中野京子の「花つむひとの部屋」

本と映画と音楽と。絵画の中の歴史と。

不完全燃焼の恋?

2008年12月16日 | 雑記
 先週末の朝日新聞beには、故・越路吹雪(宝塚の男役を経て歌手・舞台女優となった大スター)と長年交流のあった岩谷時子氏の詩が載っていた。

 彼女は越路吹雪の歌うシャンソンなどを翻訳し、作詞家としても名高い人。ふたりの「友情」は、越路の夫君から嫉妬されたほどだった。

 越路の死後、彼女は「眠られぬ夜の長恨歌」と題する詩を書いた。これが凄い!

  四十年近い友情は
  月日と共に昇華され、
  あなたは今
  私の胎内に宿る
  愛し子になった
   (中略)
  おんなに生まれながら
  まだ知らぬ陣痛を
  私に起こせ」

 女と生まれたことが、あるいは相手が女であったことが、無念でならなかったのだろうか?それとも異性愛のみを正しい愛とする世界を恨んだのだろうか?

 この世で十全には叶えられなかった思いを来世に託すのだ、という強い念に圧倒される。。。


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名画で読み解く ハプスブルク家12の物語 (光文社新書 366)


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中野京子 朝日出版社 (2007/07/18)



コメント (2)
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