朝日新聞ブログ「ベルばらkidsぷらざ」で連載中の「世界史レッスン」第108回目の今日は「王は歌う?」(フランス映画「王は踊る」のもじりです)⇒ http://bbkids.cocolog-nifty.com/bbkids/2008/04/post_12b6.html#more
ピョートル大帝もヘンリー8世も、オペラに登場していることについて書きました。
この「花つむ」では別の話題。読んだばかりのノンフィクション『眠れない一族ーー食人の痕跡と殺人タンパクの謎』(ダニエル・マックス)についてです。
開巻、ヴェニスに現存する「呪われた一族」が登場する。彼らの多くは中年以降に発症する、死亡率100%という致死性奇病により、次々亡くなってゆく。それは瞳孔収縮に始まり、異常発汗、頭部硬直、最後は眠ることができず(「眠らせない」というのは、古来から拷問にも使われるほどの苦痛である)、異様な興奮状態でしかも意識だけはしっかり保ったまま衰弱死するという酷さだ。祖父母や親や兄弟が悶絶死するのを見てきているので、一族は常に恐怖と隣りあわせで生きてゆかねばならない。
著者は自らも難病に侵されており、自分の病気も、そしてこの呪われた一族の眠れない病いも、プリオンという殺人タンパク(これは生物ではない、というので理系に弱いわたしには想像を絶する)が原因ではないかと推測する。
こうして歴史が紐解かれてゆくのだが、知らないことばかりだったので、全く空恐ろしくなってしまった。
ヴェニスのこの一族の、おそらく一番最初に発症したと思われるご先祖は18世紀の人なのだが、このころヨーロッパ各地で羊の「スクレイピー」なる病気が蔓延していた。20世紀前半には、クロイツフェルト・ヤコブ病、後半にはパプア・ニューギニアのフォレ族がかかった「クールー」、現代に至る「狂牛病」と、全てこれプリオンによるもので、しかもそれは「共食い」が原因になっているのではないか、と。
フォレ族が実際に食人だったかどうかの証拠は少ないように思えた。というよりわたしはこれまで食人に懐疑的な人類学者の本ばかり読んできたので、にわかには信じがたいのだ。しかし著者はこう言う、
「人類は皆ある時代には人食い人種であっただけでなく、そのせいで大きな犠牲を払うこととなった。食人は、死亡率の高いプリオン病の勃発につながったのだ(おそらくそのために、私たちは人肉を食べることに嫌悪感を覚えるようになり、さらに時代が下ると食人は禁忌とされるようになったのだ。)」
人類はプリオン病にかかりにくい「ヘテロ接合体」が多いが、それもやはり身を守るための自然の知恵らしい。そして何と!日本人はプリオン病にかかりやすい「ホモ接合体」の割合が多いのですと!!(つまりは日本には食人文化がなかったということだろうが)
アメリカの狂牛病に素早く対応したのは、日本政府にその知識があったからなのだろうか?国民には知らされない、もっといろんな身の毛もよだつような隠し事があるのでは・・・怖い本だった・・・
☆「怖い絵 泣く女篇」(角川文庫)~「怖い絵2」の文庫化で~す♪
ユーチューブ⇒ http://www.youtube.com/watch?v=3e4N7-9aR0I
(画像をクリックするとアマゾンへいきます)
☆「芸術家たちの秘めた恋 ―メンデルスゾーン、アンデルセンとその時代 (集英社文庫)
オッターヴァの清水清さんがHPで紹介してくれています
⇒ http://blog.ottava.jp/ottava_moderato/2011/07/post-7f75.htmlH
☆「印象派で「近代」を読む ~光のモネからゴッホの闇へ~」(NHK新書)2刷になりました♪
☆『中野京子と読み解く 名画の謎 ギリシャ神話篇』(文藝春秋) 2刷になりました♪
(画像をクリックするとアマゾンへゆきます)
文春「本の話」から、「自著を語る」(「謎が解けたら、絵画は最高のエンターテインメントになる」)はこちら
↓
http://www.bunshun.co.jp/jicho/1104nakano/index.htm
☆「残酷な王と悲しみの王妃」(集英社) 2刷中。
レンザブローで本書についてインタビューが載っています。お読みくださいね!⇒ http://renzaburo.jp/(「特設サイト」をクリックしてください)
☆「『怖い絵』で人間を読む 」(NHK出版生活人新書) 7刷中。
☆「名画で読み解く ハプスブルク家12の物語」(光文社新書)
14刷中。NHKBSに出演番組がユーチュブで見られます♪⇒ http://www.youtube.com/watch?v=SX6wndSD6fA
☆光文社新書「名画で読み解く ブルボン王朝12の物語」3刷中。
☆「怖い絵」16刷中。
☆「怖い絵2」、9刷中。
☆「怖い絵3」 6刷中。
☆「危険な世界史」(角川書店) 5刷中。
「おとなのためのオペラ入門」(講談社+α文庫)
☆「恐怖と愛の映画102」(文春文庫)
☆「歴史が語る 恋の嵐」(角川文庫)。「恋に死す」の文庫化版です。
sai
ピョートル大帝もヘンリー8世も、オペラに登場していることについて書きました。
この「花つむ」では別の話題。読んだばかりのノンフィクション『眠れない一族ーー食人の痕跡と殺人タンパクの謎』(ダニエル・マックス)についてです。
開巻、ヴェニスに現存する「呪われた一族」が登場する。彼らの多くは中年以降に発症する、死亡率100%という致死性奇病により、次々亡くなってゆく。それは瞳孔収縮に始まり、異常発汗、頭部硬直、最後は眠ることができず(「眠らせない」というのは、古来から拷問にも使われるほどの苦痛である)、異様な興奮状態でしかも意識だけはしっかり保ったまま衰弱死するという酷さだ。祖父母や親や兄弟が悶絶死するのを見てきているので、一族は常に恐怖と隣りあわせで生きてゆかねばならない。
著者は自らも難病に侵されており、自分の病気も、そしてこの呪われた一族の眠れない病いも、プリオンという殺人タンパク(これは生物ではない、というので理系に弱いわたしには想像を絶する)が原因ではないかと推測する。
こうして歴史が紐解かれてゆくのだが、知らないことばかりだったので、全く空恐ろしくなってしまった。
ヴェニスのこの一族の、おそらく一番最初に発症したと思われるご先祖は18世紀の人なのだが、このころヨーロッパ各地で羊の「スクレイピー」なる病気が蔓延していた。20世紀前半には、クロイツフェルト・ヤコブ病、後半にはパプア・ニューギニアのフォレ族がかかった「クールー」、現代に至る「狂牛病」と、全てこれプリオンによるもので、しかもそれは「共食い」が原因になっているのではないか、と。
フォレ族が実際に食人だったかどうかの証拠は少ないように思えた。というよりわたしはこれまで食人に懐疑的な人類学者の本ばかり読んできたので、にわかには信じがたいのだ。しかし著者はこう言う、
「人類は皆ある時代には人食い人種であっただけでなく、そのせいで大きな犠牲を払うこととなった。食人は、死亡率の高いプリオン病の勃発につながったのだ(おそらくそのために、私たちは人肉を食べることに嫌悪感を覚えるようになり、さらに時代が下ると食人は禁忌とされるようになったのだ。)」
人類はプリオン病にかかりにくい「ヘテロ接合体」が多いが、それもやはり身を守るための自然の知恵らしい。そして何と!日本人はプリオン病にかかりやすい「ホモ接合体」の割合が多いのですと!!(つまりは日本には食人文化がなかったということだろうが)
アメリカの狂牛病に素早く対応したのは、日本政府にその知識があったからなのだろうか?国民には知らされない、もっといろんな身の毛もよだつような隠し事があるのでは・・・怖い本だった・・・
☆「怖い絵 泣く女篇」(角川文庫)~「怖い絵2」の文庫化で~す♪
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オッターヴァの清水清さんがHPで紹介してくれています
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☆「印象派で「近代」を読む ~光のモネからゴッホの闇へ~」(NHK新書)2刷になりました♪
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☆「残酷な王と悲しみの王妃」(集英社) 2刷中。
レンザブローで本書についてインタビューが載っています。お読みくださいね!⇒ http://renzaburo.jp/(「特設サイト」をクリックしてください)
☆「『怖い絵』で人間を読む 」(NHK出版生活人新書) 7刷中。
☆「名画で読み解く ハプスブルク家12の物語」(光文社新書)
14刷中。NHKBSに出演番組がユーチュブで見られます♪⇒ http://www.youtube.com/watch?v=SX6wndSD6fA
☆光文社新書「名画で読み解く ブルボン王朝12の物語」3刷中。
☆「怖い絵」16刷中。
☆「怖い絵2」、9刷中。
☆「怖い絵3」 6刷中。
☆「危険な世界史」(角川書店) 5刷中。
「おとなのためのオペラ入門」(講談社+α文庫)
☆「恐怖と愛の映画102」(文春文庫)
☆「歴史が語る 恋の嵐」(角川文庫)。「恋に死す」の文庫化版です。
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