中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

大人の発達障害(4)

2015年10月30日 | 情報

当ブログでは、あえて「うつ病」対策としています。なぜか?
実は、ご存知の通り、精神疾患といってもさまざまなのですね。
小生、精神疾患については全くの素人ですから、DSMⅣ(現在はDSMⅤ)と首っ引きで、にわか知識を詰め込んだのですが、
その種類というか、分類の多さというか、まさに迷宮の世界です。
ですから、最も り患者が多い、「うつ病」に絞って、対策を考え、紹介してきました。
対象を絞り込まないと、的確な対策を示すことなど できないではないですか。
因みに、多くの識者、専門家がメンタルヘルス対策と称して、多くの講演や文献が世に溢れていますが、
注意深く観察していると、ほぼ100%が「うつ病」について語っているのですね。
これでは、タイトルと実態が合わないではないですか。そのことに気が付いたのです。
ただし、うつ病対策がしっかりと構築できれば、他の精神疾患にも応用できるのですね。

大人の発達障害(4)
患者の配偶者たちも苦悩

発達障害を抱える患者の配偶者は、度重なる心ない言動やこだわりの強さなどにやるせなさを感じて、
心身の不調を訴える人も少なくない。
昭和大烏山病院(東京都世田谷区)の一室に今月上旬、発達障害の夫を持つ女性7人が集まった。
同病院の患者の配偶者を対象に、4年前から定期的に開いている「パートナーの会」だ。
「会話がかみ合わず続かない」「一緒にいても心が凍りつくだけで別居したい」「せめて今の状態から抜け出したい」
意思疎通がはかれないつらさや、うつ病や自律神経障害などに悩まされていた経験など、妻たちは切実な苦悩を打ち明けた。
この会が始まった時から参加している埼玉県の女性(65)は「365日のうち300日は怒っている状態。
夫の足音を聞いただけでも怖く、絶えず委縮していました」と、夫(69)と暮らす40年を振り返る。
お見合いで結婚した夫。当時は「一方的にしゃべるちょっと変わった人」という印象だったが、
一緒に暮らし始めると驚きに連続だった。
玄関先に並ぶいくつもの靴や、浴室に娘たちのシャンプーが複数あるのを目にしても烈火のごとく憤った。
小学生だった長女が、100点満点の試験で98点の答案を見せると、「なぜ間違えた!」と叱責した。
女性は「怒りのきっかけが何か分からず、まるで地雷原を歩いているような思いでした」と語る。
定年退職を間近にした5年前に、夫を連れて同病院を受診し、アスペルガー症候群と診断された。
女性は、アスペルガー症候群の特徴を学びながら、夫との摩擦を避けるために自宅でもほどよく距離を置き、
心を穏やかに接するよう心がけ、自分なりに折り合いがつけられるようになった。
会で同じ苦悩を分かち合える人たちとの出会い、気持ちが楽になった。
3人の子供は独立し、今は夫婦2人で暮らしている。
夫は2年余り前から、所用で外出する時以外は、自宅で様々な番組を朝から晩までDVDに録画するのが日課になった。
最近は、激しい怒りの感情を見せる機会は年に数回という。
女性は「夫は人と接することがストレスだったのではないか。
これからも、夫の病気に向き合い、見守っていきたい」と思う。
会を主宰する昭和大発達障害医療研究所所長の加藤進昌(のぶまさ)さんは
「同じ立場の配偶者が思いを語り合う場は大切で、これからも続けていきたい」と話す。

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大人の発達障害(3)

2015年10月29日 | 情報

発達障害といっても、実にさまざまなのですね。
もっとも有名なのは、アスペルガー症候群ですが、当記事に紹介されているようなADHDも、多いようですね。
うつ病もそうですが、自覚症状がないのが不幸ですね、専門家に指摘されるまで自分は全く意識していないのです。
これ以上は、専門領域ですから踏み込まないようにします。

 大人の発達障害(3)
苦手な部分に気づき補う

埼玉県所沢市の社会福祉士の芹沢忠行さん(44)は小学生時代、
持ち帰るのを忘れたテストやプリントを学校の机にため込みがちで、提出物の期限を守るのが苦手だった。
いじめの標的にもなっていた。福祉系の専門学校時代には、話が勢いづくと止まらず、クラスでも浮きがちだった。
「幼い頃から『変な子』と思われていましたが、何とか生きてきました」と振り返る。
芹沢さんは2004年春、5年間働いていた知的障害者の福祉作業所を人員整理で退職した。
専門学校を卒業してから3か所目の職場だったが、やりがいを感じており、社会福祉士の資格も取得したばかりだった。
福祉関係のアルバイトを始めたが、出勤のために起床するのがつらくなり、東京都内の精神科クリニックを受診。
対人不安障害と診断され、抗うつ薬の治療を始めた。その後も、一つの職場で長続きせず、転職は10か所以上に及んだ。
自分の興味のある企画はアイデアがどんどん生まれて時間が過ぎるのを忘れる。
気づいたら泊まり込みで企画書を完成させるが、随所にミスが生じた。
提出物の期限を守ることも相変わらず不得意で、優先順位をつけられない。そんなことを何度も繰り返したためだった。
日頃の芹沢さんの様子から発達障害を疑った主治医の勧めで、芹沢さんは10年秋に心理検査を受け、
注意欠陥・多動性障害(ADHD)と診断された。
ADHDは、不注意や落ち着きのなさなどが特徴。
集中ができずケアレスミスが多く、片付けが苦手、落ち着きがなく一方的におしゃべりをするといった行動で、
周囲からは誤解されやすい。患者は、自分を駄目な人間と思い込み、自己否定に陥りやすい。
芹沢さんはその後、ADHDの患者や家族を支援するNPO法人「えじそんくらぶ」に入り、
自分自身のストレスを軽減したり、周囲との摩擦を少なくしたりする工夫を学んだ。
仕事のアイデアがわいても忘れやすいため、すぐに書き留める「思いつきノート」をいつも持ち歩いている。
12年5月からフリーの社会福祉士として、
介護職向けのセミナーの講師などを行うようになり自分に自信を持てるようになった。
えじそんくらぶ代表で、自らもADHD患者である臨床心理士の高山恵子さんは「自分が苦手なことを理解し、
補いながら、得意な領域を生かすことが大切」と話す。

 

 

 

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(参考)セミナーの紹介です

2015年10月28日 | 情報

日頃より親交のある、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科疫学(衛生学)分野の高尾総司先生より、メールをいただきました。

「ところで、東京ではNPO法人学習支援エンターさんの協力を得て、研修等実施しております。
加えて、向こう5回ほど、なかなか魅力的なゲスト(塚本先生「筆者注、東京ガス産業医です」にも)もお願いしての、
カジュアルに質疑できる機会も設けております。
ところが、あまり広報がうまく出来ておらず、集客が進んでおりません。
せっかくの機会ですので、ご関心ありそうなところにぜひ、ご案内いただければ大変ありがたく思います。
今後ともよろしくお願いします。
高尾総司」

高尾総司先生が主催するセミナーの紹介です。
興味のある方、以下の案内状を参照してください。
lsc_panfu1002.pdf または、http://www.lscenter.org/mhc/takao_m/program.html

11月13日 (金)

研修
ケース・スタディ

13:00~14:30
15:00~17:00

関係者との関わり方3 上司編
あるべきラインケアセミナーを再設計する
ゲスト:吉野 聡

あり
12月4日 (金)

研修
ケース・スタディ

13:00~14:30
15:00~17:00

ぶれない復帰判定のために復帰基準を明確化する
ゲスト:石澤 哲郎

あり
1月15日 (金)

研修
ケース・スタディ

13:00~14:30
15:00~17:00

関係者との関わり方 本人編
あるべき本人への真の支援とは
ゲスト:塚本 浩二

あり
2月19日 (金)

研修
ケース・スタディ

13:00~14:30
15:00~17:00

不完全労務提供を徹底分析
負の側面をすべて洗い出す
ゲスト: 川瀬 洋平

なし
3月11日 (金)

研修
ケース・スタディ

13:00~14:30
15:00~17:00

関係者との関わり方 人事・産業保健職編
人事からみた産業保健職&産業保健職からみた人事
ゲスト:松原 健一

なお、高尾先生のプロフィールは、以下を参照してください。
http://www.unit-gp.jp/eisei/wp/?cat=52

 

 

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大人の発達障害(2)

2015年10月28日 | 情報

いわゆる従来型のうつ病は、企業の対応策が功を奏してきた結果、だいぶ改善がすすんでいるようです。
これに代わって、いわゆる若年型のうつ病や、発達障害が、
企業のメンタルヘルス対策における課題になってきているようです。

大人の発達障害(2)
患者同士で学ぶ会話力

「日光の観光を楽しんだが、翌週には豪雨で氾濫した」「地元のお祭りに参加して、花火大会や盆踊りをみた」
東京都新宿区の晴和病院で9月中旬、20~40歳代の男女6人が、それぞれ近況を1分間ずつ語り始めた。
これは、同病院が大人の発達障害の患者を対象に、2年前から行っているデイケアだ。
通常の社会生活では、対人関係を構築する上で当たり前のように行っていることも、
発達障害の患者にとっては対応が難しく、生きづらさを抱えてしまうことが珍しくない。
デイケアでは、あいさつ、自分の事を相手に伝える、不安や怒りの感情のコントロール、
相手への気遣いなどの内容を実習形式で学ぶ。臨床心理士や看護師などが加わり、月に2回、1年間続ける。
この日のテーマは「会話を続ける」。はい、いいえで答えられる質問ではなく、
相手の話を引き出し、広がりを持たせる「開かれた質問」の使い方や、
自分の情報をお互いに交換しあうことで関係を深める「自己開示」のスキルを学んだ。
今年7月から同病院のデイケアに参加している都内の男性会社員(43)は2013年6月、同病院でうつ病と診断された。
職場の人間関係が原因で、抗うつ薬の治療を続けていたが、良くなったり悪くなったりを繰り返した。
主治医は、男性の日頃の様子から、発達障害を疑った。
今年5月に心理検査を受け、アスペルガー症候群と診断された。
いくつかの仕事を同時にすると混乱しやすく、こだわりが強い。人とのコミュニケーションにも問題があるという。
男性は学生の頃から、話が細かいとよく言われていたが、自分の個性の一つと思っていた。
物事を曖昧にしておくことに我慢できず、職場で上司と対立したことが、うつ病発症のきっかけだった。
男性は「他の参加者と交流しながら自分を見つめ直し、職場での対人関係に生かしていきたい」と話す。
同病院や昭和大烏山病院、愛知県立城山病院など計7医療機関でデイケアの効果を検証したところ、
人とのコミュニケーションの能力などを示す指標が改善していた。
晴和病院のデイケアを担当する臨床心理士の反町絵美さんは「デイケアで、表現力や表情も豊かになる患者も多い。
同じ障害を持ち、同じような失敗や苦しさを経験した患者同士が出会い、ともに学ぶ場を作ることが大切です」と話す。

 

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大人の発達障害(1)

2015年10月27日 | 情報

読売朝刊で、大人の発達障害についての連載がありました。とても参考になる記事ですので、以下に紹介します。
なお、当記事は、有料配信になっていますので、関係の皆さんには、お役に立つのではないでしょうか。

 大人の発達障害(1)読売 15.10.20
30代になって病気と診断
昭和大烏山病院(東京都世田谷区)の事務職員、堀越一雄さん(40)は、幼い頃から一人で遊ぶのが好きで、
パズルやブロックに夢中になっていた。世間話ができず、聞くだけでも苦痛に感じることがある。
サラリーマンは不向きと自覚し、研究者を目指していた。
東京大で物理学を専攻して大学院修士課程に進んだが、研究テーマなどを先輩に相談することはなかった。
修士2年になった1998年の春、指導教官に「君は研究者に向いていない。就職活動をした方が良い」と告げられた。
自分の全てを否定された気持ちになり、自宅に引きこもるようになった。
心配した教官の勧めで病院を受診。うつ病と診断され、抗うつ薬の治療を始めたが、意欲がわかない。
「甘えだ」と突き放す教官の態度に絶望し、翌年秋に大学院を中退した。
その後は、深夜から朝までインターネット漬けか、趣味のピアノに没頭した。
手鏡を壊したり、パソコンのマウスを投げつけたりすることを繰り返すようにもなった。
長生きをしても良いことはないし、50歳ぐらいで静かに死にたいと思うようになった。
鍵を閉めたかどうかを何度も確認せずにはいられないといった強迫性障害にも悩まされた。
30歳代も半ばに近づいた頃に、インターネットで知った発達障害が、自分の症状と共通しているように思えた。
堀越さんは2008年2月に昭和大烏山病院を受診し、アスペルガー症候群と診断された。
アスペルガー症候群は、脳機能の偏りから引き起こされる「発達障害」の一つで、
人との交流や意思疎通などに困難を抱える。子どもの頃に発症するが、見過ごされることも多い。
同病院で発達障害の患者向けのデイケアや就労に向けた訓練プログラムに週1回通い始めた。
この間、気持ちが不安定になり足が遠のいた時期もあったが、気分転換にと、
2年前からパソコンの入力作業などのアルバイトを始めた。
昨年初めには同病院が障害者雇用枠で事務員を募集していることを知り、応募、採用された。
堀越さんは「キャリアアップをして、ピアノがある部屋を借りて独り暮らしをしたい」と話す。
堀越さんの主治医で、同病院院長の岩波明さんは「大人になり発達障害と分かっても諦めず、
適切な治療を受け、他人にどう対処していくかを学べば、社会復帰の道につながる」と強調する。

 

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