朝日新聞ブログ「ベルばらkidsぷらざ」で連載中の「世界史レッスン」第53回目の今日は、「父の説教あれこれ」⇒http://bbkids.cocolog-nifty.com/bbkids/2007/03/post_32cc.html#more
有能な父から無能な息子への、あるいは凡庸な父から天才の息子への、さまざまな説教について書きました。
それにしてもピョートル大帝のような破格の人間を父親に持つ息子は、気の毒としか言いようがない。息子はことあるごとに、「アレクセイ、なんておまえは馬鹿なんだ!」と罵られていたので、陰で「死んだ父が見たい」と言っていた由。
ゲーテは一人息子がまだ小さなころ、おもちゃとして出回っていた小型ギロチン!を買ってやろうとしたのだが、小都ワイマールには売っていなかった。それでフランクフルトに住む自分の母親に頼んだところ、「そんなプレゼントなど、とんでもない」と断られてしまった。祖母の見識に軍配。
現代思想に大きな影響を与えた19世紀の哲学者ヘーゲルは、良き家庭人として知られ、妻子を愛していたと言われる。だが実はけっこう計算高い男でもあったようで、名門の妻を得るため、愛人を捨てた過去があった。愛人には男の子があり、ヘーゲルは自分の息子であることを認めないわけにはゆかなかった。
ベルリン大学教授として順風満帆だったヘーゲルにとって、この息子の存在は疎ましかったらしい。ことごとく他の子どもたちと差別し、最後は「ヘーゲル姓を名乗るな」と命じ、ジャカルタへ追いやってしまう。息子は恨みを残して26歳でその地で死んだ。
父と息子の確執というのは、女性にはなかなか理解しにくい部分がある(母と娘ともずいぶん違うのではないだろうか)。そこには男としての競争意識やプライドもからむし、「盲目的に可愛がる」のではなく「まず相手の能力を測る」部分が大きいような気がするが・・・
☆新著「怖い絵」(朝日出版社)
☆☆アマゾンの読者評で、この本のグリューネヴァルトの章を読んで「泣いてしまいました」というのがありました。著者としては嬉しいことです♪
①ドガ「エトワール、または舞台の踊り子」
②ティントレット「受胎告知」
③ムンク「思春期」
④クノップフ「見捨てられた街」
⑤ブロンツィーノ「愛の寓意」
⑥ブリューゲル「絞首台の上のかささぎ」
⑦ルドン「キュクロプス」
⑧ボッティチェリ「ナスタジオ・デリ・オネスティの物語」
⑨ゴヤ「我が子を喰らうサトゥルヌス」
⑩アルテミジア・ジェンティレスキ「ホロフェルネスの首を斬るユーディト」
⑪ホルバイン「ヘンリー8世像」
⑫ベーコン「ベラスケス<教皇インノケンティウス10世像>による習作」
⑬ホガース「グラハム家の子どもたち」
⑭ダヴィッド「マリー・アントワネット最後の肖像」
⑮グリューネヴァルト「イーゼンハイムの祭壇画」
⑯ジョルジョーネ「老婆の肖像」
⑰レーピン「イワン雷帝とその息子」
⑱コレッジョ「ガニュメデスの誘拐」
⑲ジェリコー「メデュース号の筏」
⑳ラ・トゥール「いかさま師」
☆ツヴァイク『マリー・アントワネット』、なかなか重版分が書店に入らずご迷惑をおかけしました。今週からは大丈夫のはずです。「ベルばら」アントワネットの帯がかわゆいですよ♪
☆☆画像をクリックすると、アマゾンへ飛べます。
「マリー・アントワネット」(上)(下)
シュテファン・ツヴァイク
中野京子=訳
定価 上下各590円(税込620円)
角川文庫より1月17日発売
ISBN(上)978-4-04-208207-1 (下)978-4-04-208708-8
☆拙訳「マリー・アントワネット」はこちら(画像をクリックするとアマゾンへ飛べます)
☆これを読むと、マリア・テレジアと息子ヨーゼフの場合、母子関係というより父子関係に似ているかも・・・
◆マリー・アントワネット(上)(下)
シュテファン・ツヴァイク
中野京子=訳
定価 上下各590円(税込620円)
角川文庫より1月17日発売
ISBN(上)978-4-04-208207-1 (下)978-4-04-208708-8
有能な父から無能な息子への、あるいは凡庸な父から天才の息子への、さまざまな説教について書きました。
それにしてもピョートル大帝のような破格の人間を父親に持つ息子は、気の毒としか言いようがない。息子はことあるごとに、「アレクセイ、なんておまえは馬鹿なんだ!」と罵られていたので、陰で「死んだ父が見たい」と言っていた由。
ゲーテは一人息子がまだ小さなころ、おもちゃとして出回っていた小型ギロチン!を買ってやろうとしたのだが、小都ワイマールには売っていなかった。それでフランクフルトに住む自分の母親に頼んだところ、「そんなプレゼントなど、とんでもない」と断られてしまった。祖母の見識に軍配。
現代思想に大きな影響を与えた19世紀の哲学者ヘーゲルは、良き家庭人として知られ、妻子を愛していたと言われる。だが実はけっこう計算高い男でもあったようで、名門の妻を得るため、愛人を捨てた過去があった。愛人には男の子があり、ヘーゲルは自分の息子であることを認めないわけにはゆかなかった。
ベルリン大学教授として順風満帆だったヘーゲルにとって、この息子の存在は疎ましかったらしい。ことごとく他の子どもたちと差別し、最後は「ヘーゲル姓を名乗るな」と命じ、ジャカルタへ追いやってしまう。息子は恨みを残して26歳でその地で死んだ。
父と息子の確執というのは、女性にはなかなか理解しにくい部分がある(母と娘ともずいぶん違うのではないだろうか)。そこには男としての競争意識やプライドもからむし、「盲目的に可愛がる」のではなく「まず相手の能力を測る」部分が大きいような気がするが・・・
☆新著「怖い絵」(朝日出版社)
☆☆アマゾンの読者評で、この本のグリューネヴァルトの章を読んで「泣いてしまいました」というのがありました。著者としては嬉しいことです♪
①ドガ「エトワール、または舞台の踊り子」
②ティントレット「受胎告知」
③ムンク「思春期」
④クノップフ「見捨てられた街」
⑤ブロンツィーノ「愛の寓意」
⑥ブリューゲル「絞首台の上のかささぎ」
⑦ルドン「キュクロプス」
⑧ボッティチェリ「ナスタジオ・デリ・オネスティの物語」
⑨ゴヤ「我が子を喰らうサトゥルヌス」
⑩アルテミジア・ジェンティレスキ「ホロフェルネスの首を斬るユーディト」
⑪ホルバイン「ヘンリー8世像」
⑫ベーコン「ベラスケス<教皇インノケンティウス10世像>による習作」
⑬ホガース「グラハム家の子どもたち」
⑭ダヴィッド「マリー・アントワネット最後の肖像」
⑮グリューネヴァルト「イーゼンハイムの祭壇画」
⑯ジョルジョーネ「老婆の肖像」
⑰レーピン「イワン雷帝とその息子」
⑱コレッジョ「ガニュメデスの誘拐」
⑲ジェリコー「メデュース号の筏」
⑳ラ・トゥール「いかさま師」
☆ツヴァイク『マリー・アントワネット』、なかなか重版分が書店に入らずご迷惑をおかけしました。今週からは大丈夫のはずです。「ベルばら」アントワネットの帯がかわゆいですよ♪
☆☆画像をクリックすると、アマゾンへ飛べます。
「マリー・アントワネット」(上)(下)
シュテファン・ツヴァイク
中野京子=訳
定価 上下各590円(税込620円)
角川文庫より1月17日発売
ISBN(上)978-4-04-208207-1 (下)978-4-04-208708-8
☆拙訳「マリー・アントワネット」はこちら(画像をクリックするとアマゾンへ飛べます)
☆これを読むと、マリア・テレジアと息子ヨーゼフの場合、母子関係というより父子関係に似ているかも・・・
◆マリー・アントワネット(上)(下)
シュテファン・ツヴァイク
中野京子=訳
定価 上下各590円(税込620円)
角川文庫より1月17日発売
ISBN(上)978-4-04-208207-1 (下)978-4-04-208708-8
でも、コジマは、自分にも、夫のビューローにも、父のような才能はないと思ったからこそ、ヴァーグナーと駆け落ちしたのでしょう。
当時の良俗には反するようなことをしておいて、悪びれもせず、「リヒャルトにふさわしい人間になりたい」。
それを父親のフランツも認め、夫のビューローも認めてしまうところが、やはりリストの娘たるところ?
実際、ヴァーグナーはりリストのようなヴィルトゥオーゾの単なる楽人の域を超えて、オペラ改革を成し遂げた。
二世代続いて破格、というのが難しいからこそ、たいした出来ではない息子や娘には、いい嫁、いい婿を欲しがる。
それで前世代を超えられるのなら、それはそれで社会貢献なのではないですか?
それはともかく父も息子も二代続いて破格というのは・・・うーん、いないような気がする・・・
父・息子の確執とは・・・んんん・・・破格の人の父親で、立派に子どもを偉人にされた人ってみえるのでしょうか?
父と息子ってある意味ライバルなのかしら??
鴎外は、ゲーテタイプですね。息子は、先妻の子でしたから、ややこしいけど、茉莉始め、子煩悩でした。だから、みんなすくすく育った。
漱石は、ヘーゲルタイプ。長男伸一しなど、理由も分からず、殴られたみたい。何度も言いますが、ピカソは最低の父親だったらしい。
芸術と人間性は一致しない。のでしょうか?
面白い投票ですね。ルートヴィヒ2世がまだ0とは、これいかに・・・?
チャーチルの言葉、知りませんでした。彼一流の皮肉に笑えます。
Tomさん
ご訪問&感想ありがとうございます♪
ミラボーも確かにそうです。父親が怒って彼を刑務所へ入れてしまったらしい。凄いですよね、昔の父親はやることが。
http://sentaku.org/education/1000000349
確かにマリア・テレジアとヨーゼフとの関係は甘くなさそうですね。デキのいいほうの子とはシビアだし、不出来な子には心配かけらるし。「国家ひとつ統治することは4人の子を教育するよりも容易い」とはチャーチルの言葉ですが、テレーゼも頷くことでしょう。