今週「閣議決定」という裏技で、「集団的自衛権の行使」を認めた安倍さん。
どうやら世間は、随分と怒っているようだ。
全国各地で、反対の声が上がっているだけでは無く、安倍内閣の支持率が一気に低下してしまった。
讀賣新聞:内閣支持率、5割切る・・・政府・与党に衝撃
比較的、安倍内閣に友好的と思われる讀賣新聞でも5割を切ったと言うことは、「集団的自衛権の行使」を認める過程を含め、国民から理解が得られていない、と言う目安になると思う。
そんな状況の中で、広告のアートディレクターが集まったADC(Tokyo Art Directors Club)がグランプリを発表した。
ADC:2014年年度ADC賞受賞者名簿
今年度のグランプリ受賞は、葛西薫さんが受賞している。
受賞内容は「HIROSHIMA APPEALS2013」のポスターと環境空間。
葛西さんが書かれた「夏の日のまぶしさ」というポスターが↓だ。
ポスターとしては、シンプルでメッセージ性が感じられないモノだが、このポスターが「ヒロシマ平和創造基金」や「広島国際文化財団」などによるアピールポスターだとすると、その意味合いが変わってくる。
このポスターそのものは、日本のグラフィックアートの先駆者的存在であった、亀倉雄策さんを記念した「亀倉雄策賞」をこのADCの前に受賞する程、グラフィックアートとして高い評価を受けている。
しかし、グラフィックアートとしての評価だけなのだろうか?と、考えてしまうのだ。
それはこのポスターが、「ヒロシマ平和創造基金」などによる「ヒロシマをピーアール」するコトを目的としているからだ。
昨年秋亡くなられた広告批評の天野祐吉さんは、「広告はその時代を映す鏡のようなモノ」だと話されていたと思う。
そして、社会が変な空気になると「広告が、それをユーモア豊かに皮肉ったり、批判したりするのが、一つの役目」だということも話していらっしゃった様に思う。
特に天野さんが嫌いだったのが「政府が、国民のコトを考えずに都合の良いコトばかり言う」というコトだった。
だから、「広告はユーモア豊かに、皮肉ったり批判することが大切だ」と。
葛西さんのポスターは、力強くシンプルなモノだが、この青年の見上げた空にはどんなモノが見えるのだろう?と考えるコトが大切なのだ、と言うことを訴えている様にも思える。
原爆が投下された日は、とても暑く青空が広がる夏の朝だった。
そして、今の若者や未来の若者達が空を見上げた時、見える風景はどんなものにするのか?
そんな問いかけをしている様にも見える。
その問いかけを、社会にして欲しい!とADCは考えたのではないだろうか?
今この時に、この作品をグランプリにした広告人の「安倍内閣への問いかけ」と静かな抗議の様にも感じるのだった。