年々政治色が強くなってつまらなくなる一方のアメリカ映画。今年のアカデミー賞授賞式も視聴率が爆下がりだとか。当たり前だよな~と興味もなかったら、アンソニー・ホプキンスが『ファザー』で受賞とのニュース。
どんな映画だろうかと検索してみると、なんと! 2年前に観たお芝居の映画化でした。橋爪功さんが舞台で演じた役をA・ホプキンスが演じたというので、今から観るのが楽しみです。
掛値なくすばらしい台本でしたよ。観てすぐブログに書きましたので、再録しますね。
↓
「認知症が見せる世界ーー『Le Père 父』を観劇して」(2019年3月のブログ)
先月、東京芸術劇場で『Le Père 父』を見てきました。フランスでモリエール賞を受賞した作品です(フロリアン・セレール作、ラデスラス・ショラー演出)
80歳で一人暮らしの父のもとへ、娘が駆けつけるところから幕があきます。通いの看護婦が腕時計を盗んだとクビにして騒ぎになったためでした。
認知症について少しでも知っている人なら、「ものを盗まれた」と言い張るのが認知症の始まりだというのはご存じと思います。年をとるということは、自分の身の回りからいろんなものが失われ(若さ、生きがい、友人、好奇心、喜び、エトセトラ、エトセトラ)、本人にしてみればそれは盗難にあったも同じなのです。
この戯曲は構成が実に巧みで、認知の父が感じている世界と現実の世界、そして認知の父が思っている時系列と現実の時系列を、いっさい説明抜きで混然としたまま見せてゆきます。
最初は何が何だかわかりません。娘すら顔が変わる(別の女優になる)。父にそう見えるからです。見たこともない男が我が物顔で部屋にふんぞり返り、娘の婿だと言うが、父には初めて見る男です(これまた別の男優になる)。
でも次第にそうした断片をつなぎあわせ、観客は現実を組み立ててゆく。そうするうち、ユーモアも威厳もあった父は、世界の歪みにいらだちを募らせ、辛辣な嫌な人間になり、可愛いい少年のようになり、無力な赤ん坊になってゆく。温かく居心地のよかった家が、いっさい家具のない無機質な空間になり、最後は病室になって。。。
主演の橋爪功さんの持ち味が活き、笑いと涙と、最後は苦い苦い現実に打ちのめされるような芝居でした。観客は当然ながら、中高年一色。途中ですすり泣きが何度か聞こえたし、主人公が手荒に扱われるシーンでは、劇場中が一瞬凍りつき、「アッ」という声なき悲鳴がそこここから感じられるほどでした。
わたしが個人的に一番気の毒に思えたのは、今井朋彦さんが演じた娘婿。非常に冷静で物静かな男性。妻を愛しているので、彼女の父親を引き取って暮らす選択まで受け入れ、認知による異常な行動にも「病気なのだから」と妻をなだめたりもします。
でもそういう穏やかな人間でも、ついに我慢の限界がくる。そんな彼の爆発は妻から「怖い」と言われて夫婦関係は終わるのです。妻のほうは血のつながった父に対する長い成育期間という情愛があるけれど、夫にそれは無いのだから、同じように感じろというほうが無理なのに。。。
というより、この夫は、妻が自分より父を選んでいると感じられたのでしょう。難しい問題です。これからこんな事例ばかり増えてゆくのかなと思うと、暗澹たる高齢化社会です。
☆朝日新聞デジタル「心に残る旅」に登場しております。「中野京子のスペイン 『カルメン』の見方を変えたスペイン』 お読みくださいませ。
https://www.asahi.com/and_travel/20210428/332914/
☆発売が遅れていましたが、CD「怖いクラシック」がやっと出ました。
ぴあ「クラシック新発見」に取り上げられたインタビュー記事をお読みくださいまし。
https://lp.p.pia.jp/shared/cnt-s/cnt-s-11-02_2_13018d5e-eee5-411d-bf58-3a2b68c353a9.html
☆☆講演予定
・6月21日 「九州市民大学」福岡にて
・7月17日 「愛知サマーセミナー」名古屋にて
・11月17日 「七洋会」鉄鋼会館にて(関係者のみのご参加です)
☆最新刊CD「怖いクラシック」(SHM-CD)
https://amzn.to/3sCCg6d(ここをクリック)
href="https://www.amazon.co.jp/gp/product/B08WS9H3KX/ref=as_li_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=B08WS9H3KX&linkCode=as2&tag=hanatumuhiton-22&linkId=ce3729d5fbf731acd133a3534a81690c">
☆『異形のものたちー絵画のなかの「怪」を読む』(NHK新書)2刷になりました🎵
https://amzn.to/3fLXhZK(ここをクリック)
href="https://www.amazon.co.jp/gp/product/414088651X/ref=as_li_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=414088651X&linkCode=as2&tag=hanatumuhiton-22&linkId=42b9f0858632ed4fdc3d642f2a9ae823">
☆大人のための「怖いクラシックーオペラ篇」 (角川文庫)
https://amzn.to/3sGFMNj(ここをクリック)
href="https://www.amazon.co.jp/gp/product/4041108470/ref=as_li_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4041108470&linkCode=as2&tag=hanatumuhiton-22&linkId=e3d4a997a0238f419ffecc15f90c2608">
☆「そして、すべては迷宮へ」 (文春文庫)
アマゾンへはここをクリック→ https://www.amazon.co.jp/gp/product/4167916665/
☆「運命の絵 なぜままならない」(文藝春秋)どうぞお読みくださいまし~🎵
アマゾンへはここをクリック→ https://www.amazon.co.jp/dp/4163912916/hanatumuhiton-22/
href="https://www.amazon.co.jp/gp/product/4163912916/ref=as_li_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4163912916&linkCode=as2&tag=hanatumuhiton-22&linkId=349411c212d4c6e3b93f78fba3f39908"> width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important;
margin:0px !important;" />
☆「中野京子の 西洋奇譚」(中央公論新社) 2刷になりました🎵
アマゾンへのリンク
https://www.amazon.co.jp/gp/product/412005330X/hanatumuhiton-22/
画像
href="https://www.amazon.co.jp/gp/product/412005330X/ref=as_li_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=412005330X&linkCode=as2&tag=hanatumuhiton-22&linkId=97a418927c065d61029daae8a8d37feb"> width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important;
margin:0px !important;" />
☆「新 怖い絵」(角川文庫)解説は佐藤可士和氏。
たまたま本作中にペストを扱っています。天使が悪魔を引き連れて家々を回り、死者を決めていたという、まことに怖い絵です。
画像ではなく、赤文字をクリックください。アマゾンへとびます。
https://www.amazon.co.jp/gp/product/4041089808/ref=as_li_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4041089808&linkCode=as2&tag=hanatumuhiton-22&linkId=cdbb9aef2b9d46a57600fd712ae8da9c"> href="https://www.amazon.co.jp/gp/product/4041089808/ref=as_li_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4041089808&linkCode=as2&tag=hanatumuhiton-22&linkId=cdbb9aef2b9d46a57600fd712ae8da9c"> width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important;
margin:0px !important;" />
☆「画家とモデル 宿命の出会い』(新潮社) 4刷になりました🎵
画像ではなく赤い文字のところをクリックしてくださるとアマゾンへ飛びます(このごろ操作がうまくゆかず。。。)
https://www.amazon.co.jp/gp/product/4103532319/ref=as_li_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4103532319&linkCode=as2&tag=hanatumuhiton-22&linkId=d8b23b811bcca24d6c925d6a0697cbdf"> href="https://www.amazon.co.jp/gp/product/4103532319/ref=as_li_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4103532319&linkCode=as2&tag=hanatumuhiton-22&linkId=d8b23b811bcca24d6c925d6a0697cbdf"> width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important;
margin:0px !important;" />
☆「運命の絵」(文春文庫)https://www.amazon.co.jp/gp/product/416791431X/hanatumuhiton-22/(ここをクリック)
表紙は、
href="https://www.amazon.co.jp/gp/product/416791431X/ref=as_li_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=416791431X&linkCode=as2&tag=hanatumuhiton-22&linkId=1a64a4216c668e0d2fcf3a0014387dab"> width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important;
margin:0px !important;" />
☆『残酷な王と悲しみの王妃2』(集英社文庫)2刷になりました🎵
https://www.amazon.co.jp/gp/product/4087440613/hanatumuhiton-22/ (ここをクリック)
href="https://www.amazon.co.jp/gp/product/4087440613/ref=as_li_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4087440613&linkCode=as2&tag=hanatumuhiton-22&linkId=68b294dd5af64dfa168b52ae07023480"> width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important;
margin:0px !important;" />
☆「もっと知りたい「怖い絵」展」(KADOKAWA)2刷になりました♪
https://www.amazon.co.jp/gp/product/4041087511/hanatumuhiton-22/
http://www.sbsgakuen.com/Detail?gakuno=2&kikanno=197346
☆「欲望の名画」(文春新書)3刷になりました🎵
name="amazletlink" target="_blank"> alt="欲望の名画 (文春新書)" style="border: none;" />
☆「運命の絵 もう逃れられない」(文藝春秋) 2刷になりました🎵 「青い日記帳」さんのご紹介はこちら
⇓
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=5375
友人の時代小説作家千野隆司さんのブログでもご紹介いただきました。こちら
⇓
http://blog.livedoor.jp/chino17jidai/archives/52106051.html
name="amazletlink" target="_blank"> alt="中野京子と読み解く 運命の絵 もう逃れられない" style="border: none;" />
☆「怖いへんないきものの絵」(幻冬舎)
name="amazletlink" target="_blank"> alt="怖いへんないきものの絵" style="border: none;" />
☆「怖い橋の物語」(河出文庫)2刷になりました🎵
name="amazletlink" target="_blank"> alt="怖い橋の物語" style="border: none;" />
☆「名画の謎 対決篇」(文春文庫)2刷になりました🎵
target="_blank"> style="border: none;" />
☆「美貌のひと」(PHP新書) 7刷になりました🎵
ルーベンス展公式HPで担当のSさんによる「週末読書」でとりあげていただきました。お読みくださいね~
⇓
https://twitter.com/hashtag/美貌の人?src=hash
name="amazletlink" target="_blank"> alt="美貌のひと 歴史に名を刻んだ顔 (PHP新書)" style="border: none;" />
クリエイティブディレクター・佐藤可士和氏がご紹介くださいました。
⇓
https://www.sankei.com/life/news/181006/lif1810060030-n1.html
☆「名画の謎 陰謀の歴史篇」(文春文庫) 4刷になりました🎵
name="amazletlink" target="_blank"> alt="名画の謎 陰謀の歴史篇 (文春文庫 な)" style="border: none;" />
☆アートギャラリー ヌード~かぐわしき夢」(集英社)
name="amazletlink" target="_blank"> alt="ART GALLERY テーマで見る世界の名画 5 ヌード かぐわしき夢 (ART GALLERYテーマで見る世界の名画 5)" style="border: none;" />
☆「別冊NHK100分de名著 読書の学校 中野京子 特別授業 『シンデレラ』 (教養・文化シリーズ) 2刷になりました🎵 「ジュニアエラ」で紹介しました→https://dot.asahi.com/dot/2018011700013.html?page=1
name="amazletlink" target="_blank"> alt="別冊NHK100分de名著 読書の学校 中野京子 特別授業 『シンデレラ』 (教養・文化シリーズ)" style="border:
none;" />
☆「名画で読み解く イギリス王家12の物語」(光文社新書)9刷になりました🎵
name="amazletlink" target="_blank"> alt="名画で読み解く イギリス王家12の物語 (光文社新書)" style="border: none;" />
☆『怖い絵のひみつ』(KADOKAWA) 4刷になりました🎵
name="amazletlink" target="_blank"> alt="怖い絵のひみつ。 「怖い絵」スペシャルブック" style="border: none;" />
☆『中野京子と読み解く運命の絵」(文藝春秋) 3刷になりました🎵
name="amazletlink" target="_blank"> alt="中野京子と読み解く 運命の絵" style="border: none;" />
☆「新 怖い絵」(角川書店) 10刷になりました🎵
target="_blank">
☆「名画と読むイエス・キリストの物語」(文春文庫)3刷になりました🎵
時代小説作家の千野隆司氏がHPで紹介してくださいました♪
⇓
http://blog.livedoor.jp/chino17jidai/archives/52067341.html#comments
☆「美術品でたどる マリー・アントワネットの生涯」(NHK新書)
☆「名画の謎 旧約・新約聖書篇」(文春文庫)4刷になりました🎵
『弐代目 青い日記帳』さんがさっそく紹介してくださいました♪ 3月6日のページです。
http://bluediary2.jugem.jp/
☆「残酷な王と悲しみの王妃 2」(集英社)2刷になりました🎵
担当者さんが紹介してくれました♪
↓
http://renzaburo.jp/shinkan_list/temaemiso/151023_book01.html
☆『「絶筆」で人間を読む - 画家は最後に何を描いたか』(NHK出版新書)
4刷になりました♪
☆「中野京子と読み解く 名画の謎 対決篇」(文藝春秋)3刷になりました🎵
<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4163903089/hanatumuhiton-22/ref=nosim/" name="amazletlink" target="_blank">
「青い日記帳」さんが紹介してくださいました。素敵な紹介で嬉しいです♪
→http://bluediary2.jugem.jp/?eid=4050
☆文藝春秋WEBサイトでは、短いですけどわたしのインタビュー記事も載りました。お読みくださいね!→http://hon.bunshun.jp/articles/-/3935
☆「名画の謎 ギリシャ神話篇」(文春文庫) 5刷になりました🎵
☆「愛と裏切りの作曲家たち 」(光文社知恵の森文庫)
☆「マンガ西洋美術史03」(美術出版)
☆「マンガ西洋美術史02」(美術出版社)
☆「危険な世界史 運命の女篇」(角川文庫) 13刷になりました。
☆「マンガ西洋美術史01」監修(美術出版社)
☆「ヴァレンヌ逃亡」(文春文庫)2刷になりました🎵
☆「名画で読み解く ロマノフ家12の物語」(光文社新書)8刷になりました♪
☆「名画に見る 男のファッション」(角川書店)
☆「橋をめぐる物語」(河出書房)
☆「中野京子と読み解く 名画の謎 陰謀の歴史篇」(文藝春秋) 3刷になりました♪
☆「残酷な王と悲しみの王妃」(集英社文庫)7刷になりました♪
☆「怖い絵」(角川文庫) 単行本に新しく書き下ろし2作を加え、全22作品です。16刷になりました🎵
☆「はじめてのルーヴル」(集英社)3刷になりました🎵
☆「名画の謎 旧約・新約聖書篇」(文藝春秋) 5刷になりました🎵
☆「怖い絵 死と乙女篇」(角川文庫) 13刷になりました🎵
☆最新刊「名画と読む/イエス・キリストの物語」(大和書房) 3刷になりました🎵
☆「危険な世界史 運命の女篇」(角川書店) 10刷になりました🎵
☆「危険な世界史 血族結婚篇」(角川文庫)21刷になりました🎵
☆「怖い絵 泣く女篇」(角川文庫)~「怖い絵2」の文庫化~ 20刷になりました🎵
☆『中野京子と読み解く 名画の謎 ギリシャ神話篇』(文藝春秋) 7刷になりました🎵
☆「印象派で「近代」を読む ~光のモネからゴッホの闇へ~」(NHK新書)8刷になりました♪
☆「『怖い絵』で人間を読む 」(NHK出版生活人新書) 18刷になりました🎵
☆光文社新書「名画で読み解く ブルボン王朝12の物語」12刷になりました♪
☆「名画で読み解く ハプスブルク家12の物語」(光文社新書) 29刷になりました🎵
☆「芸術家たちの秘めた恋 ―メンデルスゾーン、アンデルセンとその時代 (集英社文庫)
2刷になりました🎵
☆「おとなのためのオペラ入門」(講談社+α文庫) 3刷になりました🎵
☆「恐怖と愛の映画102」(文春文庫)
☆「歴史が語る 恋の嵐」(角川文庫)。「恋に死す」の文庫化版。 9刷になりました。
^^^^^^^^^^^^^^^^
☆以下の単行本は絶版としました。文庫本をお求めくださいまし~
☆「怖い絵」16刷中。
☆「怖い絵2」、9刷中。
☆「怖い絵3」 6刷中。 https://www.asahiculture.jp/course/shinjuku/6950ee99-486d-569d-45f3-5f19411e605f
どんな映画だろうかと検索してみると、なんと! 2年前に観たお芝居の映画化でした。橋爪功さんが舞台で演じた役をA・ホプキンスが演じたというので、今から観るのが楽しみです。
掛値なくすばらしい台本でしたよ。観てすぐブログに書きましたので、再録しますね。
↓
「認知症が見せる世界ーー『Le Père 父』を観劇して」(2019年3月のブログ)
先月、東京芸術劇場で『Le Père 父』を見てきました。フランスでモリエール賞を受賞した作品です(フロリアン・セレール作、ラデスラス・ショラー演出)
80歳で一人暮らしの父のもとへ、娘が駆けつけるところから幕があきます。通いの看護婦が腕時計を盗んだとクビにして騒ぎになったためでした。
認知症について少しでも知っている人なら、「ものを盗まれた」と言い張るのが認知症の始まりだというのはご存じと思います。年をとるということは、自分の身の回りからいろんなものが失われ(若さ、生きがい、友人、好奇心、喜び、エトセトラ、エトセトラ)、本人にしてみればそれは盗難にあったも同じなのです。
この戯曲は構成が実に巧みで、認知の父が感じている世界と現実の世界、そして認知の父が思っている時系列と現実の時系列を、いっさい説明抜きで混然としたまま見せてゆきます。
最初は何が何だかわかりません。娘すら顔が変わる(別の女優になる)。父にそう見えるからです。見たこともない男が我が物顔で部屋にふんぞり返り、娘の婿だと言うが、父には初めて見る男です(これまた別の男優になる)。
でも次第にそうした断片をつなぎあわせ、観客は現実を組み立ててゆく。そうするうち、ユーモアも威厳もあった父は、世界の歪みにいらだちを募らせ、辛辣な嫌な人間になり、可愛いい少年のようになり、無力な赤ん坊になってゆく。温かく居心地のよかった家が、いっさい家具のない無機質な空間になり、最後は病室になって。。。
主演の橋爪功さんの持ち味が活き、笑いと涙と、最後は苦い苦い現実に打ちのめされるような芝居でした。観客は当然ながら、中高年一色。途中ですすり泣きが何度か聞こえたし、主人公が手荒に扱われるシーンでは、劇場中が一瞬凍りつき、「アッ」という声なき悲鳴がそこここから感じられるほどでした。
わたしが個人的に一番気の毒に思えたのは、今井朋彦さんが演じた娘婿。非常に冷静で物静かな男性。妻を愛しているので、彼女の父親を引き取って暮らす選択まで受け入れ、認知による異常な行動にも「病気なのだから」と妻をなだめたりもします。
でもそういう穏やかな人間でも、ついに我慢の限界がくる。そんな彼の爆発は妻から「怖い」と言われて夫婦関係は終わるのです。妻のほうは血のつながった父に対する長い成育期間という情愛があるけれど、夫にそれは無いのだから、同じように感じろというほうが無理なのに。。。
というより、この夫は、妻が自分より父を選んでいると感じられたのでしょう。難しい問題です。これからこんな事例ばかり増えてゆくのかなと思うと、暗澹たる高齢化社会です。
☆朝日新聞デジタル「心に残る旅」に登場しております。「中野京子のスペイン 『カルメン』の見方を変えたスペイン』 お読みくださいませ。
https://www.asahi.com/and_travel/20210428/332914/
☆発売が遅れていましたが、CD「怖いクラシック」がやっと出ました。
ぴあ「クラシック新発見」に取り上げられたインタビュー記事をお読みくださいまし。
https://lp.p.pia.jp/shared/cnt-s/cnt-s-11-02_2_13018d5e-eee5-411d-bf58-3a2b68c353a9.html
☆☆講演予定
・6月21日 「九州市民大学」福岡にて
・7月17日 「愛知サマーセミナー」名古屋にて
・11月17日 「七洋会」鉄鋼会館にて(関係者のみのご参加です)
☆最新刊CD「怖いクラシック」(SHM-CD)
https://amzn.to/3sCCg6d(ここをクリック)
href="https://www.amazon.co.jp/gp/product/B08WS9H3KX/ref=as_li_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=B08WS9H3KX&linkCode=as2&tag=hanatumuhiton-22&linkId=ce3729d5fbf731acd133a3534a81690c">
☆『異形のものたちー絵画のなかの「怪」を読む』(NHK新書)2刷になりました🎵
https://amzn.to/3fLXhZK(ここをクリック)
href="https://www.amazon.co.jp/gp/product/414088651X/ref=as_li_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=414088651X&linkCode=as2&tag=hanatumuhiton-22&linkId=42b9f0858632ed4fdc3d642f2a9ae823">
☆大人のための「怖いクラシックーオペラ篇」 (角川文庫)
https://amzn.to/3sGFMNj(ここをクリック)
href="https://www.amazon.co.jp/gp/product/4041108470/ref=as_li_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4041108470&linkCode=as2&tag=hanatumuhiton-22&linkId=e3d4a997a0238f419ffecc15f90c2608">
☆「そして、すべては迷宮へ」 (文春文庫)
アマゾンへはここをクリック→ https://www.amazon.co.jp/gp/product/4167916665/
☆「運命の絵 なぜままならない」(文藝春秋)どうぞお読みくださいまし~🎵
アマゾンへはここをクリック→ https://www.amazon.co.jp/dp/4163912916/hanatumuhiton-22/
href="https://www.amazon.co.jp/gp/product/4163912916/ref=as_li_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4163912916&linkCode=as2&tag=hanatumuhiton-22&linkId=349411c212d4c6e3b93f78fba3f39908"> width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important;
margin:0px !important;" />
☆「中野京子の 西洋奇譚」(中央公論新社) 2刷になりました🎵
アマゾンへのリンク
https://www.amazon.co.jp/gp/product/412005330X/hanatumuhiton-22/
画像
href="https://www.amazon.co.jp/gp/product/412005330X/ref=as_li_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=412005330X&linkCode=as2&tag=hanatumuhiton-22&linkId=97a418927c065d61029daae8a8d37feb"> width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important;
margin:0px !important;" />
☆「新 怖い絵」(角川文庫)解説は佐藤可士和氏。
たまたま本作中にペストを扱っています。天使が悪魔を引き連れて家々を回り、死者を決めていたという、まことに怖い絵です。
画像ではなく、赤文字をクリックください。アマゾンへとびます。
https://www.amazon.co.jp/gp/product/4041089808/ref=as_li_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4041089808&linkCode=as2&tag=hanatumuhiton-22&linkId=cdbb9aef2b9d46a57600fd712ae8da9c"> href="https://www.amazon.co.jp/gp/product/4041089808/ref=as_li_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4041089808&linkCode=as2&tag=hanatumuhiton-22&linkId=cdbb9aef2b9d46a57600fd712ae8da9c"> width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important;
margin:0px !important;" />
☆「画家とモデル 宿命の出会い』(新潮社) 4刷になりました🎵
画像ではなく赤い文字のところをクリックしてくださるとアマゾンへ飛びます(このごろ操作がうまくゆかず。。。)
https://www.amazon.co.jp/gp/product/4103532319/ref=as_li_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4103532319&linkCode=as2&tag=hanatumuhiton-22&linkId=d8b23b811bcca24d6c925d6a0697cbdf"> href="https://www.amazon.co.jp/gp/product/4103532319/ref=as_li_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4103532319&linkCode=as2&tag=hanatumuhiton-22&linkId=d8b23b811bcca24d6c925d6a0697cbdf"> width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important;
margin:0px !important;" />
☆「運命の絵」(文春文庫)https://www.amazon.co.jp/gp/product/416791431X/hanatumuhiton-22/(ここをクリック)
表紙は、
href="https://www.amazon.co.jp/gp/product/416791431X/ref=as_li_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=416791431X&linkCode=as2&tag=hanatumuhiton-22&linkId=1a64a4216c668e0d2fcf3a0014387dab"> width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important;
margin:0px !important;" />
☆『残酷な王と悲しみの王妃2』(集英社文庫)2刷になりました🎵
https://www.amazon.co.jp/gp/product/4087440613/hanatumuhiton-22/ (ここをクリック)
href="https://www.amazon.co.jp/gp/product/4087440613/ref=as_li_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4087440613&linkCode=as2&tag=hanatumuhiton-22&linkId=68b294dd5af64dfa168b52ae07023480"> width="1" height="1" border="0" alt="" style="border:none !important;
margin:0px !important;" />
☆「もっと知りたい「怖い絵」展」(KADOKAWA)2刷になりました♪
https://www.amazon.co.jp/gp/product/4041087511/hanatumuhiton-22/
http://www.sbsgakuen.com/Detail?gakuno=2&kikanno=197346
☆「欲望の名画」(文春新書)3刷になりました🎵
name="amazletlink" target="_blank"> alt="欲望の名画 (文春新書)" style="border: none;" />
☆「運命の絵 もう逃れられない」(文藝春秋) 2刷になりました🎵 「青い日記帳」さんのご紹介はこちら
⇓
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=5375
友人の時代小説作家千野隆司さんのブログでもご紹介いただきました。こちら
⇓
http://blog.livedoor.jp/chino17jidai/archives/52106051.html
name="amazletlink" target="_blank"> alt="中野京子と読み解く 運命の絵 もう逃れられない" style="border: none;" />
☆「怖いへんないきものの絵」(幻冬舎)
name="amazletlink" target="_blank"> alt="怖いへんないきものの絵" style="border: none;" />
☆「怖い橋の物語」(河出文庫)2刷になりました🎵
name="amazletlink" target="_blank"> alt="怖い橋の物語" style="border: none;" />
☆「名画の謎 対決篇」(文春文庫)2刷になりました🎵
target="_blank"> style="border: none;" />
☆「美貌のひと」(PHP新書) 7刷になりました🎵
ルーベンス展公式HPで担当のSさんによる「週末読書」でとりあげていただきました。お読みくださいね~
⇓
https://twitter.com/hashtag/美貌の人?src=hash
name="amazletlink" target="_blank"> alt="美貌のひと 歴史に名を刻んだ顔 (PHP新書)" style="border: none;" />
クリエイティブディレクター・佐藤可士和氏がご紹介くださいました。
⇓
https://www.sankei.com/life/news/181006/lif1810060030-n1.html
☆「名画の謎 陰謀の歴史篇」(文春文庫) 4刷になりました🎵
name="amazletlink" target="_blank"> alt="名画の謎 陰謀の歴史篇 (文春文庫 な)" style="border: none;" />
☆アートギャラリー ヌード~かぐわしき夢」(集英社)
name="amazletlink" target="_blank"> alt="ART GALLERY テーマで見る世界の名画 5 ヌード かぐわしき夢 (ART GALLERYテーマで見る世界の名画 5)" style="border: none;" />
☆「別冊NHK100分de名著 読書の学校 中野京子 特別授業 『シンデレラ』 (教養・文化シリーズ) 2刷になりました🎵 「ジュニアエラ」で紹介しました→https://dot.asahi.com/dot/2018011700013.html?page=1
name="amazletlink" target="_blank"> alt="別冊NHK100分de名著 読書の学校 中野京子 特別授業 『シンデレラ』 (教養・文化シリーズ)" style="border:
none;" />
☆「名画で読み解く イギリス王家12の物語」(光文社新書)9刷になりました🎵
name="amazletlink" target="_blank"> alt="名画で読み解く イギリス王家12の物語 (光文社新書)" style="border: none;" />
☆『怖い絵のひみつ』(KADOKAWA) 4刷になりました🎵
name="amazletlink" target="_blank"> alt="怖い絵のひみつ。 「怖い絵」スペシャルブック" style="border: none;" />
☆『中野京子と読み解く運命の絵」(文藝春秋) 3刷になりました🎵
name="amazletlink" target="_blank"> alt="中野京子と読み解く 運命の絵" style="border: none;" />
☆「新 怖い絵」(角川書店) 10刷になりました🎵
target="_blank">
☆「名画と読むイエス・キリストの物語」(文春文庫)3刷になりました🎵
時代小説作家の千野隆司氏がHPで紹介してくださいました♪
⇓
http://blog.livedoor.jp/chino17jidai/archives/52067341.html#comments
☆「美術品でたどる マリー・アントワネットの生涯」(NHK新書)
☆「名画の謎 旧約・新約聖書篇」(文春文庫)4刷になりました🎵
『弐代目 青い日記帳』さんがさっそく紹介してくださいました♪ 3月6日のページです。
http://bluediary2.jugem.jp/
☆「残酷な王と悲しみの王妃 2」(集英社)2刷になりました🎵
担当者さんが紹介してくれました♪
↓
http://renzaburo.jp/shinkan_list/temaemiso/151023_book01.html
☆『「絶筆」で人間を読む - 画家は最後に何を描いたか』(NHK出版新書)
4刷になりました♪
☆「中野京子と読み解く 名画の謎 対決篇」(文藝春秋)3刷になりました🎵
<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4163903089/hanatumuhiton-22/ref=nosim/" name="amazletlink" target="_blank">
「青い日記帳」さんが紹介してくださいました。素敵な紹介で嬉しいです♪
→http://bluediary2.jugem.jp/?eid=4050
☆文藝春秋WEBサイトでは、短いですけどわたしのインタビュー記事も載りました。お読みくださいね!→http://hon.bunshun.jp/articles/-/3935
☆「名画の謎 ギリシャ神話篇」(文春文庫) 5刷になりました🎵
☆「愛と裏切りの作曲家たち 」(光文社知恵の森文庫)
☆「マンガ西洋美術史03」(美術出版)
☆「マンガ西洋美術史02」(美術出版社)
☆「危険な世界史 運命の女篇」(角川文庫) 13刷になりました。
☆「マンガ西洋美術史01」監修(美術出版社)
☆「ヴァレンヌ逃亡」(文春文庫)2刷になりました🎵
☆「名画で読み解く ロマノフ家12の物語」(光文社新書)8刷になりました♪
☆「名画に見る 男のファッション」(角川書店)
☆「橋をめぐる物語」(河出書房)
☆「中野京子と読み解く 名画の謎 陰謀の歴史篇」(文藝春秋) 3刷になりました♪
☆「残酷な王と悲しみの王妃」(集英社文庫)7刷になりました♪
☆「怖い絵」(角川文庫) 単行本に新しく書き下ろし2作を加え、全22作品です。16刷になりました🎵
☆「はじめてのルーヴル」(集英社)3刷になりました🎵
☆「名画の謎 旧約・新約聖書篇」(文藝春秋) 5刷になりました🎵
☆「怖い絵 死と乙女篇」(角川文庫) 13刷になりました🎵
☆最新刊「名画と読む/イエス・キリストの物語」(大和書房) 3刷になりました🎵
☆「危険な世界史 運命の女篇」(角川書店) 10刷になりました🎵
☆「危険な世界史 血族結婚篇」(角川文庫)21刷になりました🎵
☆「怖い絵 泣く女篇」(角川文庫)~「怖い絵2」の文庫化~ 20刷になりました🎵
☆『中野京子と読み解く 名画の謎 ギリシャ神話篇』(文藝春秋) 7刷になりました🎵
☆「印象派で「近代」を読む ~光のモネからゴッホの闇へ~」(NHK新書)8刷になりました♪
☆「『怖い絵』で人間を読む 」(NHK出版生活人新書) 18刷になりました🎵
☆光文社新書「名画で読み解く ブルボン王朝12の物語」12刷になりました♪
☆「名画で読み解く ハプスブルク家12の物語」(光文社新書) 29刷になりました🎵
☆「芸術家たちの秘めた恋 ―メンデルスゾーン、アンデルセンとその時代 (集英社文庫)
2刷になりました🎵
☆「おとなのためのオペラ入門」(講談社+α文庫) 3刷になりました🎵
☆「恐怖と愛の映画102」(文春文庫)
☆「歴史が語る 恋の嵐」(角川文庫)。「恋に死す」の文庫化版。 9刷になりました。
^^^^^^^^^^^^^^^^
☆以下の単行本は絶版としました。文庫本をお求めくださいまし~
☆「怖い絵」16刷中。
☆「怖い絵2」、9刷中。
☆「怖い絵3」 6刷中。 https://www.asahiculture.jp/course/shinjuku/6950ee99-486d-569d-45f3-5f19411e605f
本記事は、当方にとってたいへん深奥な内容であり、興味深く拝読いたしました。
事後報告になりますが、記事の一部を拙ブログに引用させていただきました。
以前にも、ベラスケスについて引用させていただいたことがあります。
恥ずかしながら、こうした行為が非礼なことだと気づき、遅ればせながら、このコメント欄に報告いたします。
たいへん申しわけありませんでした。当方の記事の削除、もしくは訂正がある場合にはご一報ください。ご要望の通りにいたします。
小寄道拝
「非礼」だなど、とんでもない。引用していただき嬉しいです。できるだけ多くの方にこのお芝居を知ってもらって再演されたらいいなあと願っておりました。
小寄道さんのブログも読ませていただきました。母上の柿の種に当たるものが、もしかするとこのお芝居の腕時計かも。。。とふと思いました。「離愁」についても興味深かったです。この映画のラストは涙、滂沱でしたから。また訪問させてくださいね!
気持ち的には、もっと大袈裟に書くとこうなります。
心の奥から滂沱にちかい涙が、こんこんとあふれ出てきた。ということにしてください。
少しクスッとしていただければ嬉しいです。レスは結構です。
ほんとうに有難うございました!