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対極のファッション志向が融合するのか?-ユニクロとバーニーズ-

2007-07-06 16:07:41 | ビジネス
今日の日経新聞WEBサイト他に、ファーストリテイリング、バーニーズ買収提案・1100億円でという記事が掲載されている。
ご存知のとおり、ファーストリテイリングは「ユニクロ」を展開している、アパレル企業だ。
そして「ユニクロ」といえば、お手ごろ価格のカジュアルウェアというのが定番だ。
最近は、国内外の若手デザイナーを起用したりして、新しいブランド展開を模索しているという印象があったのだが、それはあくまでも「お試し」的な印象がある。

それに対し「バーニーズ」といえば、「ニューヨークのファッションピープル御用達」と言われるくらい、オシャレな服飾専門百貨店だ。
もちろん、高級服飾を扱っているだけではなく、その店舗ディスプレイの良さでも有名だ。
今ではすっかり定着した「セレクトショップ」のような形態をはじめたのは、バーニーズだといわれている。
カリスマバイヤーといわれた伊勢丹の藤巻幸夫さん(現イトーヨーカ堂取締役)が、伊勢丹時代に日本の百貨店ではじめて「セレクトショップ」という概念を打ち出したが、それはバーニーズに研修に行っていたときに学んだといわれている。

他にも、ニューヨークで活躍するデザイナーの登竜門的存在だと言われている。
ヨーロッパのデザイナーの多くが、(デザイン学校卒業後)メゾンと呼ばれるオートクチュールハウスなどでアシスタントを経験し、独立をしたりメゾンを引き継ぎ、デザイナーとしての地位を確立するのが一般的だ。
ところが、ニューヨークで活躍しているデザイナーの多くは、百貨店バイヤーを経験し、独立している場合が多いと記憶している。
ファッションビジネスのベースには、バーニーズのような服飾専門百貨店の存在が大きいとも言える。

今回、ユニクロがバーニーズを買収したい背景には、既に進出しているニューヨークをはじめとした海外での足固めということもあるのだろう。
そして何よりも、「ファッションビジネスの最先端を知りたい」という、考えもあるのではないだろうか?
事実、現在ユニクロが展開している、新人デザイナーなどは「ある種のパワフルさ」が感じられない。
むしろ新人デザイナー発掘という点では、バーニーズのほうが一日の長がある。
その「バーニーズの感性」も取り込みたいのかも知れない。

ただ、今回の買収はユニクロ側にとっては、大きなリスクがあるようにも感じる。
なぜなら、あまりにも志向しているファッションスタイルが違うからだ。
異質な企業文化、思考を持つ二つの企業が融合できるのか?
気になるところだ。