朝日新聞ブログ「ベルばらkidsぷらざ」で連載中の「世界史レッスン」第71回目の今日は、「女優アドリエンヌの謎の死」⇒ http://bbkids.cocolog-nifty.com/bbkids/2007/07/post_664f.html#more
ルイ14世時代にパリで活躍した大女優アドリエンヌの不可解な突然死と、そのオペラ化について書きました。
アドリエンヌ(=アドリアーナ)が陥った三角関係は、オペラとは少し違っている。モーリッツはブイヨン公爵夫人を捨てて彼女を取ったのではなく、実際には、アドリエンヌを捨ててブイヨン夫人のもとへ走ったのだ。
とはいえふたりの女性の激しいライヴァル関係は当時から有名で、ブイヨン夫人が毒入りのお菓子でアドリエンヌを殺したという噂は広く流布された。オペラはさすがに「毒菓子」では絵にならないということで、「毒を吹き付けたスミレの花束」に変更されている。
ザクセン伯モーリッツは、アウグスト強健候とスウェーデンのケーニヒス伯爵夫人との間にできた庶子。360人も子どもを作ったと言われる父(だから強健候the Strongとネーミングされた)を持つだけあり、彼もまた数々の浮名を流し、アドリエンヌの死後まもなくブイヨン夫人とも別れ、オペラ座の踊り子を恋人にしている。何人、子どもを作ったかは神のみぞ知る・・・
オペラはこのように、史実を元にした作品が数多くある。有名作品をざっと挙げると、
『アンナ・ボレーナ』(ドニゼッティ)- ヘンリー8世に首を切られた王妃アン・ブーリンの悲劇。
『椿姫』(ヴェルディ)ー デュマ・フィスと高級娼婦マリー・デュプレシの短い恋。
『仮面舞踏会』(ヴェルディ)- スウェーデンのグスタフ3世が、仮面舞踏会の最中に暗殺された事件。
『ドン・カルロ』(ヴェルディ)- フェリペ2世が息子ドン・カルロの婚約者を奪って、自分が結婚。
『ボリス・ゴドノフ』(ムソルグスキー)- 陰謀でのし上がったロシア皇帝。
『アンドレア・シェニエ』(ジョルダーノ)- フランス革命でギロチンにかけられた実在の詩人。
他にも『トスカ』(プッチーニ)のように、ナポレオンの進軍が主人公たちの運命を大きく変えたり、『ルル』(ベルク)のように、ヒロインが切り裂きジャックの手にかかって最後を遂げるものなどがある。
☆新著「怖い絵」(朝日出版社)
☆☆アマゾンの読者評で、この本のグリューネヴァルトの章を読んで「泣いてしまいました」というのがありました。著者としては嬉しいことです♪
①ドガ「エトワール、または舞台の踊り子」
②ティントレット「受胎告知」
③ムンク「思春期」
④クノップフ「見捨てられた街」
⑤ブロンツィーノ「愛の寓意」
⑥ブリューゲル「絞首台の上のかささぎ」
⑦ルドン「キュクロプス」
⑧ボッティチェリ「ナスタジオ・デリ・オネスティの物語」
⑨ゴヤ「我が子を喰らうサトゥルヌス」
⑩アルテミジア・ジェンティレスキ「ホロフェルネスの首を斬るユーディト」
⑪ホルバイン「ヘンリー8世像」
⑫ベーコン「ベラスケス<教皇インノケンティウス10世像>による習作」
⑬ホガース「グラハム家の子どもたち」
⑭ダヴィッド「マリー・アントワネット最後の肖像」
⑮グリューネヴァルト「イーゼンハイムの祭壇画」
⑯ジョルジョーネ「老婆の肖像」
⑰レーピン「イワン雷帝とその息子」
⑱コレッジョ「ガニュメデスの誘拐」
⑲ジェリコー「メデュース号の筏」
⑳ラ・トゥール「いかさま師」
☆ツヴァイク『マリー・アントワネット』角川文庫
☆☆前にも書きましたが、つくづくアントワネットがオペラ化されなかったことが残念だ。ヴェルディに書いてほしかった!
◆マリー・アントワネット(上)(下)
シュテファン・ツヴァイク
中野京子=訳
定価 上下各590円(税込620円)
角川文庫より1月17日発売
ISBN(上)978-4-04-208207-1 (下)978-4-04-208708-8
ルイ14世時代にパリで活躍した大女優アドリエンヌの不可解な突然死と、そのオペラ化について書きました。
アドリエンヌ(=アドリアーナ)が陥った三角関係は、オペラとは少し違っている。モーリッツはブイヨン公爵夫人を捨てて彼女を取ったのではなく、実際には、アドリエンヌを捨ててブイヨン夫人のもとへ走ったのだ。
とはいえふたりの女性の激しいライヴァル関係は当時から有名で、ブイヨン夫人が毒入りのお菓子でアドリエンヌを殺したという噂は広く流布された。オペラはさすがに「毒菓子」では絵にならないということで、「毒を吹き付けたスミレの花束」に変更されている。
ザクセン伯モーリッツは、アウグスト強健候とスウェーデンのケーニヒス伯爵夫人との間にできた庶子。360人も子どもを作ったと言われる父(だから強健候the Strongとネーミングされた)を持つだけあり、彼もまた数々の浮名を流し、アドリエンヌの死後まもなくブイヨン夫人とも別れ、オペラ座の踊り子を恋人にしている。何人、子どもを作ったかは神のみぞ知る・・・
オペラはこのように、史実を元にした作品が数多くある。有名作品をざっと挙げると、
『アンナ・ボレーナ』(ドニゼッティ)- ヘンリー8世に首を切られた王妃アン・ブーリンの悲劇。
『椿姫』(ヴェルディ)ー デュマ・フィスと高級娼婦マリー・デュプレシの短い恋。
『仮面舞踏会』(ヴェルディ)- スウェーデンのグスタフ3世が、仮面舞踏会の最中に暗殺された事件。
『ドン・カルロ』(ヴェルディ)- フェリペ2世が息子ドン・カルロの婚約者を奪って、自分が結婚。
『ボリス・ゴドノフ』(ムソルグスキー)- 陰謀でのし上がったロシア皇帝。
『アンドレア・シェニエ』(ジョルダーノ)- フランス革命でギロチンにかけられた実在の詩人。
他にも『トスカ』(プッチーニ)のように、ナポレオンの進軍が主人公たちの運命を大きく変えたり、『ルル』(ベルク)のように、ヒロインが切り裂きジャックの手にかかって最後を遂げるものなどがある。
☆新著「怖い絵」(朝日出版社)
☆☆アマゾンの読者評で、この本のグリューネヴァルトの章を読んで「泣いてしまいました」というのがありました。著者としては嬉しいことです♪
①ドガ「エトワール、または舞台の踊り子」
②ティントレット「受胎告知」
③ムンク「思春期」
④クノップフ「見捨てられた街」
⑤ブロンツィーノ「愛の寓意」
⑥ブリューゲル「絞首台の上のかささぎ」
⑦ルドン「キュクロプス」
⑧ボッティチェリ「ナスタジオ・デリ・オネスティの物語」
⑨ゴヤ「我が子を喰らうサトゥルヌス」
⑩アルテミジア・ジェンティレスキ「ホロフェルネスの首を斬るユーディト」
⑪ホルバイン「ヘンリー8世像」
⑫ベーコン「ベラスケス<教皇インノケンティウス10世像>による習作」
⑬ホガース「グラハム家の子どもたち」
⑭ダヴィッド「マリー・アントワネット最後の肖像」
⑮グリューネヴァルト「イーゼンハイムの祭壇画」
⑯ジョルジョーネ「老婆の肖像」
⑰レーピン「イワン雷帝とその息子」
⑱コレッジョ「ガニュメデスの誘拐」
⑲ジェリコー「メデュース号の筏」
⑳ラ・トゥール「いかさま師」
☆ツヴァイク『マリー・アントワネット』角川文庫
☆☆前にも書きましたが、つくづくアントワネットがオペラ化されなかったことが残念だ。ヴェルディに書いてほしかった!
◆マリー・アントワネット(上)(下)
シュテファン・ツヴァイク
中野京子=訳
定価 上下各590円(税込620円)
角川文庫より1月17日発売
ISBN(上)978-4-04-208207-1 (下)978-4-04-208708-8