◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

海岸なのに「侵食」って?

2009-07-15 20:47:36 | 言葉についてあれこれ
                     散歩エリアは共有だよ
 日曜日午後6時から放送の報道番組で、海岸の砂浜が波に浸食されてだんだん狭くなり、海水浴場として使えなくなったり海岸沿いの建物が波をもろに受けたりしている、そういう現象が日本全国至るところで見られるという話をしていました。石川県羽咋市の千里浜なぎさドライブウエーも紹介されましたが、実際、私の記憶からいっても随分狭くなりました。
 主な原因は、川の上流のダムが山から流れ込む砂をそこに留めてしまい、海まで運ばれる砂が減り、波が浸食する分を補えなくなっていること、なんだそうです。全く自然の状態なら、波が削れば、その分を、ちゃんと川が砂を運んできて補う、そのバランスが取れて砂浜が維持されるというわけで、一方(川の上流)を人が変えたらバランスが崩れるのは当然ですね。
 それで、話を聞きながらずっと気になっていたのが「侵食」という文字です。テロップやフリップがすべて「侵食」となっていたので、砂浜を削っているのは波なのだから「浸食」だろうと思っていたら、わざわざ福澤さんが言いました。「国土を侵しているからにんべんの侵食です」と。
 え? そうかな? まぁ、福澤さんらしい発想ですが、皆さんはどう思いますか? 原因としてダムのことを話したんですよね、そのダムを造ったのはだれ? 日本を侵略しようとしている何者かが造ったの? 違いますよね、日本人が、日本人の生活を支える水力発電や日本人の安全を守る治水等のために造ったんですよね。
 「国土を侵す」は「不法に攻め入る」というイメージですが、波は別に「国土を侵す」つもりで打ち寄せているわけではありません。大昔からずっと、ずーっと、ただただ寄せたり引いたりしているだけですから、やはりここは「浸食」でしょうね。「侵食」というくらい危機感を持っているんだという気持ちは分からなくもないですが、自国の領土を「侵す」というのはやはり変です。
 それとも、国土を削っているのは水(さんずいへん)ではなく人(にんべん)だと言いたいのかな? だからって全部「侵食」にするのはやりすぎじゃないですか? それに、「国土を侵しているからにんべんの侵食です」ではなく、「人が招いた結果だからにんべんの侵食です」とでも言えばいいんじゃないかなぁ?

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 全角と半角、どっちでもいい。 | トップ | 「人から人へと感染できる」... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

言葉についてあれこれ」カテゴリの最新記事