中野京子の「花つむひとの部屋」

本と映画と音楽と。絵画の中の歴史と。

新聞を総ルビに!

2010年04月06日 | 
 洋画の字幕が読めない若者が増えたのだという。確かにレンタル店では日本語吹き替え版が目立ってきた。

 現在の字幕は、最大で横13文字2行だという。戦前は13文字3行だったというから、これでもだいぶ減っている。にもかかわらず読めないのだという。漢字が!

 恐ろしい時代になってきた。小学校で英会話など教えている場合ではなかろう。

 だいたい「使ってはいけない漢字」なんぞをお役所が決めるのが間違っている。「驚愕」を「驚がく」と表記するほうがよほどわけがわからなくなるし、眼にも美しくない。日本語を大事にする気はないのかと言いたい。

 ポプラ社の「百年小説」というすばらしい短編集がある。鴎外から太宰まで51人の名作を集めた分厚い本で、特筆すべきは全ての漢字にルビがふってあること。

 最初はうるさくて読みにくい、と感じた。でもすぐ慣れる。ルビは意識から飛び、小説に没頭できるから心配いらない。むしろルビがあることによって、中学生にも読めるな、と思った。新聞もこうすればいいのだ。

 購読者が激減して、新聞社は危機感を抱いている由。それで少しでも若者を取りこみたいと、漫画を読書面で大きく取り上げたり、星占い欄をもうけたりしているが、そんな中途半端なことで騙される若者なぞいない。

 漢字を減らさず、総ルビにしてみてはどうか。読めれば、やがて意味を知りたくなって辞書を引くようになる。読めなければ辞書さえ引けないということを、新聞社は気づくべきだ。

 きちんとした報道を新聞で読みたい若者は多い。漢字が読めないから挫折するのだ。

 どこか一紙でも総ルビの新聞が出ないものだろうか。心から願う。


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コメント (12)
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