医からリワークについてのアドバイスがあることと思います。
また、主治医の中には、リワーク施設を自ら運営している医師もいます。
このような場合には、何らの問題もなく、物事がはかどることでしょう。

一方で、リワーク施設を運営する医療機関の中には、転院を前提とする場合もあります。
しかし、現在の主治医に全幅の信頼を置いているような場合に、転院することは大きなリスクとなります。
ご相談者は、病状の回復も順調とお見受けしますので、探したリワーク施設が、
転院を前提としているようであれば、よく考えていただいたほうがよいでしょう。

リワーク施設には、いろいろなタイプがあります。

1.公的機関が運営している施設
例えば、東京であれば、東京都立中部総合精神保健福祉センター(世田谷区)や、

https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/chusou/

東京障害者職業センター(高齢・障害・求職者雇用支援機構、台東区)等が有名です。

https://www.jeed.go.jp/location/chiiki/tokyo/

メリットは、交通費以外は、原則無料です、デメリットは、遠隔地、通所時間が60分以上の場合は不向きです。

2.医療機関が運営している施設
日本うつ病リワーク協会のHPに掲載されている、全国の施設

https://www.utsu-rework.org/list/certified.html

メリットは、全国に点在しており、医療機関と一体で運営、
デメリットは、多くは診療報酬内の運営ですが、費用が高額になる場合もあります。

3.民間機関が運営している施設
EAP(従業員支援プログラム)機関等の民間企業が運営しています。
小職は、実態を把握していませんので、主治医の助言や施設側の説明や見学等により、判断してください。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする