1ヶ月ほど前に、「ひったくり犯が狙う新たな標的」という内容の記事が新聞に掲載されていた。
産経新聞West:ひったくり犯の新な標的「歩きスマホ」連日の被害
スマホで、音楽が聴ける様になってから至る所でスマホ片手にイヤホンをしている人を見るようになった。
近所に学校があるため、通学時間帯と重なると半数以上の高校生はスマホ片手にイヤホンで音楽(だと思われる)を聞いている姿を見かける。
おそらく、ソニーの「ウォークマン」が登場して以来、この様な光景は見られた光景だと思う。
時代とともに、ウォークマン→iPod→スマホへとツールが変わってきただけなのではないだろうか?
もし大きく違うとすれば、むしろイヤホンなのでは?と言う気がしている。
と言うのも、先日買い物帰りに目の前を歩く若い男性が、カバンから筆箱らしきポーチを落としたのを見た。
相当大きな音がしたので、周囲を歩いている人は足を止め「何が起きたのか?」と見回したのだが、落とし物をしたご本人は、全く気づかずスタスタと歩いている。
その姿を周囲の人は、訝しがっていたのだがイヤホンをしているコトがわかると「なるほどね~」と言う表情になり、気にも留めなくなってしまった。
私としては、目の前で起きた落とし物なだけに知らん顔もできず、落とし物を拾い若い男性の肩を叩いて「落とし物ですよ」と声を掛けるコトに。
肩を叩き、振り向いた落とし主に「落とし物です」と声を掛けても、イヤホンを外さない。
やっと自分の落とし物だと気づくまで、イヤホンを外しスマホの画面から眼を外すまで、随分(と言っても、数秒だが)罹った。
おそらく、ウォークマンの頃はイヤホンの性能も悪く、イヤホンから漏れる「シャカシャカ音」が問題になっていた。
その「シャカシャカ音」の音漏れをなくし、周囲の雑音を消す様になったコトで「周囲の音」を聞くコトが無くなったのだろう。
高性能化は、「音を聞く環境」を向上させたが、逆に周囲の様々な音情報を消し去ってしまった、と言うことなのだと思う。
ただ、通勤・通学途中にそこまでして音楽を聴く必要があるのかな?と言う気がする時がある。
私自身、通勤電車で音楽を聴いていた時期もあったのだが、音楽を聴かなくなってからのほうが、様々な情報を視聴覚で得ることができるようになったのは当然のコト、「音楽を聴くなら、自分が一番リラックスできる時と場所で聴くのが楽しい」と思える様になった。
片手間で聴く音楽というのは、やはり「片手間で聴ける程度の音楽」でしか無い、と言うのが私の感想なのだ。
いずれにしても、高性能化されたイヤホンは便利で周囲に迷惑を掛けない道具だとは思う。
それによって、失われている様々なコトがある、と言うことも忘れてはいけないと思う。
そして、イヤホンをしてスマホ画面を見ている若者をみると、何となく「五感(の一部)が、機能しなくなっているのでは?」と感じるのだ。