中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

ストレスに強い人、ストレスに弱い人(続編)

2021年08月31日 | 情報

前回で、「5つのヒント」 出典;アメリカ心理学会(略称APA)の提言を紹介しました。
再掲すると
1)ストレスの原因を避ける  20分でよいので、自分のための時間を取る
2)運動  ジョギングなどの有酸素運動を1回20~30分、週3回程度行なう
3)笑う 声を出して笑うことや笑顔は、ストレスの一部を緩和し、状況改善に役立つ
4)サポートを得る 信頼できる専門家に相談して、自分の気持ちに共感してもらう
5)マインドフルネス 心身をリラックスさせるとともに、新しい視点を手に入れたり、
            自分自身への気づきや慈悲の気持ちを得られるようになる

ここでは、(3)「笑う」を、もう少し解説です。

「常に笑顔で過ごす」の効用です。
〇ポジティブな感情が働き、精神的に安定しやすくなる好循環。
〇脳がリラックスしたり「楽しい」と感じたりする状態が長くなり、気持ちも落ちにくくなります。
〇口角を上げると顔全体も一緒に持ち上がり、
キュッと引き締まったような印象を与えるのに有効です。
「表情筋」が鍛えられるため、普段からも口角の上げ下げがラクにできます。
〇意識して笑顔を作らなくても常に微笑んでいるような表情でいられると、
周囲からの評価が変わっていくはずです。

事業場内に、「笑う」習慣、雰囲気を醸成しましょう。
それには、トップ自らの率先、または、暗い性格で無理ならば、
陽気なリーダーの育成、重用でしょうか。
トライ&エラーが、大切です。

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ストレスに強い人、ストレスに弱い人

2021年08月30日 | 情報

ストレスに強い人、ストレスに弱い人がいます。

「ストレス-脆弱性理論」という考え方があります。
環境からくるストレスと個体側の反応性、脆弱性との関係で、
精神的破綻が生じるかどうかが決まるという考え方です。
やさしく言うと、ストレスが非常に強ければ、個体側の脆弱性が小さくても精神障害が起こるし、
逆に脆弱性が大きければ、ストレスが小さくても破綻が生ずる、というものです。
これは、精神医学、厚生労働省の行政の基本的考え方になっています。

ということは、業務上の理由でうつ病等の精神疾患をり患しても、
精神障害の労災認定基準をクリアしていなければ、労災認定されないのです。
ですから、わたしたちは、ストレスに負けない、または、
ストレスから逃れる能力・知識を会得しなければならないということです。
ストレスに負けない、または、ストレスから逃れる能力・知識を、
レジリエンス(resilience)といいます。
因みに、レジリエンス(resilience)とは、物理学の用語で、 外力による歪みを跳ね返す力と
解説されています。

前置きが長くなりました。
○まず、アメリカ心理学会(略称APA)が2014年に提唱した、
「レジリエンスを築く10の方法」を紹介します。

1.親戚や友人らと良好な関係を維持する。
2.危機やストレスに満ちた出来事でも、それを耐え難い問題として見ないようにする。
3.変えられない状況を受容する。
4.現実的な目標を立て、それに向かって進む。
5.不利な状況であっても、決断し行動する。
6.損失を出した闘いの後には、自己発見の機会を探す。
7.自信を深める。
8.長期的な視点を保ち、より広範な状況でストレスの多い出来事を検討する。
9.希望的な見通しを維持し、良いことを期待し、希望を視覚化する。
10.心と体をケアし、定期的に運動し、己のニーズと気持ちに注意を払う。

○さらに、アメリカ心理学会(略称APA)の提言です。

5つのヒント
1)ストレスの原因を避ける
20分でよいので、自分のための時間を取る
2)運動
ジョギングなどの有酸素運動を1回20~30分、週3回程度行なう
3)笑う
声を出して笑うことや笑顔は、ストレスの一部を緩和し、状況改善に役立つ
4)サポートを得る
信頼できる専門家に相談して、自分の気持ちに共感してもらう
なお、家族、友達は、除かれます。
5)マインドフルネス
心身をリラックスさせるとともに、新しい視点を手に入れたり、
自分自身への気づきや慈悲の気持ちを得られるようになる

○加えて、新型コロナ問題を受けて、米心理学会は学術的な知見をもとにした対処法を紹介しています。

新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、長期間、人との接触を控えた生活を強いられる中で、
精神的な健康を保つにはどうすべきか。
もしも「距離を保つ」ことを求められたなら:あなた自身の安全のために
「この感染症に関する信頼できる情報を得る」
「日々のルーティンを作って実行する」
「電話やSNSなどを活用したバーチャルなつながりを保つ」
「自分の力では変えることのできない状況を受け入れるため『感謝の日記』をつける」など。

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産業医にも法律知識を

2021年08月27日 | 情報

御社の産業医にもご紹介ください。
因みに、拙著『中小企業の「うつ病う対策」』にも、許可をいただいて
三柴先生の論文から2か所を引用させていただいています。
三柴先生は、メンタルヘルス問題と法令に関しては、国内第一人者でしょう。

産業医にも法律知識を  近畿大学教授 三柴丈典氏
2021年8月23日 日経

産業医には医療だけでなく法律の知識も強く求められるようになってきた」と近畿大学法学部の三柴丈典教授は話す。かつてはアスベスト被害など業務上の健康問題を中心に扱ってきた産業医だが近年では、従業員のメンタルヘルスのケアや復職時期の判断など守備範囲が広がる。対応に不満を持つ従業員から訴えられるリスクも高まっている。2020年に「日本産業保健法学会」を設立し、法律の観点から産業医を支える。
新型コロナワクチンの職場接種でも産業医が担い手となるため、このほどワクチン接種に関する法的問題についてのオンライン相談会を開いた。「日本ではワクチン接種が義務化されておらず、接種をためらう人もいる。相手に納得してもらううえで法律の理解は重要だ」と話す。

 

【日本産業保健法学会】第1回学術大会のご案内

 https://jaohl2021.info/

日本産業保健法学会は、法の知見を基礎としつつ関係分野の知恵を総合することで、産業保健の現場で日々生起する不幸な事案を未然に防ぎ、また、起きてしまった事案を建設的に解決するための方策を探っていこうとするもので、昨年11月1日に設立いたしました。
第一回の大会が下記のとおり開催され、全国社会保険労務士会連合会も後援していますので、参加をぜひご検討ください。

■日  時:2021年9月23日(祝・木)~24日(金)

■開催方式:ライブ配信(オンデマンド配信もあり)

■テ ー マ:法知識を踏まえた問題解決を考える

■大 会 長:三柴丈典(近畿大学法学部教授)
副大会長:香山不二雄(自治医科大学名誉教授)

■後  援:厚生労働省、日本医師会、全国社会保険労務士会連合会 ほか

■参 加 費:
第一次参加登録(~ 8月31日):会員7,000円、非会員10,000円、学生2,000円
第二次参加登録(~10月30日):会員9,000円、非会員12,000円、学生3,000円

■内  容:
1)講 演 
産業保健法学の狙い(三柴丈典)、組織における制度と文化(村本由紀子)、労災補償の行政審査と司法審査(中嶋士元也)、労働衛生行政の動向(高倉俊二)、諸外国のハラスメント規制とその後(内藤忍)ほか
2)シンポジウム
新型コロナウイルス感染症の労務問題と法、化学物質管理の法政策~アスベスト訴訟・胆管がん問題を踏まえて~、テレワークの健康管理政策と法、産業医制度の今とこれから ほか
3)ワークショップ 
社会保険労務士と産業保健スタッフの連携のあり方、遠隔産業保健~それって法的に大丈夫?~、発注者・委託者の責任を考える ほか
4)その他
模擬裁判、関係学問の最前線、連携学会との共同シンポ、事例検討、一般演題 など

■参加申込:ホームページ(右記)よりお申込みください。https://jaohl2021.info/sanka/

■問合せ先:日本産業保健法学会事務局
〒162-0833 東京都新宿区箪笥町43 新神楽坂ビル2階
TEL:03-5946-8844/FAX:03-5229-6889
E-Mail:info@jaohl.jp

 

 

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「テレワークに課題」9割(続編)

2021年08月26日 | 情報

テレワーク実施の検討、及び既に実施中のテレワーク制度の問題点解決には、
「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン(厚労省)」が参考になります。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/shigoto/guideline.html

以下、ガイドラインの内容です。
〇テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン[PDF形式:196KB]

〇ガイドラインガイドライン概要[PDF形式:638KB]

<リーフレット>
(事業主、企業の労務担当者の方へ)テレワークガイドラインを改定しました[PDF形式:2.6MB]
(労働者の方へ)テレワークガイドラインを改定しました[PDF形式:2.2MB]

<別紙について、編集可能ファイルが必要な方はこちら>
(別紙1)テレワークを行う労働者の安全衛生を確保するためのチェックリスト【事業者用】
 [Excel形式:22KB]

(別紙2)自宅等においてテレワークを行う際の作業環境を確認するためのチェックリスト
【労働者用】[Excel形式:17KB]

テレワークの導入に際しての留意点(ガイドラインより抜粋)
・テレワークの推進は、労使双方にとってプラスなものとなるよう、
働き方改革の推進の観点にも配意して行うことが有益です。
使用者が適切に労務管理を行い、労働者が安心して働くことのできる良質なテレワークとすることが
重要です。
・テレワークを推進する中で、従来の業務遂行の方法や労務管理の在り方等について
改めて見直しを行うことも、生産性の向上に資するものであり、
テレワークを実施する労働者だけでなく、企業にとってもメリットのあるものです。
・テレワークを円滑かつ適切に、制度として導入し、実施するに当たっては、
あらかじめ労使で十分に話し合い、ルールを定めておくことが重要です。
例えば・・導入目的、対象業務、対象となり得る労働者の範囲、実施場所、
テレワーク可能日(労働者の希望、当番制、頻度等)、申請等の手続、費用負担、
労働時間管理の方法や中抜け時間の取り扱い、通常または緊急時の連絡方法等

 

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「テレワークに課題」9割

2021年08月25日 | 情報

想定していた状況とほぼ一致したアンケート結果です。納得できる内容でした。
上位の課題も、納得できます。
「社員同士のコミュニケーション不足」(91社)、
「機器や通信環境の整備」(58社)、
「できる仕事が限られている」(54社)

絶対的に優れた働き方は、現状ないのですから、「テレワーク」絶対視ではなく、
それぞれの企業の業容、人員構成、さらには歴史等も配慮して、経営層は運用してほしいと考えます。
しかし、今回の調査対象が、大手企業のみですから、中小規模の企業の場合はどうなのでしょか?
従業員のメンタルへルスに大きく関連する問題ですので、
経営層には、慎重に検討していただきたいと考えます。


「テレワークに課題」9割・コロナ後に「縮小」4割…主要121社調査
2021/08/22 読売

国内の主要企業を対象とした読売新聞のアンケート調査で、
新型コロナウイルスの感染拡大で普及が進むテレワークに「課題を感じる」と回答した企業が
約9割にのぼった。約4割がコロナ収束後に「縮小する」とみていた。
菅首相は経団連などにテレワークによる「出勤者7割減」への協力を要請しているが、
実現へのハードルは高そうだ。
調査は各業種を代表する主要企業121社を対象に6~7月に実施。117社から回答があった。

テレワークの実施状況は、104社が「1回目の緊急事態宣言(昨年4~5月)の際に拡大、
もしくは導入した」と回答。
今年6月1日時点の実施状況を、1回目の宣言時と比べると「やや少ない」が63社だった。
実施して課題だと感じることがあったかを尋ねたところ、「あった」が49社、
「どちらかと言えば、あった」が57社で、合わせて回答企業の約9割にのぼった。

具体的な課題を複数回答で聞くと、「社員同士のコミュニケーション不足」(91社)、
「機器や通信環境の整備」(58社)、「できる仕事が限られている」(54社)が上位を占めた。
新型コロナの収束後の実施見通しは「今よりもやや縮小する」が43社、
「大幅に縮小する」が3社だった。

テレワークを巡っては、新型コロナ感染者の急増を受け、菅首相が18日と19日に経団連、
経済同友会、日本商工会議所のトップと相次いで会談。
活用による「出勤者7割減」への協力を要請している。

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