日々是マーケティング

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販促キャンペーンも様変わりーサントリー伊右衛門夏キャンペーンに見る新しいあり方ー

2015-05-31 20:01:29 | マーケティング

サントリーの販促キャンペーンは、時々「へ~~~」と思わせる内容の時がある。
今回の「伊右衛門」のキャンペーンも、その一つかもしれない。
サントリー:高低差世界一流しそうめんー伊右衛門の夏プロジェクト2015「もっと、日本を、体験しよう」

これまでのキャンペーンは、おもに「伊右衛門」のCMで表現されたきた世界観のようなものを、体験するという内容が多かった。たとえば数年前に行った「碾茶セット」などのキャンペーンなどは、そのわかりやすい例だと思う。それが今回は「伊右衛門」とは縁も所縁もない?「流しそうめん体験」。会場となるのは、日本の三大秘境といわれている(?)徳島県奥祖谷。写真で見る限り、相当な山奥の集落だ。「限界集落」と呼んでもよさそうな印象さえ受ける。

では、なぜサントリーがこのようなキャンペーンをするのか?と考えると、やはり企業スローガンとして挙げている「水とともに生きる」ということと関係しているように思う。
というのは、今回のプロジェクトの目的の一つとして「竹害」について、広く理解してもらう、ということを言っているからだ。
都会に住んで、ミネラルウォーターを飲んでいる人にとって、その水がどんなところで「取水」されているのか?ということは、なかなか想像しにくい。
ここ名古屋では「南アルプスの天然水」が販売されているのだが、実家に帰ると「奥大山の天然水」に名前が変わる。
おそらく九州では「阿蘇の天然水」になり、サントリーは「取水地」の名前を、商品名につけている。
しかし「取水地」を商品名につけていても、その「南アルプスの自然」や「奥大山の自然・阿蘇の自然」などは、実際に行ってみないとわからない。そしてその取水地で問題になりつつあるのが「竹害」なのだ。

拙ブログでも何度か取り上げているのだが、「竹害」というのはその地域の人たちにとっても、あまり実感がない「害」だと思う。一番気になる人たちというのは林業に携わる人たち位で、地域の人たちが「害」だと実感するのは豪雨などによる土砂災害が発生したときなのではないだろうか?
ところが、サントリーのようにミネラルウォーターを取水するためには、地下水の水質が問題になる。
「竹害」によって、今後「良質な地下水」を(全国に)確保することが難しくなるのでは?という、懸念があるのでは?と考えるのだ。

しかし難しく「竹害」を訴えたとしても、多くの人から注目されることは難しい。
そこで夏の涼やかさを伝える「流しそうめん」という方法で、キャンペーンをすることしたのではないだろうか?
難しいことを難しく説明するのは簡単だが、難しいことを楽しくユーモアを持って伝えることは難しい。
それを今回の「高低差世界一流しそうめんプロジェクト」という方法で、伝えているように思えるのだ。
後1か月半後位で実施される予定の「流しそうめんプロジェクト」。結果を楽しみに待ちたい。