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何故「おとう飯」に、ズレを感じるのか?

2017-06-21 12:09:04 | アラカルト

1週間ほど前、内閣府が「おとう飯」というキャンペーンを始める、というニュースがあった。
内閣府男女共同参加局:「゛おとう飯”始めよう」キャンペーン

ここまで政府肝いりのこのようなキャンペーンは、お金をかける割りに、残念な結果に終わっているような印象がある。
最近でいうなら「プレ金」だろうか?
2月スタートとなった「プレ金」だが、余りにも唐突すぎて「プレ金って?」という感じだった、という印象があった。
3月は当然のことながら、年度末の一番忙しい時期と重なり「プレ金どころではない」状態だったのでは?
4月はGWが始まる前日。5月になると「そんなこともありましたね?!」程度の認識になってしまったのでは?
果たして今月6月は、どうなるのだろうか?

そして今回の「おとう飯」キャンペーンだ。
確かに、日本の男性の家事参加率は、先進諸国の中でも最低に近いと言われている。
戦後70年の間に、男性と女性の社会的仕事の分担化が進み、結果としてこのような数字になってしまったような気がしている。
社会的仕事の分担化が良い・悪いのではないと思う。
そのような役割分担を求め、専業主婦として家庭を支えることに意欲を感じている女性も、少なからずいると思うからだ。

流れが変わったのは、「男女雇用機会均等法」の施行以降だろう。
企業が求めたのは、働く女性の待遇改善ではなく、「女性も男性と同様に働いてほしい」ということだった。
「男性の働き方に女性も合わせる」という実態の結果、働き続けたい女性は「結婚も出産も子育ても一人で頑張れ!」という状態に陥ってしまっているように感じている。
そこへ「男性も育児に参加しましょう」ということで使われ始めたのが、「イクメン」という言葉だろう。
しかし、実態はどうなのだろうか?
今でも日本男性の育児時間は、諸外国に比べ随分少ない。
「育児や家事を手伝っている」と、ドヤ顔されてもその実態は乏しい内容だと感じている女性は多いのでは?

そこへ「おとう飯」と言って、男性も食事を作りましょう!という、キャンペーンだ。
サイトを見ると「(おとう飯なら)見た目が悪くても美味しければ良い」という文がある。
「女性だから、料理を作ることが苦痛だと感じていない」とか「毎日の食事メニューを考えるのが得意」だと思い込んでいるとすれば、それは大間違いだ。
「料理が苦手で、日々の食事のメニューを考えるのが億劫だ」と感じている女性が多い、という現実を知らないのでは?
そこに「(おとう飯なら)美味しければ良い」なとど言われては、毎日苦痛を感じながらも、孤軍奮闘で食事を作っている女性側の気持ちは「やってられない!」だろう。
女性の気持ちを逆なでしているとしか思えないような、文という気がするのだ。

キャッチとしての「おとう飯」という言葉も、ダジャレ感覚のネーミングのつもりなのかもしれないが、今時「おとう」という言葉を日ごろ使っている人が、どのくらいいるのだろう?
ストレートに「パパごはん」などのほうが、親しみもあったのでは?と思っている。