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自民党VS厚生官僚 受動喫煙を巡る攻防?!

2017-06-01 19:38:11 | ライフスタイル

昨日は「国際禁煙DAY」だった。
ご存じの通り、2020年の東京オリンピックに向け、「受動喫煙」に対する風向きが厳しくなってきている。
4月には、WHOから「日本の受動喫煙対策は、先進国の中でも遅れている」という指摘がされた。
朝日新聞:日本の受動喫煙対策「前世紀並みに遅れ」WHOが視察

このような指摘がされているにもかかわらず、自民党内で考えられた「受動喫煙対策」は、今よりも緩い内容だった。
huffPost:【受動喫煙対策】「20歳未満立ち入り禁止の店のみ喫煙を認める」自民党修正案
今現在の法律では、未成年の喫煙は禁止されているので、自民党案だと「成人(=お酒が飲める人)が行ける飲食店は、喫煙OK」ということになる。
禁止の店というのは、ファミレスやカフェ、ファーストフード店などということになると思われる。
逆に言えば「お酒を出すお店は、喫煙できる」、ということになる。
店舗面積も100平米という、大きさだったと思うので、いわゆるお酒を提供するレストランでも、喫煙OKという解釈になる。
この修正案を基に、今現在の飲食店の店舗面積から算出すると約8割以上の店舗が、喫煙OKということになったという。
これでは、今の自主的な禁煙対策を実施している飲食店よりも、多い店舗が喫煙OKということになる。
それだけ、自民党内には「喫煙者」が多く、たばこを吸わないと落ち着かないニコチン中毒の議員さんがいる、ということだろう。

そのような自民党案に対して、厚労省が反撃(?)に出ている。
毎日新聞:受動喫煙「2020年ゼロ」飲食店に目標 がん基本計画、厚労省調整
厚労省側が受動喫煙対策として掲げたのは、「がん対策」という名目だ。
確かに喫煙(受動喫煙や3次喫煙を含む)が要因となるがんは、「肺がん」だけではない。
「咽頭がん」や「食道がん」なども、喫煙が要因とされている。
この2種のがんに関しては、「喫煙+飲酒」が主たる要因と言われている。
それだけではなく、他の肝臓や腎臓などのがん、乳がんなども喫煙によって、発症リスクが高くなるという指摘がされている。
そして、がん患者さんは年々増加傾向にあり、今や「日本人の2人1人が、がん患者」と言われるようになってきている。

社会保障費という視点で考えれば、早め早めのがん対策は、医療費の軽減ということになる。
以前、拙ブログでもエントリさせていただいたが、喫煙を要因とする病気はいわゆる「生活習慣病」全般に及ぶ。
予備軍を含め「生活習慣病」の患者を減らすことは、医療費の軽減に直結する問題でもあるのだ。
そう考えれば、厚労省の打ち出した案は、真っ当な案だろう。
まして、上述した通り国際的保健機関であるWHOが、「日本の受動喫煙対策は前世紀並み」と指摘するほど遅れているのだ。
厚労省側としても、WHOの指摘は心強い後ろ盾となっているはずだ。

確かに「喫煙」そのものは、個人的嗜好だ。
しかし、それが社会的問題となった時「個人的嗜好」を盾に、主張することは難しくなる。
ただ今の自民党案は「個人的嗜好を優先させる」ことを主眼としていて、社会保障などの問題からは目をそらしているように見える。
しばらくは、自民党ヘビースモーカー議員VS厚労省の戦いが続くのかもしれない。
自民党ヘビースモーカー議員さんたちの旗色が悪いのは、間違いなさそうだが・・・。