中野京子の「花つむひとの部屋」

本と映画と音楽と。絵画の中の歴史と。

ヘッセン人傭兵とスパルタ王レオニダス

2014年04月15日 | 映画
 1777年、バンカーヒルの戦の際、ヘッセン大公国のシャウムブルク伯は自国の若者をイギリス軍の傭兵として貸し出した。

 契約によれば、イギリス軍はこの傭兵が戦死した場合、ひとり当たり30ギルダー支払う、とされていた。となると、財政難の大公国としては、戦死者が増えるのが望ましい。宮廷におけるオペラ・シーズンを華やかにしたかったのでなおさらだ。

 シャウムブルク伯がドイツ駐米司令官にあてた手紙が残っており、曰く、

「兵を惜しむな。何よりもまず、栄光を忘れてはならない」
「兵たるもの、ただ名誉と名声を心がけよ。しかしながらこの名誉は危険の只中でのみ得られるものである」
「武器を手に死んでこそ栄光を授かる」

 しまいには古代史まで引用している。

「一兵も退かず、テルモビュライの狭い峠を守った300人のスパルタの栄光を覚えているだろうか」

 この有名な戦争は、最近「300」という映画で描かれたので、ご存知の方も多いだろう。スパルタ王レオニダスVSペルシャ王クセルクセスの戦だ。300人VS1万人だもの、そりゃ玉砕しますわな。

 少なくとも、しかしレオニダスは先頭に立って闘った。なのにこの大公国の君主はぬくぬくと宮廷におさまり、こんな手紙を書いているのだから許しがたい。

 支配者が「栄光」をくり返す時には、気をつけなくっちゃね!

 ちなみにクセルクセスの舟橋については、「橋をめぐる物語」に書きましたのでお読みください♪

☆「橋をめぐる物語」(河出書房)
中野京子が語る 橋をめぐる物語

☆☆先週の産経新聞に4段組で「絵画鑑賞の楽しみ 中野京子に聞く」という記事が載りました。ネットでも読めるようになったので、のぞいてくださいませ♪

http://sankei.jp.msn.com/life/news/140313/art14031308050003


☆最新刊「名画に見る 男のファッション」(角川書店)の紹介を、いつも拙著の装丁デザインを手がけてくれる奥定泰之氏が「本の旅人」4月号に書いてくださいました♪

名画に見る男のファッション (単行本)

☆「中野京子と読み解く 名画の謎 陰謀の歴史篇」(文藝春秋) 2刷になりました♪
中野京子と読み解く 名画の謎 陰謀の歴史篇 
 「青い日記帳」さんによるご紹介はこちら♪

http://bluediary2.jugem.jp/?eid=3478

 
☆「残酷な王と悲しみの王妃」(集英社文庫) 2刷になりました♪

残酷な王と悲しみの王妃 (集英社文庫 な)


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怖い絵  (角川文庫)


☆「はじめてのルーヴル」(集英社)2刷になりました♪
はじめてのルーヴル

☆「名画の謎 旧約・新約聖書篇」(文藝春秋) 
4刷になりました♪
産経新聞書評⇒ http://sankei.jp.msn.com/life/news/130120/bks13012008280003-n1.htm 中野京子と読み解く 名画の謎 旧約・新約聖書篇

「弐代目 青い日記帳」さんが取り上げてくださいました⇒ http://bluediary2.jugem.jp/?eid=3088


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5刷になりました♪

怖い絵  死と乙女篇 (角川文庫)


☆最新刊「名画と読む/イエス・キリストの物語」(大和書房)
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○藤井フミヤさんがファン会報誌で推薦してくださいました♪
○日経新聞ブログ「丸の内ブック街」でも御勧めしていただいてます♪

http://book.marunouchi-office.jp/recommend/003903.html

名画と読むイエス・キリストの物語



☆「マリー・アントワネット 運命の24時間
    ~知られざるフランス革命ーヴァレンヌ逃亡」(朝日新聞出版社)
 新聞評⇒http://chroniclelibrary.blogspot.jp/2012/04/asahi-shohyo_5455.html
     
マリー・アントワネット 運命の24時間 知られざるフランス革命ヴァレンヌ逃亡

☆「危険な世界史 運命の女篇」(角川書店) 2刷中。
危険な世界史 運命の女篇

☆「危険な世界史 血族結婚篇」(角川文庫)6刷になりました♪
危険な世界史 血族結婚篇 (角川文庫)

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9刷になりました♪

     怖い絵 泣く女篇

☆『中野京子と読み解く 名画の謎 ギリシャ神話篇』(文藝春秋)
6刷になりました♪
 中野京子と読み解く名画の謎 ギリシャ神話篇
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文春「本の話」から、「自著を語る」(「謎が解けたら、絵画は最高のエンターテインメントになる」)はこちら

http://www.bunshun.co.jp/jicho/1104nakano/index.htm

☆「印象派で「近代」を読む ~光のモネからゴッホの闇へ~」(NHK新書)2刷になりました♪
印象派で「近代」を読む―光のモネから、ゴッホの闇へ (NHK出版新書 350)

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「怖い絵」で人間を読む (生活人新書)

☆「名画で読み解く ハプスブルク家12の物語」(光文社新書)
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名画で読み解く ハプスブルク家12の物語 (光文社新書 366)

☆「芸術家たちの秘めた恋 ―メンデルスゾーン、アンデルセンとその時代 (集英社文庫)
芸術家たちの秘めた恋 ―メンデルスゾーン、アンデルセンとその時代 (集英社文庫 な 53-1)
「週刊朝日」書評⇒ http://book.asahi.com/reviews/column/2011100300004.html


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 レンザブローで本書についてインタビューが載っています。お読みくださいね!⇒ http://renzaburo.jp/(「特設サイト」をクリックしてください)

残酷な王と悲しみの王妃


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2 コメント

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Unknown (うさこママ)
2014-04-21 12:10:25
先日の講演で思い出した事がもう1つありました。橋と同様、「四辻」も魔の場所と伺い、江戸時代、節分の晩はお祓いの人が厄払いの文句を唱えながら町を回り、庶民は四辻に小銭を包んだおひねりを置いて、厄落としをしたそうですが、それを拾うのが子供の頃、楽しみだった、と郷里で高齢のおばあさんから聞きました。「三人吉三」の大川端の場面が目に浮かび、江戸の話と思っていたのに、昭和初期の岩手でも行われてたのが驚きで、時空を超えて江戸とつながった気がしましたが、日本だけでなかったんですね。
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Unknown (うさこママさん(kyoko))
2014-04-22 10:48:30
 これは担当者さんが教えてくれたのですが、有名なジャズ奏者(名前失念)も、四辻で作曲の霊感を得たのだとか。
 我が家から駅へ行く道の四辻にはお地蔵さまがあり、いつも花が絶えません。きっと江戸時代にはいろんなことがあったのだろうなと思います。。。
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