日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

子どもの仕事に、口を挟む親

2017-02-09 19:50:15 | アラカルト

先日、地下鉄の広告をボンヤリ眺めていて、驚いたコトがあった。
眺めていた広告というのは、大学生・短大生・専門学校生などを対象とした「就職セミナー」の広告だった。
セミナー参加者の対象がはっきりしていると思っていたら、対象者には続きがあった。
それは「学生及び保護者の参加」と書いてあったからだ。
「え”、今時の就職セミナーって保護者も参加するの?」と、驚いたのだ。

随分前から大学の入学式に保護者が参加するのは、一般的だった。
特に地方から進学をした学生の保護者にとっては、引っ越しの手伝いのついでに入学式出席という、感覚だったのではないだろうか?

それが、数年前から入社式にも保護者が参加するための「保護者席」が設けられるようになった、と話題になってきた。
大学の入学式くらいまでは、上述したような状況から保護者が入学式に出席するというのは、分からない訳ではなかったのだが、さすがに社式となると「どうなの?」と思ってしまうのだが、それもまた社会の変化ということなのか?と、思っていた。

入社式に保護者が出席するなら、就職セミナーに保護者が参加してもおかしくはないのかもしれないが、就職活動の厳しさはともかく、就職くらい自分でやろうよ!という、気がしたのだ。
もちろん、私が社会に出た時にも「縁故採用」と言われる、就職はあった。
ただ、社会に出て仕事を始めてみると「縁故採用」だからと言って、何のメリットもない。
むしろ、いくら努力をし実績を積んでも「縁故(採用だから)」という、色眼鏡で見られるコトも多かったように思う。
最近では「婚活」にまで、親が登場することも多いということを考えると、就職セミナーへの保護者参加は特段驚くことではないのかもしれない。

しかし、このような傾向は何も日本だけの事ではなさそうだ。
トランプ氏が、娘のイヴァンカさんのブランドの取り扱いを取りやめた百貨店に対して、随分とご立腹らしい。
日経新聞:トランプ氏、百貨店大手を批判 娘のブランド販売中止で

この記事を読んで思い出したのは、ファッションデザイナーのステラ・マッカートニーさんの事だった。
ステラ・マッカートニーさん自身は、ロンドンオリンピックの時には英国選手団のユニフォームをデザインしたほどの実力者だ。
苗字からお分かりになると思うのだが、ポール・マッカートニーさんのお嬢さんでもある。
ステラさんは、親の七光りを嫌って活動をされてきた。そして実力で今のデザイナーとしての地位いを確立したのだ。

それに対して、娘のブランド販売を中止したと言って、批判するトランプ氏はビジネスパーソンとして、どうなのだろう?
ファッションブランドというものは、その時々の時代感を敏感にキャッチし、表現をしていくことで「ブランド」を確立していく。
親の七光りで、ブランドが出来上がっていくわけではない。
イヴァンカさん自身も、不服と思っていらっしゃるようだが、父親が騒ぐようなコトではないはずだ。
まして、ご主人がトランプ政権の一員となろうとしている時に、自分のビジネスの事をアレコレいうというのは、父親や夫の社会的地位を利用して自分のブランド価値を上げようとしているようにしか見えない。
そのような「ブランド価値」は、多くの人から支持をされないだろうし、「ブランド」としての価値そのものも無いような気がするのだ。