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「ムーミン」ばかりに注目しなくてもーセンター試験ー

2018-01-16 21:40:21 | アラカルト

今年も、荒天の中「センター試験」が実施された。
例年であれば、試験の内容が高校の授業内容と違っていたとか、複数の回答がある設問であった、ということが話題になるのだが、今年の話題は「ムーミン」だった。

朝日新聞:ムーミンの設問、根拠は?大学ニュー氏センタ―試験の回答全文

既に話題になっているので、設問内容については省くが、確かにいきなり「ムーミンの出身地は?」という設問に、ビックリした受験生は多いだろう。
それまで、過去問を一生懸命に解いてきた受験生であれば、尚更だろう。

確かに、ユニークな設問だとは思うのだが、この設問から入試センター試験の設問をつくった側のある狙いというか、考えが見えているような気がする。
それは「学校の教科書を暗記するだけでは、ダメですよ」ということだ。

受験生の中には、キャラクターとしてのムーミンは知っていても、フィンランドの作家トーベ・ヤンソンが書いた「楽しいムーミン一家」をはじめとする「ムーミンシリーズ」の本は、読んでいないかもしれない。
まして、地理の試験に「ムーミン」が出題されるとは思ってもみなかっただろう。
個人的な正解は「ムーミン谷」としておきたいし、お話し自体はどこの国という設定はされていなかったと思う。
そもそも「ムーミンとその仲間たち」というキャラクターは、作家・トーベ・ヤンソンが創り出した世界だ。

ただこのような設問があったことで、これからの受験生は「幅広い知識と教養も受験に求められる」ということだと思う。
予備校で「ムーミン」を読ませるとは思えないし、作者のトーベ・ヤンソンの人物像に触れることも無いだろう。
彼女が描き出した世界から訴えかけるモノ・コトとは何か?などということも、教えられることはないはずだ。
このような思考は、様々な「読書」の中から育まれていくものだと思っている。

「読書」と言っても、文字を追って読むのではない。
「言葉や行間などから、作者の考えや思いを想像し、自分の中で解釈をしていく・・・」というような作業を、繰り返していくということだ。
偏った思考に陥らない為にも、様々なジャンルの本を読みこなす必要もある。
これまでのように、「世界史・日本史・地理」は暗記科目などと思って勉強をしても、これからの受験には通用しない、ということを示しているようにも思えるのだ。

何はともあれ、受験生には「センター試験お疲れ様でした」と言いたい。
気持ちを切り替え、志望校の入学試験に向け力を出し切ってほしい、と思っている。