◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「不安しか募らない」って?

2023-04-23 09:53:43 | 言葉についてあれこれ
                                  食べたい思いが募る

 「『新型肺炎』日本の備えに不安しか募らない理由」という見出し(2020/1/24 10:50 東洋経済オンライン)って、「不安しか」なら「ない」もしくは「感じない」でしょ。「~ない」だから「募らない」と書いたのでしょうけれど、「募らない」なんて言い方は不自然。「不安だけが募る」でしょ!
 これは、「~だけしか~ない」と言ったり書いたりする人が多くなり、「だけ」と「しか」の違いが分からず、使い分けができなくなったからではないでしょうか。言葉をいいかげんに扱っているとこういうことになるのですよ。こんな簡単なこともちゃんと表現できない書き手がそこらじゅうに・・・。
 「きっと痛くてまともに歩くのもつらかったのでしょう」(2021/3/26 grape)は自ら動物病院に来た野良犬の話ですが、こんな簡単な表現もできないって( ̄д ̄)! 「まともに」は余計、「きっと、痛くて歩くのもつらかったのでしょう」でしょ。あるいは「きっと、まともに歩けないほど痛くてつらかったのでしょう」です。
 「先人たちの底力 知恵泉 井原西鶴」にて。矢数俳諧という催しで、4000句を目指して20秒に1句詠んでいく、そして、それを書き取る人、「記録係も追いつくのがやっと」と言った新井秀和アナ、センスなし( ̄д ̄)! そもそも追い抜けないのですから「記録係も追いつくのに一苦労」とか「記録係も追いつくのに必死」とか、でしょ!
 「もしこれが外部から委託された発注であったら…と思うと恐ろしい。会社のイメージダウンはやむを得ません。(中略)再発を防止するフローに組み替える仕組みづくりを構成しました。(中略)刷り直し費用は、次回の社内報の予算から削りました。社内報でもミスはゆるされないと全員が思った瞬間でした」って ┐( ̄д ̄)г。
 まだ続きがあります。「今後の作成経緯については十分注意するようになりましたが(中略)炎上する前に受けてのエネルギーが笑いや興味に発散されるのかもなあ」(2021/4/11 7:00 キャリコネニュース)って( ̄д ̄)! 社内の配布物の誤字、「防火」のはずが「放火」になっていたという話です。
 その社内報を作成している人が書いた文章がこんなだとしたらどうしようもないけれど、誰が書いた? 最小限の修正で「イメージダウンは避けられません」「~に組み替えるべく、仕組みを構成しました」「~の予算を削って捻出しました」「ミスは許されないと」「その後、作成過程については」「受け手の」です。
 「現役時代選抜のメンバー16人で食事をしていた際、楽しくて盛り上がっていたところ、秋元さんからメンバーに向けたメッセージが届いたという。だが、その場で読むのが面倒になったことから16人全員が無視をしたエピソードを明かした。(中略)無茶ぶりが(中略)超過酷なポジションであるにも関わらず特別手当は特になかったと」(2021/4/15 17:57 J-CASTニュース)。
 「現役時代、選抜メンバー16人で食事をして楽しく盛り上がっていたところ、秋元さんからメンバーに向けたメッセージが届いたが、その場で読むのが面倒で16人全員が無視したというエピソードを明かした。(中略)無茶振りが(中略)超過酷なポジションであるにもかかわらず、特別手当はなかったと」でしょ!
 「これは表にできない金、盗んでも、正式に被害届が出せない」は、「イチケイのカラス」#6(脚本 浜田秀哉)(2021/5/10)、窃盗犯の岸田(バカリズム)のセリフ。表にできない、だから裏金か、なるほど・・・ではなくて「これは表に出せない金、盗まれても正式に被害届を出せない」でしょ!
 「何をもって『自動清掃』とするのはメーカーやモデルによって異なりますが(中略)エアコンメーカーはエアコン内部洗浄剤を使って清掃を行わないように呼びかけています」(2021/5/11 17:00 Fav-Log by ITmedia)って「何をもって『自動清掃』とするかは」「エアコン内部洗浄剤を使う清掃を行わないように」でしょ。
 「世界まる見え!」(2021/5/31)で「沈没の危機になってしまいました」と言った岩田絵里奈アナ( ̄д ̄)! 水位が上昇して小さな島が水没しそうだという話ですから、「水没の危機に陥ってしまいました」もしくは「水没の危機に瀕しています」でしょ!
 「典型的!普段穏やかな女性、尋常なく慌てる 埼玉・東松山の郵便局職員が詐欺防ぐ、帰る女性を引き留め通報」という見出し、「特殊詐欺を疑い、主任の杉田さんに報告。杉田さんが詳しく聞くと『特殊詐欺の典型的はケース』と判断」という記事(2021/6/26 10:18 埼玉新聞オンライン)。
 まず、「尋常でないほど慌てる」でしょ、記者が慌ててどうする!? 「詳しく聞くと…と判断」は流れがおかしいですね、「詳しく聞くと『特殊詐欺の典型的なケース』と判明」でしょ。杉田さんがそう判断したということなら「杉田さんが詳しく聞いて『特殊詐欺の典型的なケース』と判断」です。
 「映像の世紀 第3集」(2021/8/4)、「アメリカの歴史に残る一つの裁判がテネシー州の小さな町で始まりました。事の起こりはこのドラッグストアから始まります」というナレーション、語りは山根基世アナ。最初に放送されたのは1995年、山根アナがNHKに入局して二十数年、なのに気づかない?
 1925年、テネシー州では、聖書の教えに反するという理由でダーウィンの「進化論」を教えることを禁止していたので、この法律を犯せばマスコミに取り上げられて町が有名になると思い、ドラッグストアの主人と高校の生物教師がイベントを仕掛けました。
 それが“宗教vs.科学”の裁判に発展したというわけですが、裁判の結果はというと、「進化論」を教えた教師は有罪で罰金100ドル。言い出しっぺは、町を盛り立てたいと思ったドラッグストアの主人か? だとしたら「事の起こりは、このドラッグストアの主人の思いつきです」でしょうか。
 「YAHOO!ニュース」の「『フジロックに行く人みんな地獄に落ちてほしい』匿名の叫び、地元民の受け止めは?」という見出しを見て、また変な「受け止め」だ、記事(2021/8/23 16:43 キャリコネニュース)は何と書いてあるのか確認しようと思って読んでみたのですが、何だかミョー( ̄" ̄)。
 まず、記事の見出しも同じでした。「受け止め」をかっこいいと思っている人が大勢いますが、「受け止め」ではなく「受け止め方」ですよ。記事本文は「『はてな匿名ダイアリー』に投稿されたこの叫びを、地元民はどう思うのだろうか」なのに、「…受け止めは?」という見出しを書いたのは誰?
 そして、「投稿の中身をざっと紹介する」と前置きして「新潟県内在住という筆者は、この1年半ほど(中略)『…ほとんどを我慢して生活していた』という」って? 「筆者」って誰? 通常、記事に「筆者」と書いてあれば、それはその記事を書いている人(ライター)ですよね。
 ですから、「新潟県内在住という筆者は」に違和感を覚え、「新潟県内在住の筆者は」かと思ったのですが、最後が「という」なので、この「筆者」は「投稿者」でしょうか、新潟に住んでいる投稿者からライターが話を聞いたのかな? 読むのに苦労する文章ばかりって、どうしたものか <( ̄д ̄)>。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「追い抜いたドライバーが怒... | トップ | 「『超迷惑!』だと思うのは... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

言葉についてあれこれ」カテゴリの最新記事