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トランプ氏を支える、もう一つの支持層

2017-02-10 19:04:30 | 徒然

今日の朝日新聞のクルーグマンコラムを読んで、トランプ氏の支持層は、これまで言われてきた「中西部出身・白人・動労者階級」だけではない、ということを知った。
朝日新聞:<クルーグマンコラム@NYタイムズ> ペテン師たちの春 金融業界による略奪、再び

WEBでは有料記事となっているため、全文を読むコトができないのが残念なのだが、要約するとトランプ氏の金融政策というのは、金融業界にとって有利というよりも一般市民からいかにお金を掠め取り、自分たちが訴えられないような仕組みを作ろうとしている、という内容だ。

トランプ氏の支持母体である、共和党はもともと「金持ち、大企業優遇政策」をしてきた。
その切っ掛けとなったのが、レーガノミックスだった。
それまで富裕層や大企業に課せられてきた税をグッと引き下げ、「(税金を下げるので)お金のある人、お金のある企業はどんどん使って、市場を活性化してください」という考えだった(この考え、どこかで聞いたような気が・・・苦笑)。
その後、政権が入れ替わり民主党になると税が引き上げられ、共和党政権になると以前よりもさらに税を引き下げる、という繰り返しをしてきたのが、アメリカの国内金融政策だった(と言われている)。
富裕層や大企業に対して優遇措置をしてきた大きな理由は、「お金を使ってください」というだけではなく「海外にドルを持ち出さないでください」という、意味合いもあったようだが、思惑通りにはいかなかったようだ。
昨年話題となった「パナマ文書」の内容が、それを物語っていた。

日本と違い、個人資産を投資などで運用している人が多く、そのための良き相談相手となるはずの「金融アドバイザー」が、顧客利益よりもアドバイザーである自分の利益を優先させることを規制していた「金融規制強化法(ドッド・フランク法)」を骨抜きにするコトを、大統領令として署名をしている。
「金融規制強化法」は、リーマンショックにより善良な個人投資家や市民が、多くの資産を失ったことから作られた「消費者保護」的要素が強い法律だ(ということだ)。
トランプ政権で国家経済会議の議長に、金融大手・ゴールドマン・サックス幹部のゲーリーコーン氏を起用したコトを考えれば、トランプ政権における金融政策は、市民寄りというよりも金融業界寄りと取られても、仕方のないところだろう。

このコラムを読んでいて、米国経済の先行きが不安になってきた。
「リーマンショック」を引き起こした人たちが、トランプ氏の支持者である、というクルーグマン氏の指摘と、まだまだ記憶に新しいはずの「リーマンショック」の事を、米国金融業界は遠い過去のものとし始めているように感じたからだ。

記事全体を読んでわかることは、熱狂的なトランプ氏の支持者である「中西部・白人・動労者層」というのは、レーガノミックス以降一番犠牲になってきた社会層でもある。
そして、「リーマンショック」を引き起こした側と「リーマンショック」の被害者という両者である、という点を注目する必要があるような気がする。