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「うっせいわ」のAdoと「Bad Guy」のビリー・アイリッシュ

2021-03-03 19:04:59 | アラカルト

先日、朝のFM番組を聞いていたら、高校生シンガー・Adoが歌う「うっせいわ」の話題があった。
実はこの「うっせいわ」という曲のタイトルは、以前から知ってはいたが、聞きたい!という気が起きずなんとなくスルーしていた。
そして番組で流れた時「なるほどね~、親が子どもに聞いて欲しくない、歌ってほしくない楽曲」だと、言われている理由が分かった。

確かに、現役高校生が歌う内容としては、相当過激だ。
過激だが、本当に今の高校生はこんなことを感じているのだろうか?と、疑問にも感じたのだ。
色々調べてみると、楽曲をつくったのは歌っているAdoという高校生ではなくsyudouという方の作。
syudouについても調べてみると、大学卒業後ボーカロイドの音楽を発表されている方のようだ。
とすると、この「うっせいわ」という言葉そのものは、作者であるsyudouさんから発せられた若い社会人の「うっせいわ」ということなのでは?という、気がしたのだ。

現役高校生、しかも女子が「うっせいわ」と繰り返し歌うということは、話題づくりとして成功していると思う。
そしてもう一つ見逃してならないのは、Adoにしてもsyodouにしても、音楽の出発点はコンピューターを使ったボーカロイドである、という点だ。
ボーカロイドを使っているから、音楽としてどうなのか?という意味ではない。
自分のことばを直接音に乗せるのではなく、コンピューターという電子機器をワンクッション置くことで、現実感と非現実感を生み出すことで、より過激なことばを使うことができているのでは?という気がしたのだ。

そう考えると、コンピューターで生成された一定のリズムに乗り「うっせいわ」ということに、子どもたちがその「うっせいわ」の指し示すことを理解しているとは思えず、リズムだけに乗っているのでは、ないだろうか?
確かに言葉遣いとしては、大人が眉を顰めるような内容だ。
その内容が胸に突き刺さるのは、逆に大人だからであって子供たちは、その意味も十分理解していないのでは?

この「うっせいわ」と聞いた時、フッと思い浮かべた女性ミュージシャンがいた。
昨年グラミー賞の主要部門を総なめした、ビリー・アイリッシュの「Bad Guy」だ。
ビリー・アイリッシュがグラミー賞の主要部門を総なめした時、まだ19歳と若かったことも話題になったと記憶している。
ただ、YouTubeで公開されているMVを見ると、決して心地よいMVとは言い難かった。
何となくだが、その当時のアメリカ合衆国という国の歪みに苦しむ若者の思い、を呟くように歌っている、という印象を持ったのだ。
確かにトランプ政権下では、経済格差だけではなくLBGTQや人種に対する差別なども、それまで以上に表面化した。
特に中西部の白人ブルーワーカーの黒人に対する暴行事件は、後を絶たず警察までもが公然と黒人に対して暴行をすることが行われた。
そのような米国の社会状況の中で、ビリー・アイリッシュの「Bad Guy」という楽曲は、支持を得たのだった。

とすれば、Adoの「うっせいわ」に関して、大人がカリカリするほどではないのでは?
一緒になって楽しむ必要はないが、「うっせいわ」という歌が滑稽に感じられるような社会を創っていくことの方が、大事だと思う。

 



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