新人物往来社刊<別冊歴史読本>の最新刊は「ハプスブルク恋物語ーー700年王朝に秘められた愛憎劇」。タイトルどおり、ヨーロッパ名門中の名門ハプスブルク家の王、王妃、プリンス、プリンセス、ゆかりの芸術家たちの多彩な恋模様がつづられてゆきます。ビジュアル面も充実。⇒http://www.honya-town.co.jp/hst/HTdispatch?free=%83n%83v%83X%83u%83%8B%83N%97%F6%95%A8%8C%EA%81@%97%F0%8Ej%93%C7%96%7B&vague_search=1&x=26&y=8
とりあげられた人々は、王族ではマリー・アントワネット、マリー・ルイーズ、皇妃エリザベート、狂女フアナ、マリア・テレジア、ヨーゼフ2世etc. 芸術家ではモーツァルト、ベートーベン、クリムト、シュニッツラーetc.
執筆陣は菊池良生、桐生操、渡辺みどり、青木やよひetc.
わたしも2つほど書きましたので、興味がありましたらお読みください。
1つはモーツァルト。言わずとしれたソプラノ歌手アロイジア・ヴェーバーへの切ない片思いです。彼女は、後に彼の妻となるコンスタンツェの姉。それで今回このムックには珍しい写真も入れています。晩年のコンスタンツェのもの。何と彼女はモーツァルト没後50年も長生きしたので、写真技術が発明されたときまでこの世にいたのですねー。
もう1つは第一次世界大戦の引き金となった「サラエヴォ事件」で、ともに命を落としたフランツ・フェルディナンド大公とその妻ゾフィ。
実はこのふたりは「貴賤結婚」(身分の高い人と低い人のつりあわない結婚のこと。この言葉自体も凄い!)だった。フェルディナンドは帝位継承者、一方ゾフィはボヘミアの没落貴族出身で某侯爵家の女官だった。ハプスブルク家には家訓があり、帝位継承者の妻たる者は、カトリック国の王女ないし自国の場合は最上級の貴族出身でなければならず、ゾフィは問題外だった。
反対の嵐が巻き起こり、フェルディナンドは皇帝から「恋か帝位か選べ」と迫られたが、「どちらも手に入れます」と骨のあるところを見せる。結婚までには数年もかかった(真の恋だったのね~♪)
しかしゾフィにとっては結婚してからの方が苦難は大きかったのでは・・・なぜなら彼女を待ち受けていた宮廷のいじめは、それはそれは凄まじいもので。でもその先はどうぞ本書をお読みください。
☆新著「怖い絵」(朝日出版社)
☆☆アマゾンの読者評で、この本のグリューネヴァルトの章を読んで「泣いてしまいました」というのがありました。著者としては嬉しいことです♪
①ドガ「エトワール、または舞台の踊り子」
②ティントレット「受胎告知」
③ムンク「思春期」
④クノップフ「見捨てられた街」
⑤ブロンツィーノ「愛の寓意」
⑥ブリューゲル「絞首台の上のかささぎ」
⑦ルドン「キュクロプス」
⑧ボッティチェリ「ナスタジオ・デリ・オネスティの物語」
⑨ゴヤ「我が子を喰らうサトゥルヌス」
⑩アルテミジア・ジェンティレスキ「ホロフェルネスの首を斬るユーディト」
⑪ホルバイン「ヘンリー8世像」
⑫ベーコン「ベラスケス<教皇インノケンティウス10世像>による習作」
⑬ホガース「グラハム家の子どもたち」
⑭ダヴィッド「マリー・アントワネット最後の肖像」
⑮グリューネヴァルト「イーゼンハイムの祭壇画」
⑯ジョルジョーネ「老婆の肖像」
⑰レーピン「イワン雷帝とその息子」
⑱コレッジョ「ガニュメデスの誘拐」
⑲ジェリコー「メデュース号の筏」
⑳ラ・トゥール「いかさま師」
とりあげられた人々は、王族ではマリー・アントワネット、マリー・ルイーズ、皇妃エリザベート、狂女フアナ、マリア・テレジア、ヨーゼフ2世etc. 芸術家ではモーツァルト、ベートーベン、クリムト、シュニッツラーetc.
執筆陣は菊池良生、桐生操、渡辺みどり、青木やよひetc.
わたしも2つほど書きましたので、興味がありましたらお読みください。
1つはモーツァルト。言わずとしれたソプラノ歌手アロイジア・ヴェーバーへの切ない片思いです。彼女は、後に彼の妻となるコンスタンツェの姉。それで今回このムックには珍しい写真も入れています。晩年のコンスタンツェのもの。何と彼女はモーツァルト没後50年も長生きしたので、写真技術が発明されたときまでこの世にいたのですねー。
もう1つは第一次世界大戦の引き金となった「サラエヴォ事件」で、ともに命を落としたフランツ・フェルディナンド大公とその妻ゾフィ。
実はこのふたりは「貴賤結婚」(身分の高い人と低い人のつりあわない結婚のこと。この言葉自体も凄い!)だった。フェルディナンドは帝位継承者、一方ゾフィはボヘミアの没落貴族出身で某侯爵家の女官だった。ハプスブルク家には家訓があり、帝位継承者の妻たる者は、カトリック国の王女ないし自国の場合は最上級の貴族出身でなければならず、ゾフィは問題外だった。
反対の嵐が巻き起こり、フェルディナンドは皇帝から「恋か帝位か選べ」と迫られたが、「どちらも手に入れます」と骨のあるところを見せる。結婚までには数年もかかった(真の恋だったのね~♪)
しかしゾフィにとっては結婚してからの方が苦難は大きかったのでは・・・なぜなら彼女を待ち受けていた宮廷のいじめは、それはそれは凄まじいもので。でもその先はどうぞ本書をお読みください。
☆新著「怖い絵」(朝日出版社)
☆☆アマゾンの読者評で、この本のグリューネヴァルトの章を読んで「泣いてしまいました」というのがありました。著者としては嬉しいことです♪
①ドガ「エトワール、または舞台の踊り子」
②ティントレット「受胎告知」
③ムンク「思春期」
④クノップフ「見捨てられた街」
⑤ブロンツィーノ「愛の寓意」
⑥ブリューゲル「絞首台の上のかささぎ」
⑦ルドン「キュクロプス」
⑧ボッティチェリ「ナスタジオ・デリ・オネスティの物語」
⑨ゴヤ「我が子を喰らうサトゥルヌス」
⑩アルテミジア・ジェンティレスキ「ホロフェルネスの首を斬るユーディト」
⑪ホルバイン「ヘンリー8世像」
⑫ベーコン「ベラスケス<教皇インノケンティウス10世像>による習作」
⑬ホガース「グラハム家の子どもたち」
⑭ダヴィッド「マリー・アントワネット最後の肖像」
⑮グリューネヴァルト「イーゼンハイムの祭壇画」
⑯ジョルジョーネ「老婆の肖像」
⑰レーピン「イワン雷帝とその息子」
⑱コレッジョ「ガニュメデスの誘拐」
⑲ジェリコー「メデュース号の筏」
⑳ラ・トゥール「いかさま師」
ぜひ、よませていただきます。モーツアルトは、姉と結婚したら幸福だったのでしょうか?姉妹でも性格が違うから、いい人だったかも?
貴賎婚は、昔は、いっぱいありましたね。イギリスの王室にも例がありますし~雅子さんは、どうなのかしら?賎しくはないけど、なんで苛められるんでしょうか?
結婚は私にとっても身近な問題でして、色々考えさせられます。
王家にとっては少なからぬ政治問題なんですね。やっぱり。恋愛と婚姻と政治が不可分であるのは源氏物語的世界でも同様だと思います。
日本の皇族に限らず、王家の血の連続がその国民全体に共有される物語となる。
国家、政治、宗教と男女の愛の相克は文学の主要テーマだと思いますが、事実は小説より奇なり。仮想の文学以上の深刻さを持って観客に迫ってくるものがあります。
王家の不幸に対し、国民は観客として王家の物語を見る。
劇的に不幸な結末があったとしても、それは物語としての完成度を高めることとなる。
そして益々王家は国民にとっての注目すべき存在となり、当事者である王家の不幸は世間の晒し者となる。
雅子様のご不幸は、実に今の時代に限ったことではなく、いつの時代の王家にもあった、実に古典的な物語ではないでしょうか?
我が国にはその幾つもの不幸な物語を千年を超える長きに渡って乗り越えてきた歴史があり、それが皇族の極度に洗練された文化なのだと思います。
時代への対応は必要だと思いますが、やはり拙速はまずいのではないか、と熱烈な源氏物語ファンの私は、思わざるを得ません。
長々と乱筆失礼しました。
さすが、政略結婚によって領土を拡げたハプスブルク家。結婚に家訓があっても不思議ではないですね。
いくら没落したとはいえ、それを蹴ってまで結婚に踏み切った大公もすごいけど、ゾフィを待ち受けていた苛めというのもまた・・・。
そういえば、英国にも「王冠か恋か」で恋を選んだ人がいましたねー。どっちの女性が幸せだったのか、複雑な気持ちです。
ご本、読ませていただきます。
アロイジアは宮廷俳優兼画家(モーツァルトの最良の肖像画を描いています)と結婚しますが離婚。晩年は苦労したみたいです。ぬくぬくとしたコンスタンツェとは大違い。
ヨシヤーンさん
菊池先生、そうです。傭兵やハプスブルク家についてのすばらしい本をたくさん書いてらっしゃいますよ。
「時代への対応は必要だが拙速はまずい」というご意見、ほんと賛成です。歴史をやっていると、一見何でもなさそうなピース一枚欠けただけで、がらがらと崩壊する例がけっこうあるんですよね・・・
しじみさん
フェルディナンドとゾフィはけっきょくセルビア人に撃たれて殺されてしまうわけで、死も分かつ運命だったのでしょうね。彼らについては拙著「恋に死す」でも書いたので、よかったら是非こちらも目を通してください♪