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女性マーケターから見た日々の出来事

ファッションと模倣 -UNIQLOとSHEIN‐

2024-01-17 18:31:28 | ビジネス

朝日新聞等に、中国のファッション通販サイト・SHEINが、ユニクロから提訴された、という内容の記事が上がっている。
Huffpost:ユニクロがSHEINを提訴。人気商品「ラウンドミニショルダーバッグ」の模倣品をめぐり 

中国のファッション通販サイト・SHEINが話題になったのは、昨年の夏ごろだったような記憶がある。
サイトを見るとわかるのだが、とにかく安いのだ。
その安さにひかれ、10代の若者を中心に、人気のファッション通販ブランドとなっていった。
その後、実店舗を東京で持ったと思うのだが、展示されている商品があまりにも少なく、来場したお客さんはがっかりしていたようだ。
Business Insider:初のリアル店舗 「SHEIN TOKYO」が原宿にオープン 開店行列100人あまり、穏やかなスタート  

記事を読んでいただくとわかると思うのだが、SHEINの実店舗では商品を販売するのではなく、実際の商品を手に取れる場所=展示会場、という位置づけの様だ。
その後、この原宿店がどうなったのか?はよくわからないのだが、ネットで購入できる商品を実際手に取ってみる、という場所があることは良いことだが、果たして原宿という地価が高い場所でそのような商売が成り立ち続けているのだろうか?と、思っている。
何故なら、SHEINのビジネスの考え方が「薄利多売」だからだ。

確かに現在の日本のような経済状態では、ファッションに興味を持つ10代の若者たちからすれば、ユニクロであってもなかなか手を出しにくい価格帯のファッションとなっている可能性は高い。
決して高価な商品ではないが、それでも「値段と財布の折り合いがつかない」という若者たちは少なくない、と思っている。
それに対して、SHEINがつくり出すファッションは、トレンドを抑えつつ価格は、お手頃ということになれば、若い人達が、開拓なるのも当然だろう。

SHEINについては、ユニクロだけではなく海外のブランドからも、訴えられていたように記憶している。
何故そのようなことが起きるのか(できるのか?)と言えば、ファッション全般について、法的な根拠を示すことが難しいからだ。
というのも、ファッションショー等で公開されたデザインに対する法的な保護そのものが、無いに等しいと言われている。
もう一つは、ファッションの流行り廃りのサイクルが早い為、デザイナーがデザインのパテント等を取得することが間に合わないからだ。
それだけではなく、パリやミラノ、ロンドン等で開催されるファッションショー等で発表されるデザインの多くは、その後アパレル産業の一つのトレンドを生み出すほど、「似たようなデザイン。雰囲気が似ているデザイン」が大量につくられることが当たり前のようになっている。
そのような慣例があるファッションの世界の中で、SHEINは複数のファッションブランドから提訴される、ということが起きている。
おそらく企業内にデザイナーがいない為、「似たようなデザイン。雰囲気が似ているデザイン」ではなく、そのままパクっているのだろう。

ユニクロが提訴した「ラウンド型のバッグ」そのものは、以前からあるようなデザインのような気がしている。
特段目新しさは感じなかったのだが、細かなデザインディテール等が違うのだろう。
もしかしたらSHEINは、バッグサイズまでパクったのかもしれない。
SHEINは超が付くほどの低価格で、若者から支持を得ることができた。
しかし、その低価格であることで、児童労働の疑惑が起きたり、製品そのものの問題、果ては環境負荷の高い素材を使っているのでは?という、指摘までされるようになってきている。

ユニクロの提訴がSHEINに与える影響がどれほどなのか?と問われると、わからないところが多いのだが、このようなカタチで「問題の多い企業」と報道されることで、SHEINそのものイメージダウンへと繋がっていくのではないだろうか?

因みにこれからのファッショントレンドは、「良いモノを丁寧に長く着続ける」ことだそうだ。
ファストファッションに飽きたのではなく、ファッションが環境負荷の高い業界であること等が、問題になりつつあり「大量生産・大量消費」の時代から、生活者のファッションに対する意識が変わりつつある、ということのようだ。



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