中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

セクハラ解決、増える申し立て 

2013年01月10日 | 情報
調査データやマスコミ記事が続きますが、鮮度がありますのでご了承ください。

セクハラ解決、増える申し立て 厚労省推計
2013/1/4 日経新聞

職場のセクシュアルハラスメントを巡って、被害者らが各地の労働局に解決援助や調停を申し立てるケースが増え続けている。
厚生労働省は、2012年度の主要10局の申請受理件数が3年前に比べ4割程度増加すると推計。
被害者が鬱病などを発症する深刻なケースも増えているため、労働局の相談体制を強化する方針だ。
厚労省によると、東京や大阪などの主要10労働局のセクハラに関する解決援助・調停の受理件数は、
09年度の167件から10年度207件、11年度212件と右肩上がりで増加。同省は12年度もこの傾向は続き、230件を超えると推計している。
受理事案のうち、被害者がセクハラが原因で鬱病などを発症し通院するケースも、11年度は125件と09年度の2倍超にまで増加。
同省は12年度は150件を超えるとみている。雇用均等政策課は「景気低迷や競争の激化で職場のストレスが高まるなどし、
悪質な事例が増えている可能性がある」と指摘している。調停対象となったあるケースでは、上司の誘いを拒んだところ無視され、
会社を辞めざるを得なくなったとして、女性が会社に慰謝料を請求。
会社は当初、上司の言動に問題があったと認める一方で慰謝料は拒否した。
女性の申請で調停が始まり、調停会議が慰謝料支払いと再発防止策を勧告した結果、会社側も歩み寄って和解に至った。
セクハラ被害の慰謝料を請求されたが被害女性が調査に応じず解決できないなどとして、事業主側が調停を申請するケースもある。 
厚労省によると、11年度には全国47労働局でセクハラや結婚などを巡る解決援助と調停、計657件に助言や解決案を提示。
489件(約74%)が解決したという。解決に至らない場合は訴訟に発展するケースもある。 
当事者が感情的になって歩み寄りに応じず、解決に時間がかかることも多いため、
厚労省は労働局に配置しているセクハラ専門の非常勤相談員を、
13年度から主要10局で増員する計画。雇用均等政策課は「より丁寧に対応し、解決のために冷静に話し合える体制をつくりたい」としている。

セクハラ問題、双方の主張聞き解決援助や調停へ
2013/1/4 日経新聞

男女雇用機会均等法は、相談窓口の設置などのセクハラ防止措置を事業主に義務付けており、
事業主の対応が不十分な場合などに都道府県の労働局に解決援助や調停を申し立てることができる。 
解決援助は、労働局が被害者と事業主の主張を聞き取り、解決に向けた助言や指導を行う。
口頭で申請でき、申請から最速1カ月程度で助言が示される。
調停は、弁護士や大学教授らでつくる調停会議が双方の主張を聞き、専門的な見地から解決案を示す。
中立性が高まる一方、文書での申請が必要で、解決案提示まで数カ月かかることもある。
解決援助、調停ともに、被害者だけでなく事業主も無料で利用可能。どちらを利用するかは申請者が選択できる。

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男性社員の育休取得率50% 

2013年01月09日 | 情報
間接的な施策ですが、これもMH対策の有効な手段であると考えています。

育児は、夫婦共同の作業です。一方に一方的に押し付けることではありません。
当然、喧嘩もあるでしょうが、夫婦間の会話は計り知れないくらい増えます。
夫婦間の会話が増えれば、お互いの考えの理解が進みますし、お互いを尊重しあうことにもつながります。
理屈は、ともかくとして、育児は何物にも代えがたい「生涯最高のお楽しみ」です。

SANKEIBIZより

男性社員の育休取得率50% 千趣会の「イクメン」事情
事仕と家庭を両立させる一環として、男性社員の「育児休業制度」を導入する企業が増加し、
世に「イクメン」と称される育児に熱心な男性も増えつつある。ところがいざ取得となると、
これがなかなかそうはいかないのが実態。そんな中、「ベルメゾン」で知られる通販大手の千趣会は、
育休の取得率がなんと50%を超えるという。そこには独特のマニュアルの作成など、
アノ手コノ手の会社ぐるみでの取得に向けた取り組みがある。

[女性のキャリアロスはもったいない!] 優秀な社員確保へ多様な制度充実
入社5年目の久保慶太さん(28)は、12月に3日間の育児休暇を取得した。
8月に誕生した長男を散歩に連れて行ったり、ミルクやおむつ換えもこなし、イクメンぶりを存分に発揮した。
「これまでも休日には育児にかかわってきましたが、1日や2日だと楽しい育児も、毎日となると大変でした」と話す。

同社は仕事と育児を両立させるための制度づくりを積極的に進めており、男性社員にも、
子供が2歳になるまでの間に5日間の休みが取得できる育休制度を導入。さらに、子供の誕生時に3日間の休暇を取得できる制度もある。
そこには同社ならではの事情がある。通販の顧客は女性が多いということだ。
この点、男性が育児を経験することで、子供をもった女性社員が働きやすい環境に対する理解を深めてもらうとともに、
自らの育児経験を商品開発に生かすこともねらっている。

男性の育児休暇制度を設けている企業は珍しくない。その内容も各社各様だが、
厚生労働省の平成23年度雇用均等基本調査によると、取得率はわずかに2・63%にとどまっている。
制度があるのに取得が進まない理由は、「仕事が忙しくて休めない」「上司に言い出しにくい」というのが大半だ。
そこには女性と違い、やはり“遠慮”がある。残念ながら、日本社会ではまだ「男性と育児」は市民権を得ているとはいい難い。
ところが、先の久保さんは「取得するのが当たり前だと思っていました」という。それだけの風土が同社にはあるのだ。
もちろん、自然とそうなったわけではない。育休を取得しやすい職場環境をつくろうと、
制度の導入に合わせて、社内の風土改革やサポート体制を考える社内委員会「ハナメゾン」を平成17年に立ち上げ、
いわば会社ぐるみでの活動に乗り出した。
理解を深めるため、イラストや社員の体験談などで解説した「両立支援マニュアル」も策定した。
これがじつにきめ細かい。出産する女性社員向けの「本人編」はもちろん、「パパになる人編」、さらに「上司編」「同僚編」まである。
上司編では「まずは『おめでとう』と声をかける」から始まり、子供が生まれたら、育休を取得するよう“催促”することになっている。
実際、久保さんは妻の妊娠中から育休をとるよう、上司にいわれていたという。
パパになる人編には、妊娠発覚以降の女性の体調の変化について記すとともに、出生届の準備や保育所探しなど、
どのタイミングで何をすればいいかが一目で分かる表もつけ、さまざまなアドバイスを盛り込んでいる。
もちろん、当然ながら女性社員に対しても、取得を促しており、こちらの取得率は100%という。
 
このマニュアルを全社で共有することで、育休取得の意識を高めることができ、
女性社員だけでなく、男性社員の育休取得も当たり前になったのだ。同社より手厚い育休制度を導入している企業もあるが、
たとえば取得できる日数が長くても、それなりの“条件”がついていたりすれば、
実際問題として、なかなか取得できないことになってしまう。
 同社の場合、仕事の調整をつけやすい5日間という日数が男性社員にとって「身近」な制度に感じられ、
それが50%という高い取得率につながっている。「女性であろうと男性であろうと、
優秀な人材が長く働いて力を発揮することが、会社にとっては一番大切。より働きやすい環境整備に向けて、
これからも取り組んでいきたい」(人事担当者)と話している。

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最近の調査結果2本

2013年01月08日 | 情報
以下の調査データは、専門誌に掲載されたものです。
社内の検討資料、提案資料の補完データとしてご活用ください。

ほぼ全事業場が「MHに関心あり」(中災防:安全衛生通信’12.12.5より)

中災防が製造業2,000事業場、サービス業等1,000事業場を対象に「事業場におけるMH対策に関するアンケート」(回答数:256事業場)を
行ったところ、99%にあたる254事業場が「取り組んでいる」あるいは「関心がある」と回答するなど、
職場でのMH対策が重要視されていることが分かった。実際に「取り組んでいる」と回答したのは、
製造業80.2%、サービス業等62.3%で、実施率は製造業のほうが高い。
MHを担当する部署を「決めている」事業場は78.5%、また「決める予定」の事業場は10.5%となっている。
また、相談窓口を設置している事業場は77.7%で、今後設置する予定のあのある事業場と合わせると85.5%の事業場で
従業員がMH関連の悩みなどを相談できる体制が整っていることになる。相談窓口を設置している割合は
サービス業等より製造業のほうが高いが、サービス業は製造業に比べて「事業場外」に窓口を設けているケースが多いのが特徴。
このほか、衛生委員会でのMHについての調査審議について「ある」と回答した事業場は52.0%、「実施予定」が27.7%だった。
また、MH関連で困っていることを聞いたところ、3割強が「不調者の増加」を挙げた。
また、「社員の関心が低い」、「従業員への教育方法が分からない」、「対応するスタッフがいない」などの声も多く、
急増が懸念されているMH不調者への対応、予防対策などに苦慮する現状がうかがえる。
MH教育を実施している事業場は73.8%。今後実施予定の事業場と合わせると84.8%が実施すると回答した。
教育対象としては「従業員対象」より「管理職対象」のほうが多く、その傾向は製造業もサービス業等も変わらなかった。
一方、従業員のMHの実態調査を行っている事業場は41.8%となっている。
また、MH対策に役立てている情報の入手方法を聞いたところ、最も多かったのは「セミナー」の63.3%。
次いで「インターネットの情報」(50.0%)、「書籍」(36.3%)の順だった。

MH取組み企業アンケート調査(日本生産性本部調査:労経ファイル'12.12.15より)

心の病増加の割合が7ポイント減、30歳代は23ポイント減り35%に、早期対策の効果は半数にとどまる。
生産性本部の「MH取組企業アンケート調査」では、最近3年間の「心の病」が増加しているとの回答が37.6%で、
2年前の調査に比べ7ポイント減少し、「増加傾向に歯止めがかかった」とレポートしている。
30歳代が23ポイント強減少する一方、40歳代が13.9ポイント増えている。不調者の早期発見・対応策で効果を挙げている割合は半数にとどまる。

1.最近3年間の「心の病」の増減傾向
最近3年間における「心の病」の増減傾向についての結果は、2010年実施の前回調査よりも「横ばい」が増加し、
51.4%と半数を占めた。前回よりも「心の病」の増加傾向にさらに歯止めがかかってきているといえる。
過去のトレンドを見ると、「増加傾向」は2006年の61.5%をピークに、2008年56.1%、2010年44.6%と「増加傾向」が減少してきているが、
今回はさらに37.6%に減少した。「増加傾向」の数値としては、2012年の37.6%は過去最低の数値である。
とはいえ、「増加傾向」の企業はまだ4割近くある。
また、「減少傾向」は前回の6.4%から7.8%に増えたものの、減少傾向が勢いを持っているとまでは言えない。
要約すれば、「横ばい」が増加し、「心の病」の増加傾向にさらに歯止めがかかったものの、「減少傾向」は微増にとどまっている。
「増加傾向」も割合は減少したものの、依然4割近くを占めている。

2.企業のかかえるMH問題
(1)「心の病」の最も多い年齢層
これまでの調査では30代という回答が最も多く、次いで40代、10~20代、50代と続いていたが、今回、これが大きく変わった。
40代の割合が増加し、最も多くなり、30代、10~20代、50代と続く。40代が最も多くなった。
また、2割近く(18.8%)の企業で10~20代が最も多いという結果になった。
(2)MHの取り組みを通じて期待する内容と効果
MH対策への期待の第1位は、「不調者が早期に発見できる」ことである。2番目が「不調者に適切な対応ができる」である。
「不調者に適切な対応」とは、治療につなげる対応と考えれば、早期発見・早期対応が期待のトップであるということもできる。
ちなみに「不調者が早期に発見できる」と答えた企業は188件あり、そのうち「不調者に適切に対応できる」を同時に答えているのは、
163件で、全体の74.8%となる。この数値でも期待内容のトップは早期発見・早期対応(二次予防)であるということができる。
しかし、早期発見・早期対応(二次予防)について効果が出ている(「十分効果が出ている」、「まずまず効果が出ている」)企業は
半数である。「全く効果が出ていない」「どちらともいえない」があわせて47.3%となっており、効果が実感できていない企業も半数ある。

3.職場や働き方に関する変化
職場や働き方についての変化の有無について、「そう思う」「ややそう思う」をあわせて、変化が起きている割合は、
「職場に人を育てる余裕がなくなってきている」(76.2%)が最も高く、3/4を超える企業でこうした変化が起きている。
次いで、「管理職の目が一人一人に届きにくくなってきている」(69.7%)、
「仕事の全体像や意味を考える余裕が職場になくなってきている」(68.4%)という変化が、それぞれ7割近くの企業で起きている。
これらの項目を組織のタテ、ヨコとのコミュニケーションという観点で見ると、いずれの項目もコミュニケーションの減少と関わる項目であるだけでなく、
組織のタテ、ヨコの結束性を弱めたり、これまでの蓄積を次の世代に繋いでいくという、
組織の継続性にまで大きな影響を与えうるものである。
なお、これらの上位3項目それぞれについて、そうした変化があてはまる肯定的な回答をした企業群と、
変化があてはまらないとして企業群について、この3年間の「心の病」の増減傾向との関係を見た。(図省略)
こうした変化が起きているという企業では「心の病」の増加傾向が多く、変化があてはまらないとした企業では、
増加傾向が低く、かつ、減少傾向が高めになっている。
健康な活力ある職場づくりのために、いわば企業の「土壌改善」にあたる一次予防を継続して行っていくことは非常に重要であり、
この調査結果も、その必要性を示唆するものである。


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年頭にあたって

2013年01月07日 | 情報
新年おめでとうございます
今年もメンタルヘルス対策に全力を傾注して参ります。

今年も引き続き取り組むことは、1社でも多くの経営者、経営層にメンタルヘルス対策の重要性を理解頂くことです。
経営者、経営層になかなかメンタルヘルス対策の必要性がなかなか浸透しないのですが、その大きな理由は、
多くの経営者、経営層には、メンタルヘルス対策の重要性が念頭にないことです。要するに優先課題であるとの認識がないのです。
企業を経営するうえで、メンタルヘルス対策が単なるリスク対策ではなく、利益・売上拡大につながる
重要な経営課題であることを理解頂かなければなりません。

次に、具体的な優先対策として、メンタル不調者を一人でも出さないような企業風土を作り上げなければなりません。
MH問題は、社内・組織内の人間関係問題なのです。
そのためには最初に「アナログ」的な毎日の挨拶や会話が大切であることを、社内全体に浸透させなければなりません。
企業環境には、こうした「アナログ」的な要素が、空気や湿度・温度、ハードとしてのオフィス空間と同じくらい、
当たり前のようにできなければなりません。また、そのようにしなければなりません。

三つ目に、メンタル不調者が確実に職場復帰できるサポート体制を作ることです。
メンタル不調で人生を棒に振るような状況に追い込んではいけません。
メンタル不調になれば、本人は当然のことですが、家族や友人までも不幸になります。
この世に生を受けたのにもかかわらず、人間らしい人生を送ることができない、こんな不条理な仕打ちはありません。
「明日は我が身」というような(本当ですよ)気持ちで対処する覚悟が必要です。

以上のことについて、明日から、出来る限り具体的に情報発信して参ります。
ご質問・ご提言をお待ちしています。
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