朝日新聞ブログ「ベルばらkidsぷらざ」で連載中の「世界史レッスン映画篇」第38回の今日は、「クララ&シューマン&ブラームス」⇒ http://bbkids.cocolog-nifty.com/bbkids/2010/05/post-1fe1.html#more
ドイツ映画『クララ・シューマン、愛の協奏曲』について書きました。
この中でロベルト・シューマンが精神病の治療を受けるシーンがあり、医者が言うのです、「脳のこのあたりが冷えているから温めなかればならない」。でもって髪の毛を全部剃った頭に焼きごてを当てるのです。
うわあ、それじゃ表面が火傷するだけじゃないですか!
いま公開中のM・スコセッシ『シャッター・アイランド』にも、ひどい治療法が出てくる。映画の舞台になっている50年代に、アメリカでひんぱんに行なわれていたロボトミー手術だ(『カッコーの巣の上で』を思い出す)。
ところで『シャッター・アイランド』だが、宣伝の方向があまりよろしくないんじゃないかしらん。伏線に気をつけろ、とか意外なラストだとか、そんなことばかり強調するものだから、逆に「なあんだ」と落胆させるのでは。。。
だいたいこの程度の謎は、映画好きあるいはミステリ好きならたちまちわかってしまう。この作品の面白さはそんなところにはないのだ。主人公にとっての世界の認識がゴシック・ホラーのように描かれており、そこに魅力を感じれば十分楽しめる。
耐えがたい悲しみにおしひしがれ、生き残った者としての罪悪感にかられながら、やっとのことで自分を支えている人間を、レオナルド・ディカプリオは圧倒的存在感で演じていた。
わたしは早くに結末を予期しながら、ああ、どうか違っていますように、彼に救いがありますようにと祈りながら見た。あまりにも感情移入して見たので、終わるとぐったりしてしまった。さっそく原作も読んだが、こちらもなかなか面白い!(チャックだけミスキャストかなと感じた)
それはさておき、この映画にウィリアム・ブレイクの絵が出てきたのにお気づきの方もいらっしゃるでしょう。精神を病んだといわれるナブコドノゾール王(ヴェルディのオペラ「ナブッコ」のモデルですね)が、裸で四つんばいになっている奇妙な絵だ。医長の部屋の壁に掛かっていた。あれもまあ、ひとつの伏線といえるかな。
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☆「『怖い絵』で人間を読む」(「知る楽」テキスト)3刷中。
⇒
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☆「恐怖と愛の映画102」(文春文庫)
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☆「歴史が語る 恋の嵐」(角川文庫)。「恋に死す」の文庫化版です。
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ドイツ映画『クララ・シューマン、愛の協奏曲』について書きました。
この中でロベルト・シューマンが精神病の治療を受けるシーンがあり、医者が言うのです、「脳のこのあたりが冷えているから温めなかればならない」。でもって髪の毛を全部剃った頭に焼きごてを当てるのです。
うわあ、それじゃ表面が火傷するだけじゃないですか!
いま公開中のM・スコセッシ『シャッター・アイランド』にも、ひどい治療法が出てくる。映画の舞台になっている50年代に、アメリカでひんぱんに行なわれていたロボトミー手術だ(『カッコーの巣の上で』を思い出す)。
ところで『シャッター・アイランド』だが、宣伝の方向があまりよろしくないんじゃないかしらん。伏線に気をつけろ、とか意外なラストだとか、そんなことばかり強調するものだから、逆に「なあんだ」と落胆させるのでは。。。
だいたいこの程度の謎は、映画好きあるいはミステリ好きならたちまちわかってしまう。この作品の面白さはそんなところにはないのだ。主人公にとっての世界の認識がゴシック・ホラーのように描かれており、そこに魅力を感じれば十分楽しめる。
耐えがたい悲しみにおしひしがれ、生き残った者としての罪悪感にかられながら、やっとのことで自分を支えている人間を、レオナルド・ディカプリオは圧倒的存在感で演じていた。
わたしは早くに結末を予期しながら、ああ、どうか違っていますように、彼に救いがありますようにと祈りながら見た。あまりにも感情移入して見たので、終わるとぐったりしてしまった。さっそく原作も読んだが、こちらもなかなか面白い!(チャックだけミスキャストかなと感じた)
それはさておき、この映画にウィリアム・ブレイクの絵が出てきたのにお気づきの方もいらっしゃるでしょう。精神を病んだといわれるナブコドノゾール王(ヴェルディのオペラ「ナブッコ」のモデルですね)が、裸で四つんばいになっている奇妙な絵だ。医長の部屋の壁に掛かっていた。あれもまあ、ひとつの伏線といえるかな。
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☆鳴門の大塚国際美術館(NHK「知る楽」の撮影でお世話になった素晴らしい美術館♪)での講演は、5月30日(日)です。お時間がありましたら、いらしてくださいまし⇒ http://www.o-museum.or.jp/info/event/100430_137.html
☆「名画で読み解く ハプスブルク家12の物語」(光文社新書)11刷中。
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☆「歴史が語る 恋の嵐」(角川文庫)。「恋に死す」の文庫化版です。
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最近はBSでばかり映画を観てます。明日あたり時間が都合つけば、映画館に足を運ぼうかな?
哀しみ漂う映画でしたね~(「恐怖と愛の映画102」で取り上げました)
「シャッターアイランド」は、テレビより大画面でのほうがいいですよ!ぜひぜひ!
皆、それぞれに今の状況、生活を変えたい、出来たら逃げ出したい!でも現実には逃れられない、観ていて苦しく…自分と重ね合わせたりして。
あの頃のジョニー・デップは良かったなぁ。彼の作品で一番好きなのは『アリゾナ・ドリーム』です♪イギーポップの曲も良かったなぁ。
映画っていいですねぇ…。
話は変わりますが、本楽しみにしていまーす♪
それはなんとも恐ろしい治療法ですね。
想像しただけで頭が猛烈に熱くなりそうです。
『シャッター・アイランド』はあいにく、
観たことがありませんが、
私は最近、生まれて初めてのホラー映画となる
『13日の金曜日』を鑑賞しました。
観終わってからしばらく身震いが止まらず、
鳥肌も立ったままでしたが、
とても貴重な体験でした。
まだホラー映画に対する免疫(?)は、
完全に身に着いていませんが、
いずれは『恐怖と愛の映画102』にも
とりあげられている『シャイニング』や、
『めまい』も観てみようかなと
心底思っております。
では新刊を楽しみにしております。
そういえば、DVDのケースに「スプラッタ」と
書かれていたような気がします。
確かにスプラッタ映画は怖いですよね。
演出だと分かってはいても、
身震いが止まらなくなってしまいますし。
『皇帝カール5世と猟犬』が載ったときのことを、「モノクロで残念」とこちらのコメントに書かせていただきましたが、それ以降の3回連続でカラーになっていて、とても喜んでいます。
もしかして、中野先生がお口添えしてくださったのではなんて思ったりして……。もしそうでしたら、ありがとうございます。
さて、ウィリアム・ブレイクという画家は、初めて知りましたが、とてもユニークな人物らしいですね。蚤だけじゃなくて、ほかにも不思議はメッセージを絵にしているのでしょうか、見てみたいと思いました。
中野先生の、「神が思い直してくれて、よかった」という一言、クスッときました。
ブレイクについては「怖い絵2」に書きましたので(絵は「巨大なレッドドラゴンと日をまとう女」)お読みください♪
「怖い絵」絶対読ませていただきます!