中野京子の「花つむひとの部屋」

本と映画と音楽と。絵画の中の歴史と。

村治佳織さんの「ハプスブルク家12の物語」評

2008年12月02日 | 
 先週土曜日(11/29)の産経新聞朝刊に、ギタリスト村治佳織さんによる拙著『名画で読み解く ハプスブルク家12の物語』評がカラー写真付きで大きく載りました。

 「美術書でもなければ、お堅い歴史書とも違う、そのどちらの要素も携えた魅力ある一冊」との、とっても嬉しいご紹介でした。この記事はネット配信でも読めますので、どうぞごらんください⇒ http://sankei.jp.msn.com/culture/books/081129/bks0811290811003-n1.htm

 村治さんとはお会いしたことはないのですが、ちょっと不思議なご縁だな、と思ったのは、10月に「週刊新潮」の「掲示板」コーナーに短文を書いたとき、たまたま彼女も同じところに書いていらしたのです(男女2人ずつ4人登場するコーナーでした)。

 話し変わってーーこの前、あるパーティに出たときのこと。

 7、8人で丸テーブルに座り、それぞれ勝手なおしゃべりをしていました。わたしも初対面の男性と話しが弾んでいたのですが、その人が「あれ?」というので見ると、さっきまでグラスに半分以下だったはずの目の前のウィスキーが、いつの間にか満々になっています。

 「誰かいれてくれたのかな?」
 すると近くにいた人が年配女性を指し、「彼女はとっても気がきくから」。
 その彼女は気配りを誉められ、微笑んでいます。男性は「どうも」と言って飲みました。

 ミステリ愛好家のわたしは「??」で頭がいっぱいになりました。なぜならそのテーブルにあったのはビール瓶だけで、ウィスキーやワインはウェイターに頼んで運んでもらわなければならないはずなのです。彼女はずっと座っていたし、ウェイターが近寄ってきた記憶もありません。

 男性は黙って飲み続け、話しを続けましたが、ついにわたしは聞きました。
 「もしかしてそれ、ビールじゃありませんか?」
 「いや、大丈夫です」

 やっぱり!
 気配りの彼女はウィスキーの氷割りに、ビールをどぼどぼ注いでいたのでした。

 それでもって、わたしはこの男性に(というより、おそらくはほとんどの中年男性が同じ行動をするのじゃないかしらん)大いに感動しましたね。文句ひとつ言わず、黙ってまずいチャンポンのお酒を飲み干してしまおうとしていたのですから。しかもまたひょいと注がれては困ると、その後はずっと手にグラスを持ち続けていたのです。

 女性なら、また若い男性なら、たいてい何か一言いうのではないでしょうか。あるいは黙って飲むのをやめるとか。それをこうしてじっと耐えるのは、中年男性に多いような気がします(勝手に思うだけですけど)。自分ならとてもできないと思うので、こうしたキャパシティの広さって、ステキだなと思った次第。


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 ☆☆集英社『青春と読書12月号』に「革命の激震、周辺国を揺るがす」を書きました。⇒ http://seidoku.shueisha.co.jp/seishun.html


☆最新刊「名画で読み解く ハプスブルク家12の物語」(光文社新書)、5刷中。 
 日経ビジネスのウェブサイト「日刊新書レビュー」で紹介されました⇒ http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20081104/176188/

名画で読み解く ハプスブルク家12の物語 (光文社新書 366)


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毎日新聞での紹介⇒ http://mainichi.jp/enta/book/shinkan/news/20080903ddm015070149000c.html
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コメント (5)
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