◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「○○さんとご一緒になって」って?

2007-05-12 08:50:51 | めちゃくちゃな敬語
              ご一緒させてください
 謙譲語の基本の形は「ご(お)~する」ですから、「ご一緒して」という言い方が普通です。この「○○さんとご一緒になって」というのはどういう状況を言ったものかというと、故郷に帰る飛行機で偶然、有名人の○○さんと乗り合わせたということで、別に○○さんと知り合いというわけではなく、「ご一緒して」とはちょっと言いにくいわけです。それで「ご一緒になって」と言ってしまったということなのですが、「ご」が余計です。この場合、「○○さんと一緒になって」と言うしかありません。「ご一緒になる」は尊敬語の形ですから、この場合は使えませんし、一般的に、「一緒になる」は「結婚する」という意味で使われていますからね。
 ここにまた一つ大きな問題があります。皆さんはお気づきでしょうか。敬語はもちろん必要なものですが、今の日本人は、きちんと敬語を使えないのに、いかなる状況でもごてごての敬語を使わねばならぬと思っていて、その結果、何だか変なことになってしまうわけです。犯罪者にまで敬語、ということは以前書きましたが、有名人だろうが偉い人だろうが、偶然同じ飛行機に乗り合わせたことについて謙譲表現などしなくてもいいのです。空港で会って、何か理由があって「ご一緒させてください」と頼んだのなら別ですが、何でもかんでも敬語というのはやりすぎです。
 先日、魚に対して謙譲語という場面を見ました。ある女優が、ダイバーに「マンタに高い確率でお会いできたのですね」・・・ぷぷぷ、笑えます。笑えない人はしっかり謙譲語の基本の形を思い出してください。「ご(お)~する」の可能表現は「ご(お)~できる」です。この場合、ダイバーに対して尊敬語を使えばいいわけで、「マンタに高い確率でお会いになれたのですね」となりますが、そもそも広い海で魚に「会う」という表現が適切ではなく、「マンタに高い確率で遭遇なさっているのですね」ぐらいがいいのではないでしょうか。芸能人はごてごて敬語が好きで、その割りに尊敬語はめちゃくちゃ、何でも謙譲表現で言わなければ気が済まないようなのですが、その結果、とんでもないことになっています。これについてはまた後日書きますね。

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