高木晴光の 『田舎と都市との ・ 日々こうかい記』

「新田舎づくり」を個人ミッションとし、田舎と都市とを行き来する人生・仕事のこうかい(公開・後悔・航海)日記

長期自然体験村から長期体験村に名称を変えたわけは?

2014-07-28 11:09:45 | プログラム 子ども

 黒松内で開催する夏の子どもプログラムは、今年で16回目となります。 1999年が第1囘目でした。その2年前から夏休みの長期活動の動きが文部科学省のバックアップで研究実施調査が始まっていました。ちょうど子ども達のイジメが大きな社会問題となり、小学生が小学生の殺人をしてしまった事件が社会を震撼させた頃です。

 子ども達を長期間、自然体験をさせることは、情緒を健全に養い、そして、自己効力感や自己肯定感を育み、そして、のちに「生きる力」と言われるようになった生命力の基礎をつくるのに重要な活動であるということが、さまざまなアンケートや情緒テストで明らかにされました。 そして、 その社会状況を鑑みてのことだったのでしょう、民間でそれまで「勝手に」社会教育分野を担っていた私たちの活動に国が目を向け始めたのです。 そして、「民間社会教育事業者」という言葉を、始めて国が使うようになりました。

 私たちも、1999年の夏に初めて国が全国から公募した長期自然体験村事業に立候補をし長期活動を始めるに至りました。 2週間以上の期間が条件で、当時50団体位が国の助成を受けて実施しました。 国の助成がつくということで翌年は全国各地で200箇所も開催されました。 しかし、それも国の直接事業から、外郭団体からの補助事業へと変わり(子ども夢基金)、さらに資金の使用についても様々な制約がつくようになり、徐々に実施団体・地域が減ってゆきました。 私たちは、継続することも「使命」として、7,8年ほど前からは、どこからも助成金を頂かずに長期活動を実施しています。

 さて、国(あるいは国の外郭団体)からの助成を頂かくなったことを契機に、「自然体験」という言葉をあえて外しました。 当初は「子ども長期自然体験村」と称していたのを、「子ども長期体験村」に変えました。 これには2つばかりの理由があります。

ひとつは・・・、スタッフの変化があります。 当初はけっこう冒険教育的な側面がありました。 学生時代に山岳部、探検部、ワンダーフォーゲル部などに属して活動していたディレクター陣や大学現役部員などアウトドアースキルに長けている人を数多くスタッフと配置できたので、山深く分け入り、断崖の海岸をゆくようなプログラム展開ができましたが、現在では、そのような危険が潜むような場所で「遊び」、安全管理力を身につけて来た若者はそう集めることはできません。

しかし、それよりも重要視したは、「人と人」との関わり合い、コミュニケーショントレーニングの場づくりでした。 当初より「大家族」は運営のメインコンセプトですが、海外からの学生や調理を手伝ってくださるベテランスタッフが徐々に増えていたこともあり、大家族は多様化してゆきました。 自然の中での行動重視の学び合い活動から 仲間と共に自然豊かな地で一緒に暮らすという「生活体験」に重きをおくようになりました。

現在のチーフディレクターは、女性のふみぞうです。 ジジィも加えた年上男性陣がサポートをしていますが、ヘッドは女性です。これは、ちょうど「生活を重視」し始めた頃と重なっているのです。 黒松内ぶなの森自然学校の長期村のチーフディレクタは、ここ数年は、マム(現在3児の母)から始まり、ジョイ(現、三陸ひとつなぎ自然学校チーフディレクター)、ふった(世界を旅行中)と、女性がプログラムマネージメントをしています。

折しも、一昨日でしょうか・・・、女子高校生が同級生を殺人するという事件がありました・・・・。

人の感情形成は先天的に有している性癖というものもあるでしょうが、多くは後天的に育まれてゆきます。 その時、「環境」はとても大事です。

豊かな自然環境にふれて、人は自然の一部であるという感覚を持てるようになることも、子どもが他人にふれあい、いつもと違う場所で生活し、「信じてもいいオトナ」がいるんだという環境を体験的に知ってもらうことも、他者にじょうずに関わる力を育むと信じています。

子どもは大人になるために 大人と触れ合うことが必要で、

大人も、大人とはなんぞやといつも自律できるようになるために、子どもに触れ合うことが大切です。

それは、いろいろな年代の人と時と場を一緒にする、生活することで実践されます。

子どもと大人は・・、実はお互いの先生なんだなあ。

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