~ 恩師のご著書「愚か者の独り言」より ~
講演集 一
「この世は苦しみがあって当然」
この世の中で生活するのに、
「苦しみ」というのは避けることはできません。
生まれ出て肉体をいただきますと、肉体には五感があり、
目、耳、鼻、舌、皮膚を通して認識し、知っていきます。
目で物を見る、鼻で臭いを嗅ぐ、耳で言葉や音を聞く、
口で味わい、或いは言葉を発し、
この身体で触れることによって感覚を知ります。
つまり、熱い中に手を入れたら熱く感じ、
氷の中に手を突っ込んだら冷たい、ひどい目にあわされたら辛い、
痛い目にあえば痛いというように、
五感がそれを知るから避けることはできないのですね。
その五感によって今度は私達の心が振り回されるのです。
目で嫌な人を見たら、嫌だなあと思い、
耳によって嫌なことを聞きますと、辛い思いをします。
上手に心地よく言ってもらえば浮き浮きするというように
振り回されていくのです。
そして、つらいことや、都合の悪いことに出会った時に、
人は苦しみの中にはまっていきます。
これは避けることができません。
ですからお釈迦様は「この世は苦海である」と
おっしゃいました。
苦しみを喜びとして受け取る
では、この苦しみの海の中で、人が幸せに生きていくためには、
どうしたらいいのか、簡単に言いますと、「囚われ」を捨てていけば
一番よいのです。
しかし、これはなかなか難しくてできません。
そこで、苦しみはあって当然ですから、その苦しみを苦しみとして
受け取るか、これを喜び・感謝として受け取るか、その受け取り方に
かかってきます。