朝日新聞ブログ「ベルばらkidsぷらざ」で連載中の「世界史レッスン」第76回目の今日は、「カラマーゾフ兄弟の父は実在した?」⇒ http://bbkids.cocolog-nifty.com/bbkids/2007/08/post_cfc5.html#more
領地の農奴たちに虐殺された、元医師の地主にまつわるエピソードについて書きました。
ところでドストエフスキー最高傑作とされる『カラマーゾフの兄弟』だが、三島由紀夫は次のように言っている、
「『カラマーゾフの兄弟』のような、おそろしい人間精神の深淵を切り開いて見せた小説は、とても引退した老政治家が炉辺で読むには適しない。それは青年を悩ませ、苦しめ、あるいは鼓舞するような文学なのである。そしてかつてハイネがいみじくも言ったように、青年を決して鼓舞しないゲーテのような文学は、いかに古典的に完成していても不毛にすぎない、という見方が生まれてくる」
確かにドストエフスキーは青年の、それも男性向きの小説のように思われる。少なくともわたしには読むのはかなり苦痛だった。長すぎ、迂遠すぎて・・・
するとモームが『読書案内』にこんなことを書いていた。
「人間の魂に可能な悲劇的冒険と破壊的経験を、これほど同情をもって、またこれほど力強く取り扱った作品をわたしは他に知らない」
絶賛しているのだが、にもかかわらず、
「終わりの数章は、倦むところを知らぬ読者でもなければ、とうてい完全には読めるものではない。わたし自身のことを言えば、法廷の場面で弁護士に述べさせている論告など、精読する気にはとうていなれず、ざっと目を通しただけであった」
「人々の好みが変わったため、優れた書物であっても、そのある部分は、現代の読者にとっては退屈でしかない」
「とばして読む権利を用いた方が、いっそう楽しく読めるはずだ」
説得力あると思いませんか?
☆『怖い絵』、出版から1ヶ月。おかげさまで重版が決まりました。どうもありがとうございます♪
☆☆kids担当編集者Oさんが、すてきなコピーを考えてくれました。「この夏ドキドキの、ちょっと変わった名画ガイドブック」♪
①ドガ「エトワール、または舞台の踊り子」
②ティントレット「受胎告知」
③ムンク「思春期」
④クノップフ「見捨てられた街」
⑤ブロンツィーノ「愛の寓意」
⑥ブリューゲル「絞首台の上のかささぎ」
⑦ルドン「キュクロプス」
⑧ボッティチェリ「ナスタジオ・デリ・オネスティの物語」
⑨ゴヤ「我が子を喰らうサトゥルヌス」
⑩アルテミジア・ジェンティレスキ「ホロフェルネスの首を斬るユーディト」
⑪ホルバイン「ヘンリー8世像」
⑫ベーコン「ベラスケス<教皇インノケンティウス10世像>による習作」
⑬ホガース「グラハム家の子どもたち」
⑭ダヴィッド「マリー・アントワネット最後の肖像」
⑮グリューネヴァルト「イーゼンハイムの祭壇画」
⑯ジョルジョーネ「老婆の肖像」
⑰レーピン「イワン雷帝とその息子」
⑱コレッジョ「ガニュメデスの誘拐」
⑲ジェリコー「メデュース号の筏」
⑳ラ・トゥール「いかさま師」
領地の農奴たちに虐殺された、元医師の地主にまつわるエピソードについて書きました。
ところでドストエフスキー最高傑作とされる『カラマーゾフの兄弟』だが、三島由紀夫は次のように言っている、
「『カラマーゾフの兄弟』のような、おそろしい人間精神の深淵を切り開いて見せた小説は、とても引退した老政治家が炉辺で読むには適しない。それは青年を悩ませ、苦しめ、あるいは鼓舞するような文学なのである。そしてかつてハイネがいみじくも言ったように、青年を決して鼓舞しないゲーテのような文学は、いかに古典的に完成していても不毛にすぎない、という見方が生まれてくる」
確かにドストエフスキーは青年の、それも男性向きの小説のように思われる。少なくともわたしには読むのはかなり苦痛だった。長すぎ、迂遠すぎて・・・
するとモームが『読書案内』にこんなことを書いていた。
「人間の魂に可能な悲劇的冒険と破壊的経験を、これほど同情をもって、またこれほど力強く取り扱った作品をわたしは他に知らない」
絶賛しているのだが、にもかかわらず、
「終わりの数章は、倦むところを知らぬ読者でもなければ、とうてい完全には読めるものではない。わたし自身のことを言えば、法廷の場面で弁護士に述べさせている論告など、精読する気にはとうていなれず、ざっと目を通しただけであった」
「人々の好みが変わったため、優れた書物であっても、そのある部分は、現代の読者にとっては退屈でしかない」
「とばして読む権利を用いた方が、いっそう楽しく読めるはずだ」
説得力あると思いませんか?
☆『怖い絵』、出版から1ヶ月。おかげさまで重版が決まりました。どうもありがとうございます♪
☆☆kids担当編集者Oさんが、すてきなコピーを考えてくれました。「この夏ドキドキの、ちょっと変わった名画ガイドブック」♪
①ドガ「エトワール、または舞台の踊り子」
②ティントレット「受胎告知」
③ムンク「思春期」
④クノップフ「見捨てられた街」
⑤ブロンツィーノ「愛の寓意」
⑥ブリューゲル「絞首台の上のかささぎ」
⑦ルドン「キュクロプス」
⑧ボッティチェリ「ナスタジオ・デリ・オネスティの物語」
⑨ゴヤ「我が子を喰らうサトゥルヌス」
⑩アルテミジア・ジェンティレスキ「ホロフェルネスの首を斬るユーディト」
⑪ホルバイン「ヘンリー8世像」
⑫ベーコン「ベラスケス<教皇インノケンティウス10世像>による習作」
⑬ホガース「グラハム家の子どもたち」
⑭ダヴィッド「マリー・アントワネット最後の肖像」
⑮グリューネヴァルト「イーゼンハイムの祭壇画」
⑯ジョルジョーネ「老婆の肖像」
⑰レーピン「イワン雷帝とその息子」
⑱コレッジョ「ガニュメデスの誘拐」
⑲ジェリコー「メデュース号の筏」
⑳ラ・トゥール「いかさま師」
でも、ロシアの小説って、そもそも「長く、暗く、過酷な冬」の時間潰し的存在のような気もするので、それはそれでOKなのかな、って気もします。。
確かにあの最後の法廷シーンの陳述は長々しくて、読んでいるうち眠くなってしまった。
おまけに新しいことが書いてあるわけではなくて、それまでと同じ繰り返しなんですから。わたくしもとばし読みすればよかったです。
法廷シーン、無意味に長いですよね~、やっぱり。ロシア映画にもときどきそれが感じられますが・・・
いつも楽しく拝読させていただいております。遅くなりましたが、リンクさせていただいてます。
私も最初の章くらいで、読めませんでした。
最後まで読破できなかったので、飛ばし読みだったらいけるかもと
勉強になります。
わたしもロシア文学で唯一2度も読んで面白かったのは、ゴーゴリ「死せる魂」だけでした。でも好みは変わるので、今後どうなるかわかりませんが。
彼の説明では、祈りと集中ということに関して、人間の生理にかなうように構成されているということでしたが。近代合理主義とは違った「文法」がロシアにはあるんですね。「うひゃ」と驚くことばかり。
「カラマーゾフ」は亀山郁夫氏の新訳が評判なので、
私も再読してみようと思ってます。
そうしながらも、あるところで、妙に魂を揺さぶられるのです。それがなににもかえがたく、日記・書簡のたぐいを除き、全部読みました。
再読したいと思っていますが、もう「飛ばし読みする元気もない」というところでしょうか。
最短3時間、そしてうねるようにクライマックスへ、というとまるでヴァーグナーですね。眠くなるような、恍惚を感じるような・・・
あ、でも仏教の声明(しょうみょう)も似ているかも。長さとしつこさでは負けるかな?
パセリさん、
ドストエフスキー・ファンなんですね。長さに辟易しつつ「魂を揺さぶられる」箇所があるから、やみつきになるということでしょうか。全部読んだというのは、凄い!パセリさんの人生に、ぐっさり突き刺さっているということですね。