中野京子の「花つむひとの部屋」

本と映画と音楽と。絵画の中の歴史と。

ノストラダムスの予言、アンリ2世に的中!(世界史レッスン第82回)

2007年10月02日 | 朝日ベルばらkidsぷらざ
 朝日新聞ブログ「ベルばらkidsぷらざ」で連載中の「世界史レッスン」第82回目の今日は、「兄弟3人、みんな王にはなったけれど・・・」⇒ http://bbkids.cocolog-nifty.com/bbkids/2007/10/post_14f7.html
 ルイ15世の孫である三兄弟が全員、王になった--ルイ16世、ルイ18世、シャルル10世--エピソードについて書きました。

 社会が安定して、王位継承者もちゃんと生まれていれば、めったなことでは弟へ王冠がわたることはないのだが、なかなかそうもゆかないのが世の常。フランスではさかのぼること16世紀にも、3兄弟が王になった例がある。アンリ2世とカトリーヌ・ド・メディチの間に生まれた息子たちだ。

 父の死後、まず長男がフランソワ2世となるが17歳で、次いで次男がシャルル9世となるが24歳で病死。ふたりは母カトリーヌによる毒殺だったとの説もある。理由は、彼女が溺愛していた三男に王位を譲りたかったからだとか(怖ろしい・・・)。しかしこの三男アンリ3世も37歳で暗殺される(このあたりの歴史はめちゃくちゃ面白いので、よく小説や映画に取り上げられる)。

 さて、父であるアンリ2世だが、こちらもノストラダムスの予言で有名だ。

 当時ノストラダムスは、魔術を信じていたカトリーヌのお抱え占い師だった。彼の予言はどれも抽象的で解釈が難しいのだが、このときばかりはあまりに凄い的中ぶりなのだ!曰く、

 「若き獅子は老人に打ち勝たん
  戦さの庭にて一騎討ちのすえ
  黄金の檻の眼をえぐり抜かん
  傷はふたつ、さらに酷き死を死なん」

 アンリ2世は40歳。当時でいえば「老人」である。彼は祝宴の席で「若い」近衛隊長に野試合(「庭」)を臨んだ。「戦さ」のさいちゅう、隊長の槍の先が裂け、アンリの「黄金」の兜を貫き、「眼」に突き刺さる。王は9日間も苦しんだあげく「酷き死」を遂げた!!


☆「怖い絵」、おかげさまで3刷りになりました。ありがとうございます♪

☆☆9月16日「毎日新聞」書評ーー
 「わかりやすくいうと「西洋絵画を読む」である。しかしタイトルのつけかたが心憎い。思わず手にとってみたくなる。そしてその気持ちを裏切らない書だ。ブリューゲルやドガやゴヤなど、よく知られている名作も含め、二〇点の作品が詳細に読まれて行く。『怖い絵』とあるが、一見怖くない絵もある。例えばドガの『エトワール、または舞台の踊り子』だ。美しい独特の絵である。しかしその背後には、「オペラ座は上流階級の男たちのための娼館」と言われた事情が潜んでおり、バレリーナはほとんどが労働者階級出身のつまり娼婦のようなものであり、舞台にはパトロンが平然と立っていることを指摘している。絵画を通して西欧社会の舞台裏が見えるのだ。むろん本当に怖い絵もたっぷり味わえる。(優)」

怖い絵
怖い絵
posted with amazlet on 07.07.14
中野京子 朝日出版社 (2007/07/18)


☆マリーもお忘れなく!(ツヴァイク「マリー・アントワネット」(角川文庫、中野京子訳)

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コメント (9)
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