中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

障害者優先調達推進法、4月より施行

2014年01月31日 | 情報
企業は障害者雇用について、政策・現状を理解し、障害者の雇用に真剣に取り組まないと、
まずいことになりますよ、と国から警告されているようです。
国や地方公共団体、独立行政法人などの公機関を、取引の対象としている企業が、
当面、影響を受けることになりますが、将来的には、私企業間の商取引においても、
障害者雇用に熱心でない企業との取引を控えるといったことになるかもしれません。

この法律(国等による障害者就労施設等からの物品等の調達の推進等に関する法律)は、
障害者就労施設で就労する障害者や在宅で就業する障害者の経済面の自立を進めるため、
国や地方公共団体、独立行政法人などの公機関が、物品やサービスを調達する際、
障害者就労施設等から優先的・積極的に購入することを推進するために制定されました。

【法律の趣旨】
障害のある人が自立した生活を送るためには、就労によって経済的な基盤を確立することが重要です。
このためには、障害者雇用を支援するための仕組みを整えるとともに、障害者が就労する施設等の仕事を確保し、
その経営基盤を強化することも必要です。
このような観点から、これまで障害者就労施設等へ仕事の発注に関し、
民間企業をはじめ国や地方公共団体等において様々な取組が行われてきました。
「国等による障害者就労施設等からの物品等の調達の推進等に関する法律(障害者優先調達推進法)」は、
国や地方公共団体等が率先して障害者就労施設等からの物品等の調達を推進するよう、必要な措置を講じることを定めたものです。
同法は、平成24年6月20日に成立、同月27日に公布され、平成25年4月1日から施行されます。

【法律のポイント】
国、独立行政法人及び地方公共団体等は、物品等の調達に当たって、
優先的に障害者就労施設等から物品等を調達するよう努めるとともに、以下の取組を行うこととされています。

国は、障害者就労施設等からの物品等の基本方針を定める。
各省各庁の長及び独立行政法人等の長は、毎年度、国の基本方針に即して、
障害者就労施設等からの物品等の調達方針を作成するとともに、当該年度の終了後、実績を公表する。
地方公共団体(都道府県、市町村)及び地方独立行政法人は、毎年度、障害者就労施設等からの物品等の調達方針を作成するとともに、
当該年度の終了後、調達の実績を公表する。
国及び独立行政法人等は、公契約について、競争参加資格を定めるに当たって、
法定障害者雇用率を満たしている事業者に配慮するなど、障害者の就業を促進するために必要な措置を講ずるよう努める。
また、地方公共団体及び地方独立行政法人は、国及び独立行政法人等の措置に準じて必要な措置を講ずるよう努める。

・対象となる障害者就労施設等業務等
国や地方公共団体、独立行政法人等は、以下の施設等から優先的に物品・サービスを購入する努力義務が課されます。

・障害者総合支援法に基づく事業所・施設等
就労移行支援事業所
就労継続支援事業所(A型・B型)
生活介護事業所
障害者支援施設 (就労移行支援、就労継続支援、生活介護を行うものに限る)
地域活動支援センター
小規模作業所

・障害者を多数雇用している企業
障害者雇用促進法の特例子会社
重度障害者多数雇用事業所(※)
(※)重度障害者多数雇用事業所の要件 ①障害者の雇用者数が5人以上 ②障害者の割合が従業員の20%以上
③雇用障害者に占める重度身体障害者、知的障害者及び精神障害者の 割合が30%以上

・在宅就業障害者等
自宅等において物品の製造、役務の提供等の業務を自ら行う障害者(在宅就業障害者)
在宅就業障害者に対する援助の業務等を 行う団体(在宅就業支援団体)

http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/yuusenchoutatsu/dl/pamphlet.pdf#search='%E9%9A%9C%E5%AE%B3%E8%80%85%E5%84%AA%E5%85%88%E8%AA%BF%E9%81%94%E6%8E%A8%E9%80%B2%E6%B3%95'
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

健康保険法改正に伴うQ&A

2014年01月30日 | 情報
健康保険法が改正(平成25年5月31日公布)され、その改正に伴うQ&A(平成25年8月14日)が公表されましが、
当ブログと関係する事項を以下に紹介します。今回は、少し古くなった情報で申し訳ありませんが、確認してください。

Q&Aのポイント
被保険者数「5人未満」の事業所の法人役員については、従来から業務に起因する傷病についても健保給付の対象とされていました。
しかし、従来は業務に起因した傷病に対し、傷病手当金を支給しないこととされていましたが、
今回の改正によりこの取扱いが変更され、「傷病手当金の支給対象とされる」こととなりました。
なお、役員の業務内容が当該法人における従業員が従事する業務と同一であると認められない場合には
健康保険の給付対象となりません。

因みに、中小事業主等については、労災保険に特別加入することによって、業務上に起因する負傷等に対し、
労災保険の給付を受けられる場合があります(この扱いは従来どおり)。

健康保険法の第1 条(目的規定)等の改正に関するQ&Aについて(平成25年8月14日)

http://www.office-sato.jp/_src/sc4888/2013.08.14_kenpo1jou_gyoumujou.pdf

要旨
【質問3】
健康保険法第53条の2において、「法人の役員としての業務」のうち、
「被保険者の数が5人未満である適用事業所に使用される法人の役員としての業務で厚生労働省令で定めるもの」が除外されているが、
その趣旨はどのようなものか。また「厚生労働省令で定めるもの」とは具体的に何か。
(回答)
(趣旨について)
○ 平成15 年7月1日以降、厚生労働省保険局通知(平成15 年7月1日保発0701001 号・庁発0701001 号等)において、
「被保険者が5人未満である適用事業所に所属する法人の代表者等であって、
一般の従業員と著しく異ならないような労務に従事している者」については、
その者の業務遂行の過程において業務に起因して生じた傷病に関しても、
健康保険の保険給付の対象(傷病手当金を除く)としてきたところである。
今回の改正においても、その趣旨を踏まえ、被保険者が5人未満である適用事業所に使用される法人の役員については、
その事業の実態を踏まえ、傷病手当金を含めて健康保険の保険給付の対象としたものである。
(厚生労働省令で定めるものについて)
○ 厚生労働省令では、健康保険の給付対象となる業務を「当該法人における従業員(同条に規定する法人の役員以外の者をいう。)が
従事する業務と同一であると認められるもの」(厚生労働省令第52条の2)としている。
したがって、役員の業務内容が当該法人における従業員が従事する業務と同一であると認められない場合には
健康保険の給付対象とならない。

【質問4】
「被保険者の数が5人未満である適用事業所に使用される法人の役員」についての取扱いの法制化に伴い、
これまでの取扱いを示してきた「法人の代表者等に対する健康保険の保険給付について」
(平成15年7月1日保発0701001 号・庁発0701001 号等※平成16年3月30日保発0330001 号等により一部改正)はどうなるのか。
(回答)
○ 上記通知については廃止される。
よって、被保険者が5人未満である適用事業所に使用される法人の役員が業務遂行の過程において業務に起因して生じた傷病について、
傷病手当金は支給しないこととしていたが、この取いも廃止され、傷病手当金も保険給付の対象となる。

【質問5】
本改正はいつから適用されるのか。
(回答)
○ 平成25年10月1日以降に発生した事故に起因する業務上の事由による負傷等について適用される。

(参考)健康保険法の改正内容

改正前 健保法1条

この法律は、労働者の業務外の事由による疾病、負傷若しくは死亡又は出産及びその被扶養者の疾病、負傷、死亡又は
出産に関して保険給付を行い、もって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。

改正後 健保法1条

この法律は、労働者又はその被扶養者の業務災害(労働者災害補償保険法第7条第1項第1号に規定する業務災害をいう。)以外の
疾病、負傷【若しくは死亡】又は出産に関して保険給付を行い、もって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。

(新設条文)第53条の2 法人の役員である被保険者又はその被扶養者に係る保険給付の特例

被保険者又はその被扶養者が法人の役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいい、
相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、
法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む。
以下この条において同じ。)であるときは、当該被保険者又はその被扶養者のその法人の役員としての業務
(被保険者の数が5人未満である適用事業所に使用される法人の役員としての業務であって厚生労働省令で定めるものを除く。)に
起因する疾病、負傷又は死亡に関して保険給付は、行わない。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ストレス診断義務化

2014年01月29日 | 情報
1月6日の当ブログに紹介済みですが、読売新聞の1月24日朝刊に記事が掲載されましたので、改めて紹介します。
なお、メンタルヘルス対策の情報については、いち早く紹介する当ブログを参照することをお勧めします。宣伝です。
また、裏情報もいろいろと入手していますが、ブログには掲載できませんでご了承ください。

ストレス過多なら勤務時間短縮も…診断義務づけ
読売新聞 1月23日

厚生労働省は23日、経営者に対し、全従業員への年1回のストレス診断を原則として義務づけると発表した。
仕事による心理的負担が大き過ぎると医師が判断した場合は、勤務時間短縮など負担軽減の検討も求める。
通常国会に労働安全衛生法改正案を提出し、2016年春頃の施行を目指す。
ストレス診断は現在、同法の指針で経営者に実施を呼びかけるだけにとどまっているが、法に基づく義務に強化する。
厚労省案では、まず医師か保健師が質問票を使い、「ひどい疲れを感じるか」
「不安感や憂鬱さはあるか」など心の健康状態をチェックする。
従業員が希望した場合は医師による面談指導が受けられるようにし、
経営者には、医師の意見に基づいて残業の制限や配置転換、深夜勤務の削減などの検討を求める。
国が職場のストレス対策を強化する背景には、業務に伴ううつ病発症など、仕事に関係する心の病が多くなっている現状がる。
厚労省によると、12年度に精神疾患で労災認定された人は、前年度の1.5倍近い475人に上り、3年連続で過去最多を更新している。

「原則禁煙」見送り
一方、厚労省は、労働安全衛生法改正を巡って懸案となっていた職場での受動喫煙対策について、
当初、目指していた原則禁煙の義務化を見送り、努力義務にとどめることも決めた。与党などの反対が根強いことを考慮した。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

みなし労働、添乗員への適用認めず

2014年01月28日 | 情報
旅行会社の添乗員は、大変な仕事ですよね。
旅行中のツーリストが1日中、気楽に過ごせるのは、添乗員の方がフォローしているお蔭ですからね。
単純に「みなし労働」であると云われても、疑問符がつく事案と考えていました。
最高裁判決が出て、ようやく解決したようです。

みなし労働、添乗員への適用認めず 最高裁が上告棄却
2014年1月24日 朝日新聞

旅行の添乗員に、実際の労働時間に関わらず決まった額の賃金しか支払わない「みなし労働時間制」が
適用できるかどうかが争われた訴訟で、最高裁第二小法廷(小貫芳信裁判長)は24日、会社側の上告を棄却する判決を言い渡した。
みなし労働の適用を認めなかった控訴審判決が確定した。
上告していたのは、阪急交通社子会社で旅行添乗員派遣業の阪急トラベルサポート(本社・大阪市)。
争点となっていたのは、みなし労働時間制の一つ、「事業場外労働」だ。
働き手が会社の外で働き、会社側が具体的指示ができず、労働時間の把握が難しい場合、
あらかじめ決められた時間で働いたとみなして賃金を支払える。
判決は、旅行ツアーの予定が事前に決められていることを指摘。添乗員は携帯電話の電源を入れておくよう指示され、
ツアー終了後に報告書の提出が義務づけられていたとして、労働時間の把握は難しいという会社側の主張を退けた。

添乗員のみなし労働認めず…最高裁が初判断
読売新聞2014年1月24日

旅行会社のツアー添乗員にみなし労働時間制を適用するのは不当だとして、
阪急交通社の子会社の女性派遣添乗員(49)が割増賃金の支払いを求めた訴訟で、
最高裁第2小法廷(小貫芳信裁判長)は24日、「勤務時間の算定が難しいとは言えず、
みなし制は適用できない」として、子会社の上告を棄却する判決を言い渡した。
約32万円の支払いを子会社に命じた2審・東京高裁判決が確定した。
みなし労働時間制の適用について、最高裁が判断を示すのは初めて。
同じような賃金体系を採用する他の旅行会社にも影響を与えそうだ。
女性は、ツアーごとに子会社の「阪急トラベルサポート」(大阪)に雇用され、阪急交通社に添乗員として派遣されている。
判決は、添乗員が事前に阪急側から手渡される旅行日程に従って業務を行い、ツアー後は詳細な添乗日報の提出を求められている点を重視。「添乗員の勤務状況の把握が難しいとは言えない」と判断し、みなし制の適用を認めなかった。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

国民年金法の改正

2014年01月27日 | 情報
国民年金法は、たびたび改正されていますが、平成26年4月1日施行のうち、当ブログに関連する
障害年金に関する改正等について、以下に紹介します。
ただし、3項以下は、直接的に関係する改正ではありません。

1.障害年金の額改定請求に係る待期期間が緩和されます

障害基礎年金の受給者の障害の程度が増進した場合の額改定請求に1年の待期期間が設けられている
(障害基礎年金の受給権を取得した日又は厚生労働大臣の診査を受けた日から起算して1年を経過した日後でなければ、
当該障害基礎年金の年金額の改定を請求することができない)ことについて、
「障害基礎年金の受給権者の障害の程度が増進したことが明らかである場合として厚生労働省令で定める場合」には、
当該待期期間を要しないことととする(法34条3項)。
障害厚生年金についても同様(厚年法52条3項)。

因みに、「1年の待期期間」は、「改定請求の乱用防止」の目的で設けられているので、
「障害の程度が明らかに増進したことが確認できる傷病であって、改定請求が乱用されるおそれがないもの」を
その対象としないこととしたものです。
また、旧障害年金も当該改正の対象になります(改正法附7条、26条、27条)。

2.保険料免除期間に係る保険料の取り扱いが改善されます。
2.1法定免除に該当した場合の取扱い

法定免除に該当した場合(障害基礎年金の受給権者となったとき等)の取扱いを次のように改善する(法89条)。
<現在(改正前)の扱い>
法定免除期間中は、保険料を納付又は前納することができず、仮に納付を希望する場合には、
追納によって行う方法しかない。
<(改正後)の扱い>
将来の年金権確保のために特に希望する者については、法定免除期間中であってもその後に納付すること
又は前納を行うことを可能とする。

(解説)障害基礎年金の受給権者となった(障害基礎年金を受給することができるようになった=
老齢基礎年金を受給する必要がなくなった)場合でも、保険料納付を希望する人がいるのは、
その後、障害の程度か軽快したときは障害基礎年金が支給停止され、老齢基礎年金を受給せざるを得なくなる可能性があるためです。

2.2遡及して法定免除に該当した場合の取扱いが改善されます。

遡及して法定免除に該当した場合の取扱いを次のように改善する(法89条)。
<現在(改正前)の扱い>
法定免除となった期間の分として免除該当後に納付されていた保険料は必ず還付される。
<(改正後)の扱い>
本人が特に希望する場合には、保険料が納付された保険料免除期間を保険料納付期間として取り扱えるようにする。

(解説)当該改正も、前記2.1の解説と同様の理由から行われます。

2.3前納した後に免除に該当した場合の取扱いが改善されます。

保険料を前納した後に該当するようになった場合の取扱いを次のように改善する(法89条、法90条1項、法90条の2,1項~3項、
法90条の3,1項、16法附19条2項)。
<現在(改正前)の扱い>
免除に該当した日前に納付された前納保険料のうち免除に該当した月以後の各月の保険料は還付されない。
<(改正後)の扱い>
上記の保険料についても還付を可能とする。

(解説)上記を「保険料を前納した後に後に障害基礎年金の受給権者となった場合」で例示すると、
「免除に該当した日前に納付された前納保険料のうち免除に該当した月以後の各月の保険料」とは、
「障害基礎年金の受給権が発生する前に前納した保険料のうち当該受給権が発生した月の前月以後の各月の保険料」となり
(障害基礎年金の受給権が発生した月の前月から法定免除となるため)、当該前月以後の各月の保険料の還付を
受けることができるようになります。

3.保険料免除に係る遡及期間の見直し
国民年金保険料免除の遡及期間について、現行では、直近の7月(学生納付特例の場合は4月)までの
遡りとなっているが、保険料の納付が可能である過去2年分まで、遡及して免除を行うことができるようにする
(法90条1項、法90条の2,1項~3項、法90条の3,1項)。

4.付加保険料の納付期間の延長
付加保険料については、納期限日(翌月末日)までに保険料を納付しなかった場合は、
加入を辞退したものとみなされ、その後は納付することができないが、
これを国民年金保険料と同様に、過去2年分まで納付できるようにする(法87条の2,4項)。

5.保険料の2年前納制度(口座振替)の導入
1.から4.の法改正事項のほか、政省令改正(告示)により、現行最大1年間となっている保険料前納について、
割引額の大きな2年前納を、平成26年4月末の口座振替分から導入する。

(解説)2年前納は、口座振替のみの制度です。現金による2年前納はできません。

























コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする