日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

ロングセラーと人

2010-03-23 08:41:56 | ビジネス
昨夜「カンブリア宮殿」を見ていた。
それは、「ロングセラー」に付いての特集だったからだ。
今のように「モノが売れない」時代にあっても、確実に売れつづけている商品がある。
そのような商品を一つでもある企業は、とても強い。
中には、一つの商品だけを作り続け100年を越す実績を持つ企業すらある。
企業規模は決して大きくはないが、その分野においては他の追従を許さないほどの市場占有をし続けている・・・そんな企業の経営者へのインタビューと言うコトで、とても興味深く番組を見ていたのだ。

そして番組を見ていて、気が付いたことがある。
それは、常に「人が中心にいる」と言うコトだった。
「人が中心にいる」と言っても、「企業内の人が中心にいる」のではない。
「お客様・生活者が中心にいる」と言うコトだ。

ある企業は、生活者の味覚の変化を敏感に感じ取ろうと商品開発者自らが、売りの現場に出かけていく。
もちろん、企業で行う市場調査の内容にも敏感だ。
その市場調査の内容も、売上が云々と言う内容ではない。
その意味で「商品を磨く」という意識をもっているような感じだ。
市場に出てから半世紀以上経た商品を磨きつづけるコトで、ロングセラー商品となっているのだ。

それだけではない。
「使う人を思う」コトが、ロングセラー商品を生み出している場合もある。
その商品を使う人が使いやすい大きさ、動き、求めるもの・・・そういった、想像性と試行錯誤の上で作り上げられた商品は、半世紀どころか一世紀と言う時間を超えても、多くの人から支持をされ、場合によっては海外の人にも受け入れられ、売れ続けている。

番組を通じて思ったことなのだが、10年一昔と言うなら四昔位前の日本の企業の多くは、そんな「人を思う商品づくり」が得意だったような気がする。
入院中、たまたまドラッカーを特集した番組を見たのだが、日本の企業人の多くが今でもドラッカーの言葉に共感するのは、「人を思う商品づくり」に長けていただけではなく、それがモノづくりの基本として、無意識の中にあったからではないだろうか?
「人から利益を掻っ攫う」のではなく「人の益を考えるコトが、事業に携わる人たち(=従業員)の益となり、それが企業の益となる」というコトを、愚直に求め、し続けることがロングセラーをつくり出している・・・そんな気がしたのだった。
そしてそれは、今の多くの企業が忘れそうになっているコトのような気がしたのだった。