日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

社会変化と共に変わる市場

2010-03-03 22:02:35 | マーケティング
朝日新聞のWEBサイトを見ていたら、苦戦する自販機 清涼飲料、工場やオフィスで販売急減と言う記事があった。
個人的には余り実感がなかったのだが、記事にあるように経済状況の悪化のために、大幅な人員削減や事業所の統廃合などで利用者が減ってきていると言うのは、事実だろう。

しかし、それが大きな理由だとも思えないのだ。
むしろ、生活者のライフスタイルの変化なのでは?と言う気がする。
昨年のヒット商品に「お弁当箱」があった。
「弁当男子」なるコトバも生まれたのは、ご存知の通りだ。
そして「弁当男子」は、「水筒持参派」でもあるようだ。
事実、昨年の「お弁当箱」人気と共に水筒の売上も好調だった。
お弁当を持参しなくても、水筒だけを持参していると言う人も多いのではないだろうか?

彼ら・彼女たちが「水筒を持参する理由」の一つは、「経済的」という点がある。
ペットボトル1本あたりのお金は150円程度でも、毎日自販機の清涼飲料水を買うとなると150円×20日で3,000円になる。
節約志向が高まっているコトを考えれば、違った使い道を考えたくなる金額だし、毎日のようにペットボトルのゴミを出すことにも、抵抗感があるような気がする。
何より、朝買ったペットボトルの清涼飲料水は夏はすぐにぬるくなり、冬はすぐ冷めてしまう。
いつも適温で飲みたいと思えば、水筒の方が都合がよいはずだ。
何より、ゴミを出さない分「エコでエコノミー」と言える。
もちろん、水筒代わりに使用済みペットボトルを再利用して、使っている方も多いと思う。
水筒に比べ、軽いからだ。

この「水筒持参派」を意識した、商品づくりも盛んになってきている点も注目しておきたい。
例えば、最近のバッグには「ペットボトルホルダー」のあるデザインのバッグが増えてきている。
最初から「ペットボトルや水筒を持ち歩く」というコトを想定して、作っているのだ。
これは婦人物に限ったことではない。

とすれば、記事にあるような社会の経済的変化よりも、生活者の経済的変化(=節約志向)や生活そのものの志向の変化によるところが大きいような気がするのだ。

だからと言って、清涼飲料水の自動販売機の市場がなくなるとは思わない。
旅行先などで、急に水が飲みたい!と思ったとき自販機は便利だし、何よりも水筒では持ち歩く量が限られる割に、重たさを感じる。
そのような場面では、自販機はとても心強いモノだといえる。

これから先は、「自販機があって便利な場所」をもっと突き詰めて、設置されていくのではないだろうか?
その中にオフィスビルが上位にあるとは、余り思えないのだが・・・。