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女性マーケターから見た日々の出来事

「香害」と社会変化

2013-10-05 21:04:21 | ライフスタイル

今朝、所用があり地下鉄に乗った。
土曜日の朝ということもあり、座席に座るコトができたのだが・・・途中で、気分が悪くなった。
理由は「香害」。
私の隣りに座っていらっしゃった方は、身なりの整った男性。
その男性の洗い立てのシャツから、柔軟剤の強い香りがしたのだ。

2,3週間ほど前だったと思うが、Yahooのトピックスでもこの「香害」が取り上げられていた。
柔軟剤の強い香りで、気分が悪くなる人が増えている、と言うニュースだった。
確かに、柔軟剤「ダウニー」の大ヒット以来、香りの強い柔軟剤が増えている。
それだけ、その様な香りの強さを求める生活者が多い、と言うコトだと思う。

その昔「香害」と言えば、ポマードをがっちり付けたオジサンが定番だった。
衣替えの頃になると、防虫剤「ナフタリン」の臭いだった。
20数年前、ディオールが「プアゾン」というフレグランスを発売した時は、5m先からでも「プアゾン」のにおいが判る、と言われたコトもあった。
ただ、全体的には「無臭・微臭」という傾向が、強かった。
その背景にあったのは、おそらく日本の住宅事情の変化だったと思う。
いわゆる「トイレの消臭剤」の考え方が「においでカバーする」から「においを消す」という考えに転換できたのは、水洗トイレが普及とトイレの洋式化などにより、不快な臭いの消し方が変わるコトができたからだろう。

それが、数年前くらいから「室内の臭いを消す+香り付け」という傾向が出てきた。
ルームフレグランスそのものも、様々な形態の物が登場し、インテリアの一部としておいても違和感のないモノが多くなった。
とは言うものの、「強い臭い」と言うよりも、「ほのかな香り」が主流で、お香を焚くと言うのもその延長だったと思う。
それは、洗濯洗剤や柔軟剤についても同じだった。

それが「ダウニー」という、海外で人気の柔軟剤がドラッグストアなどで発売されると、瞬く間に大ヒットとなった。
その背景にあるのはなんだろう?と考えると、もしかしたら「部屋干し」の一般化によるトコロが大きいのかも知れない、と思う様になった。
いわゆる「雑巾臭」と呼ばれる生乾きの臭いで、「部屋干し向け洗剤」を使っても、この臭いが付いてしまうのだ。
仕事を持っている人にとって、朝洗濯をするというコトは難しい。
また、花粉の季節であれば例え朝洗濯ができても、外干しするコトには抵抗がある。
今現在、外干しをする人と部屋干しをする人と比較すると、部屋干し派という人が多いのでは?

その様なコトを考えてみると、「強い香りの柔軟剤」というのは生活スタイルと社会環境の変化によるトコロが大きいのかもしれない。

柔軟剤の臭いで気分が悪くなった、と言うのは初めての経験で、辛かった。