日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

企業防衛?事業協力?株式の持ち合い

2007-07-24 22:51:20 | ビジネス
21日の日経新聞他にブラザーが株式持ち合い、シチズンなど3社とという記事が掲載されていた。
そして今日、物流大手3社が株持ち合い 日通、ヤマト、セイノーという記事が、朝日新聞のWEBサイト他に、掲載されている。
21日の記事と今日の記事の共通となる言葉は、「株式の持ち合い」だ。
しかし、その目的・内容はまったく違う。

今日の「物流大手3社の株式の持ち合い」というのは、企業防衛というよりも互いに持っている事業ネットワークや、得意分野を補完しあうことで業界全体を発展させていく、という意味合いが強い。
例えば、「クロネコヤマト」ことヤマト運輸は、個人向け物流「宅配」については圧倒的な強さを持っている。
最近では、「宅配」の機動力を使って「クロネコメール便」という、通販カタログなどの印刷物の取り扱いもはじめている。
それに対し日通は、国内外の航空貨物など。
「セイノー」こと西濃運輸は、倉庫管理~陸運全般が強みといえるだろう。
株式を持ち合うことで、「物流」という業務を互いに協力しあい、10月に民営化される郵便事業会社や海外のUPSやFedExに対抗しようという考えだ。

それに対して、ブラザー工業・シチズン他3社の株式の持ち合いは、異業種の「株式の持ち合い」だ。
これらの企業に共通していることは、スティールパートナーズが筆頭株主となっていることだ。
互いに株式を持ち合うことで、スティールパートナーズの影響力を抑え、将来的には「ハゲタカ・ファンド」を排除していきたいという考えが伺える。
この策が、海外からの優良投資ファンドからどのように受け止められるのかは、分からないが、企業防衛という意味では「互いに安定株主」となることが最大のポイントなのだろう。
もちろん、異業種が株式を互いに持ち合うことをキッカケに、事業アイディアのコラボレーションが生まれるかも知れない。
だが、それはあくまでも「副産物」としてのことだろう。

「株式を公開する」というコトは、どのような人・企業(投資会社を含む)が関わってくるのか分からないという、一種のリスクを負うということだ。
怖がってばかりでは、企業の発展は難しい。
もしかしたら「企業とは何か?」という存在意味を、企業自身も株主も問われる時代になってきているのかも知れない。