中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

15.16日は、休載です

2018年11月14日 | 情報

15.16日は、出張のため当ブログは、休載します。
再開は、週明けの19日(月)です。よろしくお願いします。

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産業医の役割

2018年11月14日 | 情報

平成29年6月1日に施行された、労働安全衛生規則等の一部改正において、産業医の役割見直しが行われましたが、
法律改正の背景を、以下のように説明しています。

「産業医の業務内容が変化し、かつ業務量が増加しています。
具体的には、過労死対策、メンタルヘルス対策、疾病・障害がある等、働く人々が多様化することに伴い、
労働者をとりまく健康問題が重要性を増しています。
さらに、平成27年12月からストレスチェック制度が新たに導入され、面接指導業務が新たに産業医の職務に追加されるなど、
産業医が対応すべき業務が増加してきています。
また、労働安全衛生法が制定された当初と現在では、産業構造や、産業保健における主要な課題が変化してきており、
事業場において求められる労働衛生管理の内容や産業医に求められる役割等が変化してきています。」

結論から申し上げます。提言です。産業医の業務内容は、安衛則第14条、および第15条にて明確に規定されています。
なお、詳細は、条文を参照してください。
従って、御社が委嘱している産業医の業務内容ではなく、業務配分を見直さなければなりません。
なぜなら、限られた委嘱費の中での運用ですから。
法改正で、月1回の巡視が、条件付きで2月に1回の巡視になったように、委嘱する業務内容を、事業場の実態に即して、
優先順位をつけ、効率的な、いわば生産性を重視した産業医活動に変換していかなければなりません。

ただし、気を付けていただかなければならないことは、産業医の職務内容を省略することはできません。
産業医の職務は法令で明確に規定されているのですから。
もし、職務を省略するのであれば、その省略した職務を委嘱する新たな産業医を補充しなければなりません。
産業医に職務を行わせていないのは、事業者の責任なのです。

付け加えなければならないことは、衛生管理者の役割が、より重要になったことでしょう。
多くの企業では、衛生管理者の業務を、「片手間」的な感覚で、させているのではないでしょうか?
衛生管理者ばかりではありません。他の関係者の役割分担も見直しをしなければならないでしょう。

(参考)平成29年6月1日に施行された、労働安全衛生規則等の一部改正内容
(1) 産業医の定期巡視の頻度の見直し(労働安全衛生規則第15条1項)
少なくとも毎月1回行うこととされている産業医による作業場等の巡視について、事業者から産業医に毎月1回以上、
少なくとも毎週1回衛生管理者が行う作業場等の巡視の結果等所定の情報が提供されている場合であって、
事業者の同意がある場合には、産業医による作業場等の巡視の頻度を、少なくとも2月に1回とすることを可能とする。

(改正前)産業医は、少なくとも毎月一回作業場等を巡視し、労働者の健康障害防止のために必要な措置を講ずる。
なお、「巡視の結果等」の等とは、前号(第十一条第一項の規定により衛生管理者が行う巡視の結果)に掲げるもののほか、
労働者の健康障害を防止し、又は労働者の健康を保持するために必要な情報であつて、
衛生委員会又は安全衛生委員会における調査審議を経て事業者が産業医に提供することとしたもの(則15条項2号)、
を云います。

(2) 健康診断の結果に基づく医師等からの意見聴取に必要となる情報の医師等への提供
(労働安全衛生規則第51条の2、3項等)
事業者は、各種健康診断の有所見者について医師等が就業上の措置等に関する意見具申を行う上で
必要となる労働者の業務に関する情報を当該医師等から求められたときは、これを提供しなければならないこととする。

(改正前)事業者は、健康診断の結果、異常の所見があると診断された労働者について、
当該労働者の健康保持に必要 な措置について、医師等からの意見を聴取する。

(3) 長時間労働者に関する情報の産業医への提供(労働安全衛生規則第52条の2、3項)
事業者は、毎月1回以上、一定の期日を定めて、休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた場合における
その超えた時間の算定を行ったときは、速やかに、
その超えた時間が1月当たり100時間を超えた労働者の氏名及び当該労働者に
係る超えた時間に関する情報を産業医に提供しなければならないものとする。

(改正前)事業者は、休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間が
1月当たり100時間を超える労働者について、当該労働者からの申出に基づいて医師による面接指導を行う。

さらに、働き方改革関連法案のうちで、労働安全衛生法の改正については、産業医の役割についても改正がありました。

1.産業医の活動環境の整備(安衛法第13条関係)
・事業者から産業医への情報提供を充実・強化します。
・産業医の活動と衛生委員会との関係を強化します。
①  新設)産業医に対する情報提供(第13条第4項関係)
事業者は産業医が労働者の健康管理等を適切に行うために必要な情報を提供しなければならない。
②  事業者による当該勧告の尊重(第13条第5項関係)
事業者は産業医からの勧告を受けた当該勧告を尊重しなければならない。
③  新設)勧告の内容を、衛生委員会(安全衛生委員会)へ報告(第13条第6項関係)
事業者は産業医からの勧告の内容について、衛生委員会(安全衛生委員会)へ報告しなければならない。
④  新設)産業医の選任義務のない事業場における医師等への情報提供(第13条の2第2項関係)
産業医の選任義務のない事業場における医師等へ情報を提供するよう努めなければならない。
⑤  新設)健康相談に適切に対応するために必要な体制の整備(第13条の3関係)
労働者の健康管理等の適切な実施を図るため、産業医等が労働者からの健康相談に応じ、
適切に対応するために必要な体制の整備など必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

2.面接指導(安衛法第66条の8関係)
・産業医等による労働者の健康相談を強化します。
①  新設・新たに、技術、商品または役務の研究開発に係る業務に従事する労働者に対して
厚生労働省令で定める時間を超えた労働者に対して面接指導を行わなければならない。
②  新設・高度プロフェッショナル制度の対象労働者であって、
その健康管理時間が厚生労働省令で定める時間を超えた労働者に対して面接指導を行わなければならない。

3.法令等の周知(安衛法第101条関係)
・事業者は産業医の業務の内容等について、労働者に周知します。
①  新設)産業医を選任した事業者は、その事業場のおける産業医の業務の内容等について、
常時各事業場の見やすい場所に掲示し、または備え付けるなどにより、労働者に周知させなければならない。
(第101条第2項関係)
②  新設)労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識を有する医師等に労働者の健康管理の
全部または一部を行わせる場合も、労働者に周知させるよう努めなければならない。(第101条第3項関係)

4.新設)心身の状態に関する情報の取扱い(安衛法第104条関係)
・事業者による労働者の健康情報の適正な取り扱いを推進します。
①  この法律またはこれに基づく命令の規定による措置の実施について、
労働者の心身の状態に関する情報の収集、保管または使用するときは、
労働者の健康の確保に必要な範囲内とし、当該収集の目的の範囲内でこれを保管し、使用しなければならない。
(本人の同意がある場合その他正当な理由がる場合はこの限りではない)。(第1項)
②  事業者は、労働者の心身の状態に関する情報を適正に管理するために必要な措置を講じなければならない。(第2項)

 

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学習時間は「業務そのもの」

2018年11月13日 | 情報

再審査請求で、ようやく主張が認められたのですね。
しかし、会社側がどう対応するのか、結論はまだ先になるかも知れません。なぜか。
先日の移動時間も労働時間、と認定した事案とは全く異なり、本事案の影響は計り知れないと考えるからです。

労働保険審査会の判断を詳細に検討しなければなりませんが、
例えば研究職などは、寝る時間以外は、すべて労働時間になるでしょう。
待てよ、寝ている時間も寝ながら考えているかもしれませんので、
実態は24時間近く労働していると主張できるかもしれません。

多くの労働者も日常的に勉強していますし、勉強しないと科学技術の進歩や流行の変化に対応できませんからね。
勉強が全て労働時間になるのでしょうか。まず、労働時間にカウントされる「勉強」とは何か、定義しなければなりません。
労働時間になる「勉強」とならない「勉強」、どう線引きするのでしょうか。
小職も、クリエイティブな業務に携わっていた時期がありましたが、
業務外であっても、頭の中から課題を忘れることはありませんし、目の中に入ってくる事象は、
すべて勉強、調査、研究の対象でしたし、夜明け前に突然ヒントが浮かび上がり、飛び起きることもありました。

独法病院の職員自殺は労災 審査会、労基署判断覆す 
2018/11/9 日経

関東地方の国立病院機構の医療機関に勤務し、2016年に自殺した20代の男性事務職員=新潟県出身=について、
国の労働保険審査会が労働基準監督署の判断を覆し、労災と認定していたことが9日、分かった。
長時間労働が原因でうつ病になり、自殺に至ったと判断した。遺族の代理人弁護士が新潟市で記者会見して明らかにした。
代理人弁護士によると、男性は医師ら約400人の給与支払い業務をほぼ1人で担当。
本を読むなど自らの仕事について学習しながら日常業務に当たっていた。
裁決書では、学習時間は「業務そのもの」として労働時間に含まれると指摘
使っていたパソコンの記録から男性の時間外労働が月150時間を超えることもあり、26日間の連続勤務もあったとし、
心身に極度の負荷がかかっていたと判断。うつ病発症と自殺は業務に起因すると認めた。
代理人弁護士は「業務に必要なら学習でも労働時間に当たるとしたのは意義深い」と話した。
労基署は17年6月、残業が必要な業務量はなく、自分の勉強をしていたとの考えを基に労働時間を算定。
極度の長時間労働はなかったとして労災を認めなかった。
遺族は決定を不服として労働者災害補償保険審査官に審査請求したが棄却されたため、今年1月、審査会に再審査請求していた。〔共同〕

「26連勤が原因」病院職員の自殺、過労死認定
2018年11月9日 読売新聞   

北関東の国立病院の20歳代の男性職員が自殺したのは、月154時間の時間外労働や
26日間連続の勤務などが原因だったとして、国の労働保険審査会が過労死と認定したことが分かった。
勉強に充てていたとみられる時間を労働時間から除外した労働基準監督署の決定を取り消し、
「職場で書物やインターネットによって必要な知識を身につけながら業務をこなしていた」との判断を示した。
審査会の10月19日付の裁決書によると、男性は約400人分の給与支払い関係業務をほぼ1人で担当し、
長時間勤務でうつ病を発症。2016年に車の中で練炭自殺した。
遺族の労災申請に対し、労基署は「極度の長時間労働はなかった」として棄却し、
労働者災害補償保険審査官も17年に審査請求を棄却した。
審査会が過労死を認定したことについて、男性の父親は弁護士を通じ「労基署が過労死を認めてくれなかったことに憤りがある。正確に労働時間を管理するのが重要」とのコメントを発表した。
男性が勤務していた病院は取材に対し、「労災認定の事実を把握しておらず、コメントできない」とした。

病院職員自殺 過労死認める裁決
11月09日 NHK

おととし、関東地方北部の国立病院に勤務し長時間労働の末に自殺した20代の事務職員について、
国の労働保険審査会が、労働基準監督署などの決定を取り消し、過労死と認める裁決をしていたことが分かりました。
これは新潟県内に住む男性の遺族の代理人を務める弁護士が、9日県庁で記者会見して明らかにしたものです。
それによりますと、関東地方北部の国立病院に勤務していた20代の男性事務職員は、
平成27年12月中旬までの1か月間の残業時間が「過労死ライン」と呼ばれる
月80時間を大幅に上回る150時間以上にのぼり、その後うつ病となって自殺したということです。
これについて去年6月、労働基準監督署は「残業時間は『自己研さん』のための時間だった」として労災と認めない決定をし、
不服申し立てを受けた労災補償保険審査官も労災と認めませんでした。
しかし、不服申し立ての再審査を行った国の労働保険審査会が先月19日、
業務用パソコンの利用記録をもとに男性の残業時間を調べた結果、労災と認めたということです。
これについて遺族側は弁護士を通じ、「労災となり救われた思いだ。
病院を含め使用者の側は労働者の健康を守る責務を果たして欲しい」というコメントを出しました。
 一方、病院側はNHKの取材に対し、「裁決内容については承知しておらずコメントは差し控える」と話しています。

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「ゆう活」 霞が関では8割が実施

2018年11月12日 | 情報

民間企業では、「朝型勤務」や「フレックスタイム制」の推進などに積極的に取り組んでいます。
加えて、来年は、「ゆう活」に取り組んでみてはいかがでしょうか。

「ゆう活」 霞が関では8割が実施
2018年11月4日 NHK

働き方改革の一環として、夏に早めに仕事を切り上げる「ゆう活」をめぐって、
政府は、中央省庁でのことしの実施状況を取りまとめ、80%余りの人が取り組んだとしています。
働き方改革の一環として、政府は平成27年から、夏に早めに仕事を切り上げる「ゆう活」の実施を呼びかけていて、
ことし7月と8月の期間中の、東京 霞が関の中央省庁での実施状況を取りまとめました。
それによりますと、中央省庁で働くおよそ4万4000人の職員のうち、
期間中、仕事を早めに終える日を少なくとも1日以上設けるなどして「ゆう活」に取り組んだ人は、
全体のおよそ84%にあたる3万7000人で、4年連続で8割を超えました。
また期間中の第1、第3水曜日の状況を調べたところ、「ゆう活」に取り組んだ職員の76%が定時に退庁していました。
一方、ワークライフバランスの現状について、管理職のおよそ85%が満足していると回答したのに対し、
一般職員はおよそ70%と、管理職と比べ低くなりました。
内閣人事局は「取り組みが着実に定着している。
職員の満足度を高めるために上司の意識改革や業務の効率化を一層進めていきたい」としています。

ゆう活とは(政府広報オンライン)

https://www.gov-online.go.jp/tokusyu/u-katsu/

厚生労働省
夏の生活スタイル変革(ゆう活)について -はじめよう!夕方を楽しく活かす働き方

https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/summer/index.html

 

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パワハラで労災認定

2018年11月12日 | 情報

パワハラで労災認定される事案は、長時間労働に比較して、とても少ないようです。
なぜか。長時間労働は、通常の場合、パソコン等により労働時間管理ができていますにで、
証拠を集めやすいのですが、パワハラは、「やった、やらない・言った、言わない」の世界ですから、
証拠を集めることが難しいのでね。
ただし、周囲の協力があれば別ですが、協力すれば、会社側から何を言われるのか分からない、
何をされるのか分からないという恐怖が先走りますので、なかなか協力することもできないという事情があります。

ですから、記事中にある『上司からは「ばか」「辞めちまえ」などの暴言や、
座っていた椅子を突然蹴飛ばされるといったパワハラもあったという。』は、同僚の証言がないと分からないことです。

小職が把握している、参考になる判例です。
マツダ[うつ病自殺]事件(神戸地裁姫路支部平23.2.28判・労判1026号64頁)

長時間労働やパワハラで精神疾患に…労災認定
2018年11月05日 読売

日立製作所から子会社の「日立プラントサービス」に出向していた20歳代の男性社員が2015年に精神疾患を発症し、
高岡労働基準監督署が今年1月、長時間労働とパワーハラスメントによる労災と認定していたことがわかった。
男性が加盟する「労災ユニオン」(東京)によると、男性は2013年4月に日立製作所に入社し、
15年6月に出向して富山県高岡市の工場で勤務。
同年11月に精神疾患の適応障害を発症して休職し、17年6月に労災申請した。
同労基署は、発症前月の残業時間が145時間に上ったことや、
男性の上司が日常的に「辞めちまえ」などと暴言を繰り返していたことが適応障害の原因と認定したという。
日立製作所は「従業員の健康管理を徹底する」とコメントした。

「辞めちまえ」 日立20代男性の精神疾患を労災認定
産経 2018/11/06

日立製作所の子会社「日立プラントサービス」(東京都豊島区)に出向し富山県の工場で働いていた20代男性が、
上司からのパワーハラスメントや月約145時間の残業で精神疾患を発症したとして、
高岡労働基準監督署(富山県高岡市)が労災認定していたことが6日、分かった。認定は1月16日付。
記者会見した男性によると、男性は平成25年に日立へ入社。
27年から子会社へ出向し、富山の化学プラント建設工事に携わった。
赴任当初から設計や管理業務のほか、コピー5万枚など書類作りで多忙だった。
上司からは「ばか」「辞めちまえ」などの暴言や、座っていた椅子を突然蹴飛ばされるといったパワハラもあったという。
男性は不眠や味覚障害などを生じ自殺を図ったこともあり、28年1月に医師から精神疾患と診断された。
男性は「職場に近づくと動悸(どうき)がした。苦しんで生きている必要はないと感じたこともある。
会社には働き方を改善する努力をしてほしい」と話した。
日立製作所は「労災認定を重く受け止め、引き続き従業員の健康管理を徹底していく」とコメントした。

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