中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

(参考)自分の働き方{変わらない}半数

2018年03月31日 | 情報

なかなか面白い結果ですが、ユーザーを対象にしたアンケートですから、定性情報として受け止めてください。

自分の働き方{変わらない}半数
「変わった」は22%、人材サービス会社調査
18.3.28 読売・東京版25面
(以下、略)

6,700名の社会人に聞いた「働き方改革」意識調査。
働き方改革の課題は、取り組みと実態の整合性、仕事量の調整。
―『エン転職』ユーザーアンケート調査 結果発表―
2018/03/14
人材採用・入社後活躍のエン・ジャパン株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:鈴木孝二)が運営する
「入社後」までを見据えた日本最大級の総合求人・転職支援サービス『エン転職』
( https://employment.en-japan.com/ )上で、ユーザーを対象に「働き方改革」についてアンケートを実施。
6,768名から回答を得ました。以下、概要をご報告します。

調査結果 概要
★ 43%の方が、在籍企業が働き方改革に取り組んでいると回答。取り組み内容は「長時間労働の是正」「有給休暇の取得促進」。
★ 働き方改革で「働き方が変わった」と感じている方は22%、「変わらない」が51%。
★ 働き方が変わらない理由、トップ2は「取り組みが実態に合っていない」「仕事量が多い」。
★ 働き方改革で個人ができること、トップ2は「仕事の進め方の工夫」「周囲との協力体制」。

調査結果 詳細
1:43%の方が、在籍企業が働き方改革に取り組んでいると回答。取り組み内容は「長時間労働の是正」
「有給休暇の取得促進」。
「今いる会社では、働き方改革に取り組んでいますか?」と伺ったところ、43%の方が「取り組んでいる」と回答しました。
在籍している企業規模が大きくなるほど、取組比率は上昇。100名以下では27%、1001名以上では66%にのぼります。
「自社が働き方改革に取り組んでいる」と回答した方に、具体的な取り組みを質問しました。
第1位は「ノー残業デーや深夜残業禁止など、長時間労働の見直し」(69%)、
第2位は「有給休暇取得の推進」(48%)、第3位は「業務プロセス改善やツール導入など、
仕事の進め方の見直し」(29%)でした。
規模別で取組比率にギャップが見られた項目は「有給休暇取得の推進」や「女性管理職登用など、女性活躍の推進」です。

2:働き方改革で「働き方が変わった」と感じている方は22%、「変わらない」が51%。
「会社の働き方改革に対する取り組みで、あなたの働き方は変わりましたか?」と伺うと「変わった」が22%、
「変わらない」が51%という結果になりました。企業規模別の大きな差異は見られませんでした。
「変わった」と回答した方からは「長時間労働の見直しにより、部署の雰囲気および自身の仕事に対する姿勢が
より効率的になった。また、周りの残業状況を気にせずに退勤しやすくなり、
プライベートの予定を立てやすくなった」(26歳女性、101~300名の企業)、
「裁量労働制が採用されたので、勤務時間の自己管理幅が増えました。
深夜の会議があった翌日はゆっくり出勤するなど、私自身の裁量でコントロールしてもいいようになっている」
(43歳男性、1001名以上の企業)というコメントがある一方で「会社の新たな政策にのっとって、
まるで公務員のように必ず定時上がりをする社員の分まで仕事をしなければいけなくなった。
残業時間もさらに増えている」(30歳男性、100名以下の企業)「残業が出来なくなり、家での仕事が増えた」
(38歳男性、1001名以上の企業)という声も見られました。

3:働き方が変わらない理由、トップ2は「取り組みが実態に合っていない」「仕事量が多い」。
会社の働き方改革に対する取り組みで、自身の働き方が「変わらない」「どちらとも言えない」と回答した方の理由は、
第1位「制度や仕組みが、現場の実態に合っていないため」(48%)、第2位「担当している仕事の量が多いため」(39%)、
第3位「できた制度や仕組みを実際に使う機会がないため」(31%)でした。
「営業職で外回りが終わる時刻が定時近くになってしまうため、ノー残業デーや早上がりなどがしにくい」
(23歳男性、1001名以上の企業)、「上層部が躍起になって改善を進めようとしているが、
業務量が変わらず人不足のため全く改善されない」(24歳男性、101~300名の企業)、
「残業を無くすということだけを強調するだけで、業務分担の見直しや効率化のための仕組み作りなどを実施していない」
(29歳男性、1001名以上の企業)、「本社は取り組まれているが、現場では人員不足や業務負担が大きいのが実状で、
浸透するには時間を要すると感じるし難しいと思う」(30歳女性、301~500名の企業)などの声が挙がっています。

4:働き方改革で個人ができること、トップ2は「仕事の進め方の工夫」「周囲との協力体制」。
「働き方改革について、個人でできること」を質問すると、第1位「仕事の進め方や取り組み方を工夫していく」(56%)、
第2位「周囲と協力する体制を作っていく」(44%)、第3位「効率化に対する意識づけを行う」(39%)でした。
具体的には「自分しか出来ない仕事を増やしていくのではなく、
もし自分がいなくなってもすぐ対応できるような環境作りをしていくべきだと思う」(25歳女性、301~500名の企業)、
「所属長が各々の業務負荷を見極め、適切に分散させると共に、個人では効率的に業務を遂行する必要がある」
(29歳男性、501~1000名の企業)、「知識を深めれば、仕事の効率を上げることもでき、
仕事の進め方や取り組み方にも工夫ができると思う」(34歳女性、1001名以上の企業)というコメントが挙がっています。

【調査概要】
■調査方法:インターネットによるアンケート
■調査期間:  2018年2月1日~2月25日
■調査対象:『エン転職』( https://employment.en-japan.com/)利用者
■有効回答数:6,768名

https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/enjapanhp/wp-content/uploads/20180314104115/20180314_%E3%82%A8%E3%83%B3%E8%BB%A2%E8%81%B7%EF%BC%88%E5%83%8D%E3%81%8D%E6%96%B9%E6%94%B9%E9%9D%A9%EF%BC%89.pdf

 

 

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第13次労働災害防止計画(続々編)

2018年03月30日 | 情報

関連情報です。

1.労災保険制度(厚労省HPより参照)

労災保険制度は、労働者の業務上の事由または通勤による労働者の傷病等に対して必要な保険給付を行い、
あわせて被災労働者の社会復帰の促進等の事業を行う制度です。
その費用は、原則として事業主の負担する保険料によってまかなわれています。
労災保険は、原則として一人でも労働者を使用する事業は、業種の規模の如何を問わず、すべてに適用されます。
なお、労災保険における労働者とは、「職業の種類を問わず、事業に使用される者で、賃金を支払われる者」をいい、
労働者であればアルバイトやパートタイマー等の雇用形態は関係ありません。
労災年金給付等の算定の基礎となる給付基礎日額については、労災保険法第8条の3等の規定に基づき、
毎月勤労統計の平均給与額の変動等に応じて、毎年自動的に変更されております。

2.職業病リスト 労働基準法施行規則(昭和二十二年厚生省令第二十三号) 別表第一の二

労災保険の対象になる職業病のリストです。
その九番目に、精神疾患があります。

一~八 省略
九  人の生命にかかわる事故への遭遇その他心理的に過度の負担を与える事象を伴う業務による
精神及び行動の障害又はこれに付随する疾病
十~十一 省略http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/rousai/syokugyoubyou/list.html

職業病リストの解説(厚労省HPより)
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/rousai/dl/131001-1.pdf#search=%27%E8%81%B7%E6%A5%AD%E7%97%85%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%88%27

ただし、精神疾患の場合は、にわかに労災に該当するのか、私傷病なのかを会社側が判断することができません。
ですから、会社側は、たとえ労災に該当するのではないかと考えていても、
原則として私傷病として処理します、処理してしまいます。
その典型的な失敗例が、東芝うつ病事件(最二小平26.3.24判、差戻審・東高平28.8.31判)です。

3.労災かくし(厚労省HPより引用)

労災かくしとは、「故意に労働者死傷病報告を提出しないこと」又は「虚偽の内容を記載した
労働者死傷病報告を所轄労働基準監督署長に提出すること」をいい、
このような労災かくしは適正な労災保険給付に悪影響を与えるばかりでなく、
労働災害の被災者に犠牲を強いて自己の利益を優先する行為で、
労働安全衛生法第100条に違反し又は同法第120条第5号に該当することとなります。
このような労災かくしに対して厚生労働省は、罰則を適用して厳しく処罰を求めるなど、厳正に対処することとしています。

最近における「労災かくし」事案の送検状況
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2003/11/h1120-2.html

 精神疾患の場合は、にわかに労災に該当するのか、私傷病なのかを会社側が判断することができませんので、
私傷病として社内処理しても、いわゆる「労災かくし」には、通常、該当しないとされています。

 

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第13次労働災害防止計画(続編)

2018年03月29日 | 情報

最新のデータは、平成28年のものですので、それを基本に論じます。

12次にわたる労働災害防止計画の実行により、労働災害による死亡者数は、「激減」している状況にあります。
昭49年 4,330人、昭50年 3,725人、平元年 2,419人、平10年 1,844人、平20年 1,268人、平28年 928人

第13次労働災害防止計画の前文です。

労働災害防止計画は、戦後の高度成長期における産業災害や職業性疾病の急増を踏まえ、
1958 年に第1 次の計画が策定されたものであり、その後、社会経済の情勢や技術革新、
働き方の変化等に対応しながら、これまで12 次にわたり策定してきた。
この間、産業災害や職業性疾病の防止に取り組む国、事業者、労働者等の関係者に対し、
安全衛生活動を推進する際の実施事項や目標等を示して取組を促進することにより、
我が国の労働現場における安全衛生の水準は大幅に改善した。
しかしながら、近年の状況を見ると、労働災害による死亡者の数(以下「死亡者数」という。)こそ減少しているものの、
いまだその水準は低いといえず、第三次産業の労働者数の急速な増加や労働力の高齢化もあって、
労働災害による休業4日以上の死傷者の数(以下「死傷者数」という。)に至ってはかつてのような減少は望めず、
これまでとは異なった切り口や視点での対策が求められている。
また、過労死やメンタルヘルス不調が社会問題としてクローズアップされる中で、働き方改革実行計画
(平成29 年3月28 日働き方改革実現会議決定)を踏まえ、過労死研究の推進とその成果を活用しつつ、
労働者の健康確保対策やメンタルヘルス対策等に取り組むことが必要になっているほか、
治療と仕事の両立への取組を推進することも求められている。
このほか、胆管がんや膀胱がんといった化学物質による重篤な健康障害の防止や、
今後増加が見込まれる石綿使用建築物の解体等工事への対策強化も必要となっている。
その他、大規模な自然災害による被害からの復旧・復興工事や東京電力福島第一原子力発電所の廃炉作業における
安全衛生の確保はもとより、2020 年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を契機として
我が国全体の安全や健康への意識の底上げにつなげていくことも考えられる。
このような状況を踏まえ、労働災害を少しでも減らし、安心して健康に働くことができる職場の実現に向け、
2018 年度を初年度として、5年間にわたり国、事業者、労働者等の関係者が目指す目標や重点的に
取り組むべき事項を定めた「第13 次労働災害防止計画」をここに策定する。

一方で、精神障害による労災請求件数は、右肩上がりです。
H18年 819件 →H28年 1586件。

さらに、請求1586(うち自殺198)のうち、 支給決定件数は、498(うち自殺84)件にも上っています。
因みに、警察庁の調べによると、平成28年の自殺者数は、21,897人ですが、
そのうち6,324人が 「被雇用者・勤め人」(28.9%) であり、 
「被雇用者・勤め人」 のうち自殺の原因が「勤務問題」であるものは、1,657人(26.2%)にも上っています。
加えて、労働者健康状況調査、労働安全衛生調査(実態調査)をみると、週労働60時間以上の割合は7.7%であり、
その中でも30代男性14.7%となっています(平成28年調査)。
さらに、80時間超の36協定を締結している事業場は、4.8%(大企業14.6%)となっています(平成25年調査)

 このような実態を踏まえての、第13次労働災害防止計画であることをご理解ください。
多くの労働者にとって、メンタルヘルス問題は重大な課題であることがわかります。

平成28年労働災害発生状況(厚生労働省)
平成29年5月19日 厚生労働省労働基準局 安全衛生部安全課
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11302000-Roudoukijunkyokuanzeneiseibu-Anzenka/0000165152.pdf

 

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第13次労働災害防止計画

2018年03月28日 | 情報

平成30年4月1日よりスタートする第13次労働災害防止計画が、平成30年3月19日に公示されました。
特筆すべきは、職場のメンタルヘルス対策について、第12次の目標が1つであったのに比較して、
目標が一挙に3項目に拡大されました。
その背景としては、労働災害のなかで、メンタルヘルス問題が大きなウェートを占めるようになっているからです。

第13次労働災害防止計画(2018年度~2022年度)

【職場のメンタルヘルス対策関連】
①仕事上の不安、悩み又はストレスについて、職場に事業場外資源を含めた相談先がある労働者の割合を90%以上
(71.2%:2016年)とする。
②メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業場の割合を80%以上(56.6%:2016年)とする。
③ストレスチェック結果を集団分析し、その結果を活用した事業場の割合を60%以上(37.1%:2016年)とする。

【全体の目標】
①死亡者数を2017年と比較して、2022年までに15%以上減少させる。
②死傷災害(休業4日以上の労働災害をいう。以下同じ。)については、死傷者数を2017年と比較して、
2022年までに5%以上減少させる。

第12次労働災害防止計画(2013年度~2017年度)
メンタルヘルス対策
【目標】対策に取り組んでいる事業場の割合を80%以上

【全体の目標】
○平成29年までに、労働災害による死亡者数を15%以上減少(平成24年比)
○平成29年までに、労働災害による死傷者数(休業4日以上)を15%以上減少(同)

厚労省HP・第13次労働災害防止計画について
「労働災害防止計画」とは、労働災害を減少させるために国が重点的に取り組む事項を定めた中期計画です。

厚生労働省は、過労死やメンタルヘルス不調への対策の重要性が増していることや、
就業構造の変化及び労働者の働き方の多様化を踏まえ、労働災害を少しでも減らし、
安心して健康に働くことができる職場の実現に向け、国、事業者、労働者等の関係者が目指す目標や
重点的に取り組むべき事項を定めた 2018 年 4 月~ 2023 年 3 月までの 5 年間を計画期間とする
「第 13 次労働災害防止計画」を 2018 年 2 月 28 日に策定し、 3 月 19 日に公示しました。

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000197308.html

 

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メンタル原因の長期療養職員

2018年03月27日 | 情報

公務員は、メンタル疾患の多い職種の一つです。静岡県がこうした事実の公表に踏み切ったのは、
問題が相当深刻なのだという印象です。

メンタル原因の長期療養職員、年平均67人 静岡県
2018年3月19日 朝日

静岡県は、メンタルヘルスが不調になり年間30日を超える長期療養をした知事部局の県職員が、
過去5年間の平均で年67人に達し、全体の1・13%、88人に1人の割合だったと公表した。
昨年度は64人で、1・09%だったという。川勝平太知事は13日の定例記者会見で、
「少ないとは言えない。大きな問題と認識している」と述べ、対策を検討する姿勢を見せた。
過去5年間の平均1・13%(88人に1人)は、全国の都道府県や政令指定都市の平均1・25%(80人に1人)より
やや低い。ただ、民間企業は昨年10月末までの1年間で0・4%にとどまり、大きな差がある。

川勝知事は、業種によって数字に差があると指摘した上で、
「危機感がある。総合的な対策を充実させ、風通しのいい環境づくりに努める」などと述べ、改善を図る意向を示した。
また、任命権者としての責任について朝日新聞の質問に
「権力は下の者を従わせるためにではなく、強い力がない人のために使う」とも強調した。
知事部局の職場環境を巡り県は昨年、16年度までの8年間に17人の自殺者が出たと公表している。
千人当たりの自殺死亡率(15年度)は、各都道府県や政令指定都市の平均に比べ約2倍と多かった。
県職員組合によると、昨年1~6月の半年間に4人の自殺が集中。
担当者は「メンタルが原因の長期療養は高止まり傾向にある。
過去の自殺には上司によるパワハラの疑いがある事例もある」と明かす。
仕事のストレスや病気、早すぎた復帰など直接的原因は様々だが、
「人員削減や特定の職場の過重労働が背景にあるのでは」とみている。

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