中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

29.30日は、休載します

2020年10月28日 | 情報

29.30日は、出張のため休載します。再開は、11月1日(月)です。
よろしくお願いします。

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不得意な業務を担当

2020年10月28日 | 情報

従来から定着していた、色々な職場、業務を担当して人材育成するという考え方は、
令和の時代には通用しなようですね。


記事中に「その後も不得意な業務を担当」とあります。
いろいろと解釈できるのですが、

実務経験のない部門で管理職になるというのは、相当な負担があるのではと推測します。

小職も経験がありますが、何しろ実務経験がないのですから、相当な負担でした。
数十年前なら何とか熟せていたのでしょうが、
現在のようにIT化が進み、実務能力のレベルアップが進むと、
実務経験のない部門で管理職になるとしても、
プレーイングマネジャーはまず無理と考えなければなりません。

 

「上司や取引先とのトラブルでうつ病」労災認める…東京高裁、NEC課長職の男性自殺で

2020/10/24 読売

 

NECの課長職だった男性(当時49歳)の自殺を三田労働基準監督署(港区)が
労災と認めず、遺族補償を不支給としたのは不当だとして、
男性の妻が国に労災認定を求めた訴訟の控訴審で、東京高裁(川神裕裁判長)は21日、
請求を棄却した1審・東京地裁の判決を取り消し、労災と認める判決を言い渡した。

1、2審判決によると、男性は同社の社会貢献事業部門で課長職を務めていた
2009年1月中旬にうつ病を発症し、同年7月に自宅で自殺した。

原告側は、「上司や取引先とのトラブルが原因で発症し、
その後も不得意な業務を担当させられるなどして病状が悪化した」と主張。
しかし昨年10月の1審判決は「男性に強い心理的な負荷が生じていたとはいえず、
仕事が原因で発症したとは認められない」と判断した。

これに対し、2審判決は、「仕事以外に心理的負荷の存在を認めることはできない」と指摘。
その上で、「上司や取引先とのトラブルで発症し、
担当業務の変更などで症状が悪化しており、労災と認めるべきだ」と結論づけた。

三田労基署は「判決内容を検討し、関係機関と協議しながら今後の対応を決めたい」と
している。

 

 

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度重なるメール

2020年10月27日 | 情報

記事中に「度重なるメール」とあるように、パワハラに比べてセクハラは
顕在化しにくい特徴があります。
企業は、教育の徹底と、相談窓口の準備、さらには働きやすい社内風土の醸成に
注力しなければなりません。
さらに、「親会社から出向していて直属の上司」というのは、
黙っていてもパワハラ状態ですから。

20代女性社員を食事に誘い告白メール、50代職場上司のセクハラを労災認定
2020/10/23 読売

三菱UFJ信託銀行の子会社「三菱UFJ代行ビジネス」(東京)の社員だった
20歳代の女性が、男性上司からの度重なるメールによるセクハラなどで
精神障害になったとして、立川労働基準監督署(東京都立川市)が
労災と認定していたことが22日、わかった。
女性の代理人弁護士は「身体的接触のないセクハラを主として労災が
認められるのは珍しい」と話している。

女性は2016年に入社し、18年2月頃から所属部署の50歳代の上司から度々、
食事に誘われたり、恋愛感情を表すメールを送られたりした。
上司が女性の自宅最寄り駅までついてきて誕生日プレゼントを渡すこともあったという。
残業も重なり、女性は重度のストレスで精神障害を発症。19年2月に労災認定を受けた。

記者会見した代理人によると、女性は退職したが、在職中の相談に対し、
会社は上司ではなく女性を異動させることを提案したという。
こうした会社の不十分な対応も発症の原因として、同社側に謝罪や補償などを求めていく。
同社は「記者会見の内容を把握しておらず、コメントできない」としている。

上司から恋愛感情メール、プレゼント…セクハラ労災認定
2020年10月22日 朝日

三菱UFJ信託銀行の連結子会社、三菱UFJ代行ビジネス(東京)の社員だった女性が、
上司からのセクハラや長時間勤務で適応障害などを患ったとして、
立川労働基準監督署から労災認定された。
代理人の弁護士が22日、記者会見して明らかにした。

代理人によると、女性は入社2年目だった2018年1月以降、
親会社から出向していて直属の上司だった50代男性から、
一方的な恋愛感情を吐露したメールを送られたり、食事に同席させられたりした。
女性は同年4月に人事に相談したが、相談したこと自体を非難された上、
みずからの異動を提案されたという。

その後も、帰宅時に上司が自宅の最寄り駅まで話しかけながらついてきたり、
プレゼントを渡されたり、メールで旅行に誘われたりすることが続いたとしている。

女性は同年7月、重度ストレス反応および適応障害と診断され、出社できなくなり、
昨年末に退社した。女性は18年9月に立川労働基準監督署に労災を申請し、
19年2月と20年2月に労災認定されたという。

代理人の蟹江鬼太郎弁護士によると、今回のように
「身体的接触のないセクハラを主とした労災認定は少ない」という。
女性の相談を受けた会社側の対応も「(セクハラ相談への)措置義務に
反する不適切な措置と言わざるを得ない」としており、
会社側に謝罪や補償、再発防止策を求めていく方針という。
同社は「個人のプライバシーに関わるのでコメントを差し控えたい」としている。

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(第7編)こころの健康確保対策 健康経営優良法人

2020年10月26日 | 情報

健康経営優良法人制度が、浸透しています。

2020年度の認定企業は、健康経営優良法人(大規模法人部門)が、1476社(前年比約180%)、
健康経営優良法人(中小規模法人部門)が、4815社(前年比約10%)となっています。

健康経営優良法人を目指すには、たくさんの課題がありますが、

以下は、メンタルヘルス対策で認定を受けるための具体的項目です。
ですから、健康経営優良法人を目指せば、自動的に御社のメンタルヘルス対策が遂行できるのです。
しかし、健康経営優良法人を目指す
ことがなくても、企業が対応しなければならない課題が、
列挙されています。

 

<メンタルヘルス不調の予防に向けた取り組み>

・メンタルヘルスに関する相談窓口の設置

・ハラスメント相談窓口・内部通報窓口の設置

・ウェアラブルデバイスにより従業員自身のセルフチェック等を支援

 

<メンタルヘルス不調者に対する復職支援>

・メンタルヘルス不調者の復帰に向けた医師の意見を踏まえた支援体制の整備

・リワークプログラム(認知行動療法など)の(社外での)提供

・慣らし運転的に復職を始めるための「短時間勤務」「試し出勤制度」「リハビリ勤務」などの
勤務制度の整備

・疾患の再発、新しい問題の発生など本人の状況把握

・復職後における定期的な面談・助言の実施

・外部EAP(従業員支援プログラム)機関等と連携した支援体制の構築

 

<メンタルヘルス不調者の両立支援>

・メンタルヘルス不調者への定期的な医療従事者(第三者)による面接指導体制の整備

・本人の状況を踏まえた働き方(配置転換・勤務内容・勤務時間・勤務地)の策定

・治療に配慮した「時間単位年次休暇制度」「時差出勤制度」「在宅勤務」などの休暇制度、
勤務制度の整備

・復帰する部門の上司に対する、両立支援への理解を促すための教育

 

こころの健康確保対策シリーズは、今回で終了です。

 

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(第6編)こころの健康確保対策 個人情報保護

2020年10月23日 | 情報

個人情報保護については、意外と周知されていなので、心配です。


 
・事業者は、労働者の健康の確保に必要な範囲内で収集し、目的の範囲内で保管、使用する。
ただし、本人の同意その他正当な事由がある場合を除く(①)。

・事業者は、情報を適正に管理するための措置を講じる(②)。

・厚生労働大臣は、①②のための指針を公表する。

・必要があるときには、大臣が指針に関し指導を行う。

結論;各法令を遵守し、各企業(事業場ではない)ごとに健康情報の取扱い規程を策定することが、

求められています。

 

以下、個人情報保護に関する法令等です。

1.健康診断等に関する秘密の保持
安衛法第105条  第六十五条の二第一項及び第六十六条第一項から第四項までの規定による健康診断、
第六十六条の八第一項、第六十六条の八の二第一項及び第六十六条の八の四第一項の規定による面接指導、
第六十六条の十第一項の規定による検査又は同条第三項の規定による面接指導の実施の事務に従事した者は、
その実施に関して知り得た労働者の秘密を漏らしてはならない。

2.雇用管理に関する個人情報のうち健康情報を取り扱うに当たっての留意事項
(H16.1.0.29基発1029009号、改正通達 H27.11.30基1130第2号)

https://www.jaish.gr.jp/anzen/hor/hombun/hor1-45/hor1-45-35-1-0.htm

 

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12600000-Seisakutoukatsukan/0000167762.pdf

 

ポイント
①情報の収集は最小限で本人の同意を
②情報は集約・整理を
③情報の漏洩防止策を
④情報の取り扱いルールを策定し周知を
⑤情報の第3者提供は本人の同意を
⑥収集した情報を労働者の不利益になるように取り扱わないよう 等

註:各種指針等にも情報の取り扱いに関する規程があるので留意

 

3.心身の状態に関する情報の取扱い

104条 事業者は、この法律又はこれに基づく命令の規定による措置の実施に関し、
労働者の心身の状態に関する情報を収集し、保管し、
又は使用するに当たつては、労働者の健康の確保に必要な範囲内で
労働者の心身の状態に関する情報を収集し、並びに当該収集の目的の範囲内でこれを保管し、
及び使用しなければならない。
ただし、本人の同意がある場合その他正当な事由がある場合は、この限りでない。

2)事業者は、労働者の心身の状態に関する情報を適正に管理するために
必要な措置を講じなければならない。

3)厚生労働大臣は、前二項の規定により事業者が講ずべき措置の適切かつ有効な実施を図るため
必要な指針を公表するものとする。

4)厚生労働大臣は、前項の指針を公表した場合において必要があると認めるときは、
事業者又はその団体に対し、当該指針に関し必要な指導等を行うことができる。

 

(解説)「その他正当な事由」がある場合とは

メンタル不調により自殺企図の兆候が見られる場合など、生命、身体又は財産の保護のために
必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるときなど、
以下のアからエまでの場合が含まれる。
ア 法令に基づく場合

イ 人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、
  本人の同意を得ることが困難であるとき

ウ 公衆衛生の向上、児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合であって、

  本人の同意を得ることが困難であるとき

エ 国の機関若しくは地方公共団体又はその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに

  対して協力する必要がある場合であって、本人の同意を得ることにより当該事務の遂行に

  支障を及ぼすおそれがあるとき

 

(参照)働き方改革関連法解説(労働安全衛生法 産業医産業保健機能の強化関係)厚労省

https://www.mhlw.go.jp/content/000497962.pdf

 

4.指針の公表

安衛則第98条の3 第二十四条の規定は、法第百四条第三項の規定による指針の公表について準用する。

 

5.指針

「労働者の心身の状態の情報の適正な取扱いのために事業者が講ずべき措置に関する指針」

2019.3.28

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_01170.html

 

https://www.jaish.gr.jp/anzen/hor/hombun/hor1-20/hor1-20-19-1-0.htm

 

https://www.mhlw.go.jp/content/11303000/000343667.pdf

 

本指針は、心身の状態の情報の取扱いに関する原則を明らかにしつつ、
事業者が策定すべき取扱規程の内容、策定の方法、運用等について定めたものである。

 

6.取扱規程

「事業場における労働者の健康情報の取扱い規程を策定するための手引き

https://www.mhlw.go.jp/content/000497966.pdf

 

本手引きを参考に、各企業(事業場ではない)ごとに健康情報の取扱い規程を策定する。
註;当手引きが、殆ど周知されていない現状があります。
しかし、各企業には、罰則はないものの、策定する義務がありますので、ご注意ください。

 

 

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