北朝鮮で拘束され、脳に重い障害を受け昏睡状態に陥っていた男性が、亡くなられた。
Huffpost:北朝鮮から解放されたワームビア氏が死亡 脳に損傷を負った大学生
日本では、北朝鮮という国が近く、いまだ解決を見ない「拉致問題」などがある為、北朝鮮という国に対しての警戒感が高い。
それに比べ、米国にとっては「北朝鮮による拉致問題」や「ミサイル発射」という出来事そのものが、とても遠い国の出来事のように感じていたのだろう。
亡くならた学生が利用していた、旅行代理店が今回の事件で「北朝鮮ツアーの米国人受け入れを中止する」と、発表をしている。
AFP通信:北朝鮮ツアーを扱う旅行代理店、米国人受け入れ中止 米学生死去で
実際このようなツアー会社がある、ということ自体びっくりしたのだが、「母親が訪れてほしくないと思っている場所」へ連れていくツアーというのが、このツアー会社の「セールスポイント」だったようだ。
そのコンセプトにたがわず、ツアーの行き先にはイランなどがあるという。
気になったのは「冒険心のある」ということと、「政治的身の危険を冒す」ということが、一緒になっていることだ。
一般的に「冒険心があるツアー」というのは、エベレストやマッターホルンのような山に登るとか、北極横断のような「過酷な自然に挑戦する」ようなツアーを指すのではないだろうか?
日本(もしかしたら、私の)基準なのかもしれないが、「過酷な自然に挑戦する冒険」と「政治的身の危険がある場所へ行く」ということとは同じではないと思うのだ。
にもかかわらず、このようなツアーに参加してしまう、というのは「興味半分」と「周囲の人が行ったことがない場所へ行った自慢がしたかった」という、本当の「冒険」とは違う動機があるような気がしてならない。
何故なら、ツアーの中にあるスキューバーダイビングなどは、何も北朝鮮まで行かなくてもできるスポーツだからだ。
もう一つ気になるのは、米国と北朝鮮は国交を結んでいたのだろうか?という点だ。
日本は北朝鮮とは国交を結んでいないため、観光目的で渡航することはできないと記憶しているのだが、実は欧州の国々の中には北朝鮮と国交がある国は、案外多いと聞いたコトがある。
随分前の話なので、今はどうなのかは知らないが、北朝鮮製の製品が欧州で売られていることも当たり前のようにある、という話を聞いたのだ。
そのようなこともあり、欧州では北朝鮮という国に対して、危機感のようなものが無かったのかも知れない。
実際、今回のツアーを企画したのは中国で起業した英国人だったようだ。
しかし、国交を結んでいない国への渡航はできなかったのでは?
中国経由で北朝鮮に入国するようなスケジュールであったため、見過ごされたのかもしれないが、ツアーに参加する以上そのような情報を参加者として収集する必要があったのではないだろうか?
「国交がない」という意味くらい、大学生であれば十分理解できたと思うからだ。
いずれにせよ、見知らぬ土地に行く時に必要なことは、出かける先の国の情勢などの情報収集だろう。
亡くなられた大学生やご遺族に対して、「死者に鞭打つ」ようなつもりはない。
ただ「冒険心」の意味の取り違えや、情報収集をツアー参加者としてしていたのか?何より、ツアー会社はそのような情報提供をしていたのか?という点で、疑問を感じているのだ。
ツアー会社側としてこのような事態が起きた時の補償は、一体どうなっていたのかも気になる。
トランプさんが、北朝鮮に対してどのような対応をするのか?という点とは別の問題として、考える必要があると思う。