中野京子の「花つむひとの部屋」

本と映画と音楽と。絵画の中の歴史と。

カルロス3世、カルロ1世、カルロ5世、カルロ7世ーー全部、同一人物!

2010年08月10日 | 音楽&美術
 いま上野で展覧中の「ナポリの宮廷と美/カポディモンテ美術館展」ですが、この王宮を建てたのはナポリ王カルロ7世となっています。

 この王の名前にはあまりピンとこないと思いますが、要するに、スペイン・ブルボン家のカルロス3世のことです。

 ゴヤのあのびっくりの王室肖像画「カルロス4世と家族像」で、「富籤を当てたパン屋の主人」(ゴーチェ曰く)と笑われた愚鈍なカルロス4世。その父親です。息子である4世のことを、常々「なんておまえはバカなんだ」と嘆いていた王様といえば、もっとわかりやすいでしょうか(拙著『ブルボン王朝12の物語』をお読みください!)

 さて、日本人から見ると、なぜ同じ名前に統一しないんだ、と腹が立ちますが(だってこんぐらかるんだもの)、スペイン王としてはカルロス3世であり、ナポリ王としてはカルロ7世、パルマ公としてはカルロ1世で、シチリア王としてはカルロ5世だったのです。やれやれ。。。

 いったいにヨーロッパは名前のバラエティが少ないので(聖人や聖女の名前をつけるため)、同名が多くなる。マリー・アントワネットのドイツ語読みはマリア・アントニアですが、あのマルガリータちゃんが産んだ子もマリア・アントニアでした。

 ゾフィア・ドロテアなど、娘もゾフィア・ドロテア、姑もゾフィアでした。マリアとゾフィア(=ソフィー)はとにかく多い。

 そこへもってきて、各国語読みになります。つまりペテロ=ピーター=ペーテル=ピョートル、カルロ=カルロス=チャールズ=シャルルといった按配。

 去年公開された映画「ブーリン姉妹」では、「チャールズがローマを襲った!」という台詞があって、一瞬こちらは「ん??」となりましたが、これはカール5世の「サッコ・デ・ローマ(ローマ虐殺)」のことです。わかりにくいですよねえ。

 ついでながら、『ジーザス・クライスト・スーパースター』は大好きなミュージカルですけど、イエスの使徒たちを、ピーターとかジョンと呼ぶのは違和感あります。ペテロとかヨハネと言ってもらわないと、時代色が出なくて。。。

 さて、今月は火曜日が5週あるため、ベルばらkidsの「世界史レッスン」は17日と31日になります。そしてこの「花つむひとの部屋」は来週は旅行でお休みします。また24日に!


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 (本書は今年の2月から3月にかけて、NHK教育テレビ「知る楽」で8回、後にNHK/BSで2回に再編集されて再放送された番組のテキストを、加筆・再編集して新書化したものです。絵の数はテキストよりだいぶ増やしました♪33点のカラー図版、10点のモノクロ図版)

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コメント (9)
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